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『富豪刑事』は、2005年と2006年にテレビ朝日で2シーズンにわたり放送された刑事ドラマです。
大人気シリーズ「TRICK」のスタッフが複数参加しており、真面目な刑事たちが「変な音」や「独特の間」でシュールな笑いを誘う、1話完結型の作品となっています。
原作は、『時をかける少女』で知られる筒井康隆先生による同名小説です。犯罪の動機の多くはお金が絡むものですが、もし警察に無限大の資金があればどんな悪人も捕まえられるのではないか、という実験的な発想にワクワクさせられるストーリーとなっています。
原作の主人公は神戸大助ですが、本作は神戸美和子(深田恭子)が主人公となっています。
原作小説はこちらです。
2020年、主人公を神戸大助としたアニメ化・舞台化もされました。
ドラマ富豪刑事の概要
放送期間・話数
・富豪刑事(全10話)
放送期間:2005年1月13日~3月17日(木曜21時)
・富豪刑事デラックス(全10話)
放送期間:2006年4月21日~6月23日(金曜21時)
制作・スタッフ
制作 テレビ朝日(デラックスのみ、テレビ朝日・ABC共同制作)
監督 長江俊和、常廣丈太、阿部雄一(S1)、池添博(S2)
脚本 蒔田光治、福田卓郎
音楽 辻陽
原作 小説「富豪刑事」(筒井康隆)
キャスト
深田恭子
山下真司
寺島進
野波麻帆
鈴木一真
升毅
相島一之
西岡徳馬
載寧龍二
中山恵
虎牙光揮
市毛良枝
夏八木勲
筒井康隆
ほか
ドラマ富豪刑事の見どころ
人気小説によるロングヒット作品
ドラマ「富豪刑事」の原作は、筒井康隆先生による小説「富豪刑事」です。
1975年から「小説新潮」にて連載が始まり、2005年にドラマ化、2020年には「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」としてアニメ化、同年に「富豪刑事Balance:UNLIMITED THE STAGE」で舞台化された超ロングヒット作品となっています。

筒井康隆先生は俳優としても活動されており、本作でもSeason1にあたる「富豪刑事」で、主人公の祖父のライバル役として登場されています
隠しきれないTRICKの匂い
テレビ朝日で制作された大ヒットドラマ「TRICK」。
富豪刑事のドラマスタッフには、このTRICKと共通するメンバーが多く参加しています。
・プロデューサー:桑田潔、阿部謙三
・脚本家:蒔田光治、福田卓郎
・音楽:辻陽
など
そのためか、変な音が鳴る演出や独特な笑いの間、あちこちに散りばめられたパロディネタなど、TRICKが好きな人なら間違いなく楽しめる作品となっています。
大富豪による規格外の捜査
ストーリーの見どころは、主人公・神部美和子が祖父の莫大な財産と人脈により行う規格外の捜査活動です。
毎回、多額の資金を必要とする捜査が展開され、視聴者を楽しませてくれます。
ただし捜査にはうまくいく部分もあれば計画どおりに進まない部分もあり、美和子の身が危険にさらされることもあります。
ここでは、どのような捜査が展開されてきたのか、一部を紹介します。
現金輸送車が襲撃され、5億円が奪われた通称「5億円事件」。
その時効が2週間後に迫るタイミングで、神戸美和子が焼畑警察署に赴任します。
容疑者は、発明好きの幡野(甲本雅裕)と、不法投棄反対運動のリーダー的存在である須田(温水洋一)の2名にまで絞られていました。
美和子は、金の力でこの2人を世界が注目する人物として持ち上げ、金遣いを荒くさせることにより、奪った金に手をつけるよう仕向けてはどうかと提案します。

美和子の作戦で、幡野と須田はそれぞれ突然の幸運が舞い込んですっかり気をよくしてしまうんだ

犯人じゃないほうの奴が気の毒すぎる…
焼畑警察署管内の美術館に、「怪盗X」からの盗難予告状が届きます。
その美術館には、海外のコレクターから手に入れたばかりだという数億円の絵画がありました。
これまで「怪盗X」を野放しにしてきた鎌倉課長には後がなく、刑事たちはその絵画を必ず守らなければなりません。
そこで美和子は、それよりも明らかに高価な絵画を複数展示しておけば、犯人がどれを盗めばよいか迷って足止めできると考えます。さらに念のため、それらは精巧な贋作にしておけばよいのではないかと提案します。

美術館の自慢の絵画が、歴史的な名画たちに囲まれてる図がかわいそう…
宮本鋳造の社屋の火災により、社長が焼死する事件が発生します。
容疑者はライバル会社の江草鋳物の江草兄弟で、過去にもライバル会社が同様の火災に見舞われていたため、ほぼクロと言える状況でした。しかし、どのようにして火災を引き起こしたのか、そのトリックだけがわかりません。
そこで美和子は、宮本鋳造と同じ造りの建物を持つ鋳造会社を新設し、祖父が厳選した幹部を据えて江草兄弟にもう一度犯行を行わせることを提案します。

今でこそ株式会社は資本金1円でも設立できるけど、当時(2005年)は1,000万円以上の出資が必要だったんだ

美和子が会社を作るって言い出したときの空気感はそういうことなのね
このようにどの作戦にも怪しさはあるものの警察がこのような罠を仕掛けるはずがないため、犯人たちも油断しています。
しかし、犯人たちの予想外の行動により簡単に計画どおりには進みません。
そのため、焼畑警察署の刑事たちと犯人の攻防も含めて楽しめる作品となっています。
及川光博が主題歌を歌っている
主題歌「愛のメモリー」を歌っているのは、俳優の及川光博さんです。
「愛のメモリー」は松崎しげるさんの1977年発売のシングルで、本作の主題歌はそのカバー版となります。
最終話では、及川光博さん本人も本編ドラマに登場します。

及川光博さんがこの4年後、日本一有名な刑事ドラマで「神戸」を名乗ることになるとは、まだこのとき誰も知らなかったんだよね

多才すぎる!
ドラマ富豪刑事の登場人物
神戸美和子(かんべみわこ)
神戸美和子/深田恭子
資産家の祖父をもつ、だいぶ天然なお嬢様です。
使命感や正義感は強く、刑事の道を自ら志しました。1982年11月2日生まれで、階級は巡査です。
しかし世間を知らないため、金持ちの感覚で周りの人物の心を意図せず逆撫でしてしまうことがあります。
警察学校時代はリムジンで送り迎えされ、焼畑警察署への初日はヘリで出勤するなど、当初から同僚の反感を買っていました。
特に美和子に敵意を向けているのは、刑事課の鶴岡、狐塚、猿渡です。
美和子を警察から追い出そうとたびたび悪意を向けますが、美和子には理解できない感情であるため効果がありません。

つよい…
捜査会議が行き詰まると、「あのーちょっとよろしいですか」と美和子が挙手し、祖父の莫大な私財を使った解決策を提示することがお約束となります。
毎回、莫大な金を投じる突拍子もない作戦なのですが、焼畑警察署の刑事の捜査能力が高くないため他に打つ手がなく、美和子の提案が採用されてしまいます。

時効間近の事件だったり、鎌倉課長が失態を繰り返したせいで解決を急がないといけない事件だったりと、だいたいいつも余裕がないんだ
事件が解決すると、美和子は犯人のことを「そこじゃない」という部分で非難し、現場に迎えに来たリムジンに乗って勝手に帰ってしまいます。そこで「勝手に帰るな」とツッコまれるのもお約束です。

わかっているのに笑ってしまう…
ドラマ版の主人公はお嬢様ですが、原作主人公は神戸大助というお坊っちゃまになります。
神戸喜久右衛門(かんべきくえもん)
神戸喜久右衛門/夏八木勲
政財界や裏社会の人間に広く顔がきき、莫大な資産を築き上げた人物です。

フィクサーってやつかな?
孫娘の美和子を溺愛しており、美和子の出勤を毎朝見送りますが、興奮すると発作を起こしてしまいます。
若い頃にはかなりあくどいことをして今の地位や財産を築いたようですが、現在は過去の自分の悪行を悔いており、美和子が自分の財産を正義のために使ってくれることを心から喜んでいます。
そのため、美和子の捜査には進んで協力し、金も人脈も惜しみなく提供しています。

お金がいっぱいあるだけじゃなくて、人脈が特にすごいんだ

茶番のような作戦でも東大教授や銀行の頭取など高い戦力を投入してくれるよ!
また、どうすれば人を陥れられるかを知り尽くしており、悪知恵が働かない美和子に、人を陥れるためのアドバイスを送ることもあります。

昔かなり悪いことしてたんだろうなっていう知恵の出方なんだよね

悪い顔をすると、すぐ秘書の松江にたしなめられるのもお約束なんだ
喜久右衛門としては、悪事で築いた資産を社会に還元し、自分の罪悪感(本人は「重荷」と表現)を少しでも減らしたいと考えているようです。
しかし、中途半端なことができない性分らしく、本格的な美術品を入手したり、一流の人材で会社を経営したりしてしまうため、結果としてさらに財産が増えてしまいます。
長年、警察にも多額の寄付をしてきた人物でもあり、焼畑警察署の神山署長の計らいによって、美和子は念願の刑事になることができました。
鈴木松江(すずきまつえ)
鈴木松江/市毛良枝
美和子の祖父・喜久右衛門に仕える優秀な秘書です。
普段は凛とした佇まいで穏やかな笑みを浮かべ、高齢の喜久右衛門の体調を優しく気遣っています。
しかし、喜久右衛門が昔を思い出して美和子の前で悪い顔をすれば、それをたしなめるのがお約束です。
また、美和子の作戦が行き詰まった際には、喜久右衛門以上に役立つ知恵を授けることもあるなど底が知れない人物でもあります。
鎌倉熊成(かまくらくまなり)
鎌倉熊成/山下真司
焼畑警察署の捜査課長で、階級は警部です。
所轄の刑事課長にあたるポジションになります。
昭和の熱血刑事タイプを思わせる人物で、この時代のドラマらしく部下をはたくような場面も見られます。
しかし、いちばんダメなのは他でもない本人であり、いつも的はずれでトンチンカンな指揮をとってしまいます。
そのため神山署長からの圧力は強く、部下からもあまり慕われていません。

庶民的な感覚も見せてくれるから、だんだん親しみが湧いてくるんだよね
神山郁三(かみやまいくぞう)
神山郁三/西岡徳馬
焼畑警察署の署長で、階級は警視正です。
上層部に常に気を遣っており、成果をあげられない鎌倉をよく叱っています。
警察に多額の寄付をしている喜久右衛門に配慮し、美和子を刑事にするため鎌倉に押し付けました。
美和子を特別扱いすることはありませんが、上層部の機嫌を損ねないよう、やむをえず美和子の提案に乗る場面もあります。部下たちが手柄をあげると、自分のものとして振る舞っています。
布引幸四郎(ぬのびきこうしろう)
布引幸四郎/寺島進
焼畑警察署の刑事で、階級は巡査部長です。
人相が悪いため、よく容疑者やヤクザに間違われています。
容疑があれば締め上げればいいと考えている物騒な刑事であり、布引が取り調べを担当するとだいたいトラブルになります。いっぽう、焼畑警察署の刑事の中では意外にもかなりまともな捜査能力を持っており、美和子に対する悪意は特に見られません。
西島誠一(にしじませいいち)
西島誠一/載寧龍二
焼畑警察署捜査課の若手刑事です。
外見は当時の流行りの若者風ですが、仕事熱心で、美和子にも先輩として比較的親切に接しています。
いっぽう、美和子の雰囲気に時々飲まれる様子も見られます。
犯人にやられたりドジを踏んでしまったりすることも多い刑事ですが、美和子のピンチを救うこともあります。
鶴岡慶一(つるおかけいいち)
鶴岡慶一/升毅
焼畑警察署捜査課の警部補です。
狐塚や猿渡とともに美和子を厄介者扱いすることもありますが、何より関心があるのは自分の昇進であるため、狐塚たちよりは合理的な振る舞いをしています。
普段は鎌倉課長の顔色をうかがう一方で、鎌倉がいなくなれば自分の地位が上がると考えているところもあります。
狐塚虎彦(こづかたけひこ)
狐塚虎彦/相島一之
焼畑警察署の刑事で、階級は巡査部長です。
初出勤する美和子のリムジンをパンクさせるため、署内の路面にまきびしを仕掛けるなど、美和子に対しては小物っぽさのある同僚として描かれています。

本当に警察官なの…?
同僚の猿渡とは、美和子を辞めさせたがっている点では意見が一致していますが、性格が合わないためよく言い争いをしています。
西島に「(被疑者を)しょっぴく(任意同行する)理由なんてでっちあげればいいんだよ!」と指導しており、焼畑警察署の成果が上がらない理由を端的に象徴してくれました。

狐塚が小物感をだすほど神戸美和子の図太さが強調される、ストーリーではかなり重要な役どころなんだ
猿渡哲也(さわたりてつや)
猿渡哲也/鈴木一真
焼畑警察署の刑事で、階級は巡査部長です。
美和子を辞めさせたがっている点で、狐塚と思いを共有していますが、決して仲が良いわけではありません。
むしろ、布引と一緒に気合十分で被疑者を取り調べたり、美和子の推理に思わず同調したりと刑事の職務には前向きであり、どこか素直な一面も持ち合わせています。
第3話では、お世話になった先輩警察官を全面的に信頼してしまい、美和子を危険にさらしてしまう結果を招きました。
布引からは「サル」と呼ばれています。
ミニパト女警(樋口純子、菊池裕美)
野波麻帆、中山恵
焼畑警察署交通課の女性警察官です。
制服のスカートをミニに改造し、つけ爪やアクセサリーまで付けているなど、見るからに不良警察官といった雰囲気です。
美和子のリムジンに硬貨で傷をつけようとしたり、勤務中に、どうやら屋外で用を足したり(!)カラオケへ行ったりとやりたい放題の行動を見せます。
金持ちと結婚して玉の輿に乗りたいという思いがあり、それがきっかけで事件に関わることもあります。
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