【相棒season5】第13話「Wの悲喜劇」を解説

相棒season5「Wの悲喜劇」は、夫婦間の殺人事件を描いた作品です。残酷な事件ですが「悲喜劇」とあるだけに、どこかユーモアを感じさせるストーリーになっています。タイトルの元ネタは、親族内での殺人事件を描いた推理小説『Wの悲劇』(夏樹静子)です。アメリカの推理作家エラリー・クイーンによる「悲劇四部作」へのオマージュとなります。

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「Wの悲喜劇」の概要

放送日

2007年1月17日

主な出演者

大丸欣司/野村宏伸
大丸麗子/城島あこ・阿部栞奈

相棒のレギュラー

杉下右京
亀山薫
亀山美和子
宮部たまき
伊丹憲一
三浦信輔
芹沢慶二
角田六郎
米沢守

脚本

輿水泰弘

監督

近藤俊明

「Wの悲喜劇」のあらすじ

亀山薫と美和子が暮らすマンションの隣の部屋には、大丸欣司(だいまるきんじ)と妻・麗子の夫婦が住んでいる。

二人は高校時代の同級生。

かつて学園のマドンナと呼ばれるほど美しかった麗子の心を欣司が射止め、結婚したのだ。

しかし現在の麗子は、昼間からテレビの前でポテトチップスをバリバリと頬張り、2リットルのコーラをペットボトルで直接飲みながら、バラエティ番組を見て笑っている。

寝室には新婚時の夫婦の写真が飾られていた。そこには上品な笑みを浮かべた美しい麗子の姿が写っているが、今の麗子は太って見る影もない。

研究員として働く欣司は、今日から1か月の香港出張に出かける。

麗子は出張の準備を手伝う様子もなく、声をかけてもテレビに夢中で聞こえないようだ。

欣司が玄関で靴を履いていると、麗子が廊下に出てくる。

だが、見送りに来たのではなくトイレへ向かうためだった。

「気をつけてね」と言いながらドスドスと歩いて廊下を曲がり、廊下の奥にあるトイレに入っていく。

タバコを吸いながら用を足す麗子。その便座には、欣司が施した小さな亀裂が入っていた。

麗子が便座にどしんと座るたび、その亀裂は少しずつ大きくなっていく。

欣司が香港へ発って5日目。

ついに便座が割れ、麗子の尻が便器にすっぽりとはまり込んでしまった。

果たして、どのような結末を迎えるのか。

「Wの悲喜劇」の見どころ

相棒では珍しい「倒叙ミステリー」

今回のストーリーは、夫の欣司が妻を殺害したことが最初から視聴者に明かされている、いわゆる倒叙ミステリーの形式です。

犯人が誰かではなく、なぜその犯行に至ったのか。そして杉下右京がどのように真相へ迫るのかが見どころになります。

古畑任三郎みたいなやつだね

便座の時限爆弾、発動

1か月後、香港から帰国した欣司が妻の遺体を発見します。

麗子はトイレの便器に尻がはまったまま、すでに死亡していました。

身動きが取れず、助けも呼べないまま餓死していたのです。

トイレの壁、爪の跡だらけだったね…

脱出しようとしてもがいた跡が生々しい

隣の部屋から杉下右京

欣司が呼んだ救急隊が警察へ連絡を入れようとしたところ、お隣の亀山家から杉下右京、亀山薫、角田課長が現れます

亀山家でホームパーティーをしており、美和子の新作料理を美和子や宮部たまきらと一緒に食べていたのです。

その後、鑑識の米沢守と警察医が到着。

さらに米沢と一緒に麻雀をしていた捜査一課の伊丹・三浦・芹沢もやってきます。

状況は明らかに事故

出番なしと思われた捜一トリオなんだけど、麗子の遺体を便器から引き上げる重労働が待ってるよ…

来てくれてよかった!

カバンを勝手に開ける杉下右京

伊丹たちがトイレから麗子を運びだそうとしている間、いつものように杉下右京は勝手に大丸家の部屋を探索し始めます。

欣司に嫌な顔をされながら、部屋のあちこちを調べ回る杉下右京。

そして「トイレを我慢しているのではないか」と欣司に尋ねます。

欣司が否定すると、杉下右京は、トイレの前に欣司の旅行鞄が置かれていたからそう思ったと説明します。

トイレの場所は、玄関から見ると廊下を右に曲がった奥なんだ

帰宅してまっさきにトイレに向かったからそうなったんじゃないかってことだね

もちろん欣司は帰ってすぐに麗子の死を確認しにトイレへ行ったんだけどね

しかしトイレの手前には脱衣所もあります。

そのため欣司は「洗濯機に汚れた衣類を入れるため」と説明します。

ところが杉下右京は、すでに欣司のカバンの中身を確認しており、「下着も靴下もきれいで汚れ物は入っていなかった」と、とんでもないことを言い出します。

欣司はひと月にわたる出張のため、ホテルのクリーニングを利用していたのです。

カバンの中まで見たの?

お隣さんの亀山夫妻がめちゃくちゃ気まずそうだったね

便座のトリックに気づく

司法解剖の結果、麗子の死因はやはり餓死でした。

米沢守によると、人は水があれば約1か月、生きられなければ3週間ほどで死亡するとのことだよ

じゃあトイレのタンクに手が届けば、ギリギリ助かった可能性もあったんだ…

欣司は届かないってわかった上での計画だったんだろうね

むごい…

さらに米沢は、便座は一度に壊れたのではなく、少しずつひび割れが進行していったといいます。

ここから杉下右京は、故意に小さなひび割れをあらかじめ入れておけば、妻が座るたびにひび割れが進み、やがて壊れる「時限装置」になり得ると推理します。

料理上手な欣司

翌日、隣のよしみで、美和子は大丸欣司に美和子スペシャル(美和子の創作料理)を差し入れにいきます。

最初は(たぶん料理の色を見て)食欲がないと言う欣司でしたが、美和子が残念そうにする姿を見て口にします。

すると欣司は、何かを思いついたかのようにその皿を持って立ち上がり、キッチンの鍋に入れて味を整え始めます。

そして欣司がリメイクした美和子スペシャルは、美和子自身も驚くほど美味しいものに変わっていました。

このとき美和子は、欣司を料理人かと思ってしまうんだ

欣司の職業は研究員だったね

何事もとことん追求する完璧主義なんだろうね

料理は、家事が苦手な麗子のために覚えたものだといいます。

ただし、嫌々覚えたわけではありません。妻に奉仕することが嬉しかったのだと欣司は言います。

そこまで尽くしたのに変わってしまった妻が許せなかったのかな?うーん…

欣司VS杉下右京

通夜の参列者が帰った後、欣司から話を聞く特命係たち。

杉下右京は、便器にひび割れを入れて時限装置を仕掛けたのではないかと尋ねます。

欣司は「ひび割れているなら、音で妻が異常に気づくはずだ」と反論しました。

これに対し杉下右京は、トイレのドアに「用足しの前に水を流すのをやめるように」と書かれていたことから、麗子はひび割れの音がしても、水を流す音で気づかなかったはずだと返します。

しかし欣司は言いがかりだとして認めません。

麗子は用を足す前に水を流す癖があったんだね

音姫みたいなことかな

さらに杉下右京は亀山薫に依頼し、欣司の通話記録も調べていました。

それによると、欣司は香港出張の5日目までは毎晩自宅の固定電話に電話をかけているのに、その後は帰国するまで一度も電話をかけていません

このことから、電話をかけた目的は妻がトイレの罠にかかったかどうかを確認するためだったのではないかと欣司を追及します。

妻が電話に出なくなったことで便器の罠の発動を確信したから、電話確認を打ち切ったんでしょ?ってことだね

しかし欣司は、仕事がたまたま忙しくなっただけだと答えます。

なかなか罪を認めない欣司に、杉下右京も参ってしまいます。

決定的な証拠がないんだね…

欣司に認めてもらうしかないね

死因が強烈すぎて全然目立たないけど、これ家を1か月空けるだけで実行できる完全犯罪だよね

欣司の完璧主義な性格がでてると思う

欣司の浮気が発覚

杉下右京と欣司のやり取りを見ていた捜査一課は、聞き込みで得た情報をもとに、欣司が職場の助手と浮気をしていたことを追及します。

最初は否認していた欣司ですが、相手が認めたと聞くと、やむなく浮気の事実を認めました。

ただし、本当に愛していたのは妻だと反論します。

浮気がばれたのに欣司のやつ、まだそんなことを!

角田課長は「美人だった妻がああなったら愛が冷めても仕方ない、太った本人にも責任の一端はある」と言って、欣司に寄り添おうとします。

それでも欣司は「たとえ容姿が変わっても愛は変わらない」と強く反論し、任意同行も拒否しました。

決定的な証拠がない以上、これ以上の追及は不可能でした。

うーん手強い!

犯行を認めさせたのは「メガネ」

そんな中、突然「お腹が減りました」と言い出す杉下右京。

美和子から料理上手だと聞いたとし、欣司に料理を作ってほしいと頼みます。

急に気の抜けた話になり油断したのか、欣司はなぜか自宅で杉下右京たちに手料理を振る舞うことに。

台所に立ち、さあ今から作ろうかというとき、杉下右京は突然「先日見つけたメガネで作ってほしい」と頼みます。

メガネって何のこと?

麗子の遺体が見つかった夜、杉下右京が大丸家を(勝手に)散策中に寝室のベッドの下でメガネを見つけて拾い上げたんだ

欣司はそれを自分のメガネだと言って受け取ったんだよ

なんでそのメガネを、わざわざかけさせるの?

「どうして」と尋ねる欣司だが、杉下右京は「何か不都合が?」と返します。

欣司は言われるまま、今かけているメガネを外し、杉下右京に見つけてもらったメガネをかけて料理を始めます。

しかし、そのメガネでは明らかに料理がしにくい様子でした。

眉間にしわを寄せながら食材を切り、調味料も目元まで近づけなければ確認できません。

その様子を杉下右京が見ていることに気づいた欣司は、ようやく目的を悟ります。

もう勘弁してもらえませんか」と言い、ついに降参しました。

え?なにが起こったの?

浮気をしていたのは麗子

杉下右京は、ベットの下の床から拾い上げたそのメガネが、伊達メガネ(度の入っていないおしゃれ用のメガネ)であることに気づいていました。

そして欣司に、「麗子の浮気相手の忘れ物であると知っていたのではないか」と追及します。

浮気をしていたのは麗子だったの?

何となく浮気とは無縁だと思い込んじゃってたよ…

寝室の写真立てが伏せてあったのは、麗子が夫の留守中に浮気相手を部屋に連れ込んでいたため。

伊達メガネは、浮気相手の男性が人妻に会うため変装目的で着用していたものでした。しかし、普段かけるものではないため忘れて帰ってしまったのです。

その後、麗子は死亡。夫が帰る日までメガネはそのままになっていました。

欣司は、麗子の浮気を知っていました。

とっさにメガネを自分のものだと偽ったのは、妻を殺害した動機を隠すためだったのです。

欣司は腰を下ろし、すべてを語り始めます。

妻がモテすぎて絶望した夫

麗子は昔から恋愛に奔放な女性で、結婚後もその性格は変わりませんでした。

欣司にとってはつらいことでしたが、彼女と離れることはできず、彼女の美貌なら仕方がないと自分を納得させてきたのです。

その一方で、麗子は、欣司が作る美味しい手料理が大好きでした。

「美味しい」「本当に料理上手ね」と麗子はその美しい笑顔で欣司を褒めます。

しかしそれがいつの間にか、パスタをずるずるとすすり上げる、太った女性へと変わったのです。

なんで食事マナーまで悪くなるんだよ!

太った人への偏見がすごい

それでも欣司は、彼女を変わらず愛し続けていました。

むしろ体型が変われば他の男が寄りつかなくなると考え、安堵したといいます。

しかし現実は違いました。

そういう女性を好む男性もおり、麗子はまた別の男と浮気を始めてしまいます。

欣司は麗子に「どうか浮気をやめてほしい」と、泣きながら土下座をして頼んだこともありました。

しかし麗子は、欣司が自分を深く愛していることを誰よりも知っているため、まったく効果はありません。

欣司もういいよ…見てられないよ…

欣司が職場の女性と浮気をしたのは、自分も麗子と同じことをすれば、嫉妬の苦しみから解放されるのではないかと期待したからです。

しかし、欣司の気持ちは全く晴れなかったといいます。

苦しみから逃れる手段が見つからず、追い詰められた末に、欣司はあのような方法を思いついたのでした。

欣司の話を聞いた角田課長は、麗子は死ぬまで夫の仕業であるとは疑わなかっただろうといいます。

でもきっと亡くなるまでの間、欣司のお願いをちゃんと聞いていればよかったなとは思っただろうね

せめてそうであってほしい

トイレの張り紙に書かれていたルール(欣司から麗子へのお願い)の第一条は、「便座には静かに腰をおろしましょう」でした。

欣司によれば過去にも、便座を破壊して同じことがあったといいます。その時はきっと、欣司がすぐに助け出したのでしょう。

いつでも助けてくれる欣司がいたから、これまで張り紙を無視できたんだね

やっぱり役割が偏るとよくないね

亀山夫妻みたいにお世話する人とされる人が、時と場合で入れ替わるような関係がバランスがいいんだろうと思ったよ

便座の寿命がそのまま自分の寿命になってしまったという、陰惨さとユーモアたっぷりの「悲喜劇」でした。

「Wの悲喜劇」の小ネタ

料理にハマっている美和子

season5から帝都新聞を退社し、エジプトにハマっていた美和子。

今回は創作料理にハマっています。

美和子が作っているのは、複数のスパイスを使ったスープ。

色は紫色(ブルーベリーヨーグルトのような色)、具材はタコの足、カリフラワー、うずらの卵、大根、人参、里芋、厚揚げとかなり独特。

美和子は満足そうですが、亀山薫は微妙な表情で食べています。

後日、この料理はタッパーに入れられて、杉下右京や角田課長にも振る舞われます。

杉下右京は、一口食べて「複雑怪奇な味」と表現します。

ただ、意外にも不味いわけではないそうです。亀山も「微妙だから始末に悪い」と言います。

まずくて食べられないなら作るのを辞めてもらうしかないけど、まずくないなら確かに迷うかも

これから美味しくなるかもしれないし、何より作る本人がやる気になってるから悲しませたくないもんなあ…

美和子スペシャルの感想一覧

美和子の創作料理は「美和子スペシャル」と名付けられ、本作で「美和子スペシャル5(ファイブ)」まで進化を遂げます。

美和子スペシャルに対する感想

・亀山薫
 複雑な顔をする。職場でははっきり「微妙」という。

・亀山美和子
 おいしい

・杉下右京
 一瞬固まって「複雑怪奇な味

・角田課長
 顔をしかめたが「かなりうまい!」

・宮部たまき
 (杉下右京に感想を求められて)うーん、微妙?

美和子スペシャル5に対する感想

亀山家でのホームパーティーにてお披露目となりました。

その日、大丸夫妻の事件が発生し、捜一トリオと米沢守も食べることとなりました。

・宮部たまき
 柔らかい(味の感想ではない)

・杉下右京
 複雑怪奇な味は相変わらず。
 しかし癖になる(結構食べている)

・角田課長
 うまい

・米沢守・三浦信輔・芹沢慶二
 一口食べて固まる

・伊丹憲一
 食べ物かどうかを判断している

大丸欣司によるアドバイス

事件の翌日、美和子の差し入れで美和子スペシャル5を食した大丸欣司の反応です。

ちなみに最初は(たぶん料理の色を見て)食欲がないと言う欣司でしたが、美和子が残念そうにする姿を見て口にします。

伊丹さんも見習って!

しかしデキる男の欣司はこれで終わらず、台所へ行き、調味料を加えて料理を美味しくリメイクしてしまいます。

・大丸欣司
 無言でリメイク

事件解決後、警察に出頭する前に、欣司は美和子に「ナンプラーと胡椒を多めに入れるとおいしくなる」「頑張ってご主人に美味しい手料理を作ってあげてください」「でもカロリーには気をつけて」と穏やかな声でアドバイスしました。

欣司さんいい人すぎる…

心配しなくても美和子は夫が麗子みたいな態度になったらシバくだろ

角田課長と宮部たまきが初対面

角田課長が杉下右京の元妻である宮部たまきと初めて対面します。

たまきの美貌を褒めたたえる角田課長。

どうして別れたのかと杉下右京に尋ねますが、「余計なお世話ですねえ」と返されます。

2代目相棒・神戸尊にたまきの情報を与えたのも角田課長なんだ

杉下右京のパラパラ漫画

なぜか杉下右京は今回、麗子がトイレに落ちる様子を描いたパラパラ漫画を作っています。

ノートの端に鉛筆で描いた、いたずら書きのような感じです。

今回、体格が大きくなった後の妻は顔が映らないようにしてあって、便器にはまった場面や脱出を試みる場面も断片的だったんだ

でもこのパラパラ漫画によって、便器にはまってしまうまでの全体がイメージできるようになってるね

イラストだからコミカルだけど、餓死って結末はかなり怖かったよね

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