【相棒】甲斐峯秋(かいみねあき)の登場回や登場人物との関係を解説

甲斐峯秋は、警察庁の元ナンバー2。息子である3代目相棒・甲斐享の事件で再起不能と思われた特命係を復活させ、現在は特命係の指揮監督を担う特命係の「ボス」になります。野心家で、時に特命係を政治利用することもありますが、警察組織や大切な人のためなら自らの権力を行使することを惜しまない人物です。

甲斐峯秋の概要

氏名

甲斐峯秋(かい・みねあき)/演 石坂浩二

生年月日

不明

season11第18話「バースデイ」(2013年3月13日放送)の隼人くん(加藤清史郎)と同じ誕生日であるようです。

血液型

A型

階級

警視監

経歴・役職

相棒登場前

・東京大学法学部卒

・在オーストリア日本国大使館(1992年頃?S11-1の20年以上前)

・在エルドビア日本国大使館(2003年。S12-1の10年前)

相棒登場後(season11~)

・警察庁次長(2012年夏から)

降格後(season14~現在)

・警察庁長官官房付(2015年~)

親族

長男:甲斐秋徳(かいあきのり)/新納慎也(S22-10)

次男:甲斐享(かいとおる)/成宮寛貴(S11~S13)

妻:氏名不詳(海外在住とされている)

事実上の家族(甲斐享の息子とその母)

笛吹悦子(うすいえつこ)/真飛聖(S11~S13、S22-10)

笛吹結平(うすいきっぺい)/森優理斗(S22-10)

甲斐享が婚姻届を拒んでいる状況。家族で説得中

甲斐峯秋の人物紹介

初登場時は警察庁のナンバー2

甲斐峯秋は、初登場から約3年間(season11〜13)は警察庁次長の地位にあります。

警察庁次長とは、警察庁のトップである長官を補佐する立場であり、警察庁のナンバー2にあたるポストです。次期「警察庁長官」として運用されることも多い重要な役職となります。

警察庁は、全国の都道府県警察を指揮・監督する立場にあり、甲斐峯秋は、警視庁をはじめとする各地の警察組織に対し強い影響力をもっています。

また、国家公安委員会や他省庁にも太いパイプを持つ存在であり、警察組織の内外に広く顔が利く人物として描かれています。

特命係を創設した小野田公顕と比べるとどうなの?

小野田公顕の役職は警察庁の「長官官房」の長だね。

この長官官房は、警察庁内部では筆頭ともいえる重要な部署だけど、

甲斐峯秋の「警察庁次長」は、その長官官房を含む内部組織全体を統括する、さらに上の立場になるよ。

長官官房の長であった小野田公顕(岸部一徳)と比較すると、階級はいずれも「警視監」であるものの、組織上の立場は甲斐峯秋のほうが上となります。

なお、歴代の警察庁次長の人事を観る限り、警察庁長官官房長(相棒では長官官房室長)の次のポストが警察庁次長となるケースが多いようです。

逆に誰が甲斐峯秋よりも「上」なの?

警察庁長官、そして警察庁を管理・監督する国家公安委員会だね。

さらに言えば、その国家公安委員会を所轄するのは内閣総理大臣になるよ。

杉下右京を高く評価する一方で政治利用も

甲斐享とともに香港の日本総領事館での事件を解決した杉下右京に、甲斐峯秋は興味を持ちます。

警察組織から見れば杉下は「毀誉褒貶(きよほうへん)、相半ばする」(=賛否両論)であるとしながらも、峯秋個人は、その能力や働きぶりを高く評価すると杉下に伝えます。

特に重視しているのは、捜査力そのものよりも、組織に忖度せず正義を貫く姿勢のようです。

でも、杉下右京の行動を無条件で容認しているわけじゃないよ

東国(相棒に登場する架空のアジア系国家)との間で国際問題に発展しかねない事件では、甲斐峯秋は政治的判断を優先します。このとき甲斐峯秋は、アメリカに恩を売るため、東国で拘束されていた米国工作員との交換を条件に、特命係の捜査を利用。先手を打つ形で工作員を東国へ逃がしました(S11-最終「酒壺の蛇」)。

国家や警察組織全体の利益を考えれば、杉下右京の正義と能力は、状況次第で毒にも薬にもなる存在です。

甲斐峯秋はその危うさを理解したうえで、排除するのではなく「うまく使う」判断をしています。

この杉下右京の扱い方は、亡き小野田公顕の姿勢ともよく似ています。

息子の不祥事と降格

3代目相棒・甲斐享が引き起こした連続傷害事件により、甲斐享は懲戒免職となります。

その社会的反響は大きく、父である甲斐峯秋も責任を問われ、警察庁長官官房付へと降格されました。

警察庁長官官房付は、『相棒』の世界ではいわゆる閑職にあたるポストです。

過去には、不祥事を起こした元警視庁副総監・長谷川(劇場版Ⅱ)や、特命係を辞した2代目相棒・神戸尊も就いています。

この異動以降、甲斐峯秋は屈辱的な言葉を投げかけられたり、リスクのある役目で白羽の矢が立つなど、不遇な扱いを受けることになります。

特命係の復活

甲斐享の事件を受け、杉下右京もまた無期限の停職処分となります。

それは事実上、依願退職を待つだけの処分であり、特命係もこれで終わりだと思われました。

そこであの事件が起こるんだね

その後、西多摩刑務所内で受刑者が殺害される事件が発生します(S14-1「フランケンシュタインの告白」)。

この事件で、法務省から出向中だった冠城亘と杉下右京がコンビを組むことになりました。

二人の捜査によって、当初から不審点の多かった事件の全容が明らかになります。

この成果を受け、杉下右京の処分解除の機会をうかがっていた甲斐峯秋は、ここぞとばかりに強権を発動

杉下右京を正式に復帰させ、特命係は再び動き出すことになります。

まだまだ、甲斐峯秋の影響力がいかに強大であるかを示す展開だよね

衣笠藤治との対立

警視総監が殺害された事件では、特命係の捜査によって、事件の背景に衣笠藤治の痛恨のミスが存在したことを甲斐峯秋は掴みます。

甲斐峯秋はこのミスを追及しないことを衣笠に持ちかけ、次の警視総監人事において、自身にとって都合のよい人物が就任するよう協力させました(S15-10)。

衣笠には冠城亘の人事を邪魔されて、頭を下げる場面もあったよね(S15-1)

あれを思うと、見事にやり返した形だなあ(S15-10)

特命係の直属の上司へ

衣笠の発案により、甲斐峯秋は特命係の組織図上の直属の上司という立場に置かれることになります。

その狙いは明確で、特命係が問題行動を起こした場合、甲斐峯秋自身も連帯して処分できる構図をつくるためでした。

警視庁の警察官なのに、警察庁の甲斐さんが上司になるの?

杉下右京は警察官僚だから、もともとは警察庁採用の人間。

今は警視庁に出向している状態のはずだから…

そうだった!

四半世紀以上もこの状態だから、すっかり忘れてた

しかし、その後も衣笠藤治とつながりのある官僚や政治家、さらに衣笠に従っていた警察幹部たちが、次々と特命係の捜査網にかかっていきます(S16-10「サクラ」、S22-1・2「無敵の人」、S22-最終話「トレードオフ」など)。

結果として、衣笠藤治の足場は、少しずつ切り崩されていくことになりました。

でも、特命係の上司となったことで、甲斐峯秋にもデメリットはあったよね…

内閣官房長官・鶴田翁助と特命係の戦いに巻き込まれ、享の事件を蒸し返すような印象操作ともいえる攻撃をメディアから受けたのです。しかしその際、甲斐峯秋は特命係を制止するどころか「鶴田翁助を叩き潰せ」と命じました(S20-1~3「復活」)。

社美彌子との共闘

外国人スパイのヤロポロクとの間に娘をもうけていた事が公になった社美彌子。

このとき甲斐峯秋は、彼女を守るために彼女と共に警視庁上層部に対し、誰にも反証できない一つの“嘘”をつきました。

これにより、衣笠藤治をはじめとする警視庁上層部との対立は決定的なものとなりますが、峯秋は未来ある彼女に賭けたのです。

意外にも義理堅い社美彌子は、その後、甲斐峯秋の味方につくようになり、後に内閣情報官という大出世を果たします

プライベートは家族思いのおじいちゃん

享の事件後も、正式な入籍こそしていないものの、笛吹悦子と享の子である笛吹結平を事実上の家族として迎え入れていることが描かれています。

特に孫の結平については、兄である甲斐秋徳とともに溺愛しています(S22-10「サイレント・タトゥ」)

なんと、結平を自身の送迎車(公用車)に乗せて遊びに連れていっているよ!

小野田公顕のセルフオマージュかな?

小野田(岸部一徳)も、孫をとてもかわいがっていて、公用車に乗せていました。

甲斐峯秋の「野心」とは

警察庁次長であったころの甲斐峯秋は、警察組織を牽引する存在でした。

そのため警察の立場をより有利にするために、特命係の能力を戦略的に利用する場面も見られます(S11-最終「酒壺の蛇」)。

いっぽうで、甲斐峯秋は警察庁次長の地位にあった時代から、警察組織の硬直化や自浄機能の低下を憂いている節があり、組織の風通しをよくすることも目指してきました。

杉下右京に期待を寄せた理由も、優秀でありながら、出世や派閥に興味がないことにあり、杉下との初対面の場で甲斐峯秋は、「優秀なスタンドプレーも、ある程度は必要だ」と語ります。

以後、特命係の捜査にたびたび協力したり、杉下右京を処分から守ったことや、社美彌子、冠城亘といった優秀な若手官僚への支援を惜しまなかったことも、こうした考えが背景にあると考えられます。

降格後の甲斐峯秋が目指しているのは、自分自身の復権ではなくて、特定の人脈や派閥に警察組織が偏る状態をなくすことなんだね

力が一か所に集中すると、不正の温床になるからね。

ときどき私情が混じっているように見える場面もあるけれど、大枠では「警察がよりよくなる方向」をめざして特命係を使っている人物だと思うよ。

甲斐享への想い

警察庁次長時代(season11~13)

甲斐峯秋の次男・享は長年、「自分は兄のように優秀ではないため、甲斐峯秋から見放されている」と認識していました。

一方の峯秋は、享のほうが父を毛嫌いしており、峯秋の助言どおりの進路に進まなかったにもかかわらず、警察組織に一般採用で入ってきたことを、子どもじみた嫌がらせだと受け取っていました。

しかし、これらはコミュニケーション不足による相互の思い込みであることが、徐々に明らかになっていきます。

実際には、享は父への反発からではなく、自分自身の信念で警察の道を選んでいました。その事実を杉下右京から聞かされた峯秋は、思いがけずとても楽しそうに笑います(S12-5「エントリーシート」)。

さらに驚くべきことに、大学進学を機に享は家を出ており、杉下右京の相棒となってから2年目にあたるseason12の最終話まで、12年ものあいだ、峯秋とは一度も対面していなかったことも明かされます

互いに認識のずれを抱えたまま、峯秋の高圧的な物言いと、享の口の悪さが重なり、電話越しに憎まれ口を叩き合う関係が続いていただけだったのです。

相棒として3年目を迎えるseason13(最終シーズン)では、二人の態度に変化が見られます。

享を励ましたい気持ちはあるものの、どうしても上から目線になってしまう峯秋の不器用さ。

そして、自身も父となり、悦子の願いもあって峯秋ときちんと向き合おうとする、一段階大人になった享の姿が描かれています。

降格後(season14~)

こうして関係が変わり始めた矢先、甲斐享の罪が明らかとなります。

峯秋自身も降格という処分を受けながら警察組織に残り、

次長時代には考えられなかった不遇な立場に置かれることも増えていきました。

それでも、享を疎んじる様子は見られません。

むしろ、「できの悪い子ほどかわいい」「しくじりに寛容になった」といった言葉を、享に重ねながら関係者に伝えるようになりました。

事件をきっかけに、これまでとは異なる価値観を得ることができ、第二の人生の糧にしているようにも見えます。

また、season22では、孫の結平に享のことを話す決意を固め、Season24では、著名な作家が甲斐享をモデルにした小説を書くことに強く抗議し、ひさびさに強権を発動しています。

甲斐峯秋の主な登場回

甲斐峯秋の活躍場面を中心に解説していきます。

警察庁次長時代①(season11)

初登場のseason11は、同じく初登場の息子・甲斐享との親子関係がもっとも悪く描かれています。

また、天下りシステムの開発や警察庁の不祥事の隠蔽を行っていたり、特命係を自身の政治に利用したりと、狡猾な立ち回りも目立ちました。

このseasonのみを視聴すると、甲斐享が嫌っている理由はこれかと誤解してしまいそうになるね…

主な登場回内容
S11-1
聖域
・初登場回。甲斐享に非常に嫌われており、警察官を辞めるようすすめたところ「おととい来やがれ」と言われてしまう。
・享と事件を解決した杉下右京に興味をもつ。
・杉下右京の頼みを受けて、享を特命係に異動させる。
聖域
S11-2
オークション
・杉下右京がなぜ息子の享を相棒に選んだのか、その理由が気になっているが、杉下からは「甲斐享という人間に興味がある」と曖昧な返答を受ける。
・オークションハウスの捜査のため、会員である自身の力を杉下右京に貸している。
オークション
S11-3
ゴールデンボーイ
・甲斐享が捜査情報を電話で復唱したことが、取り返しのつかない事態につながる。甲斐峯秋は「自分の息子であることを忘れたい」と杉下右京に漏らす。
S11-4
バーター
・殺人事件の捜査の過程で、警察官僚の天下り先の交換システムを解明してそれを報道機関に流した特命係。そのシステムはもとは甲斐峯秋が構築したものだった。
・特命係にこのまま仕組みを潰されるかと思いきや、目立ちそうな天下り職員を組織図に乗らない「嘱託職員」とするよう部下に指示してやり過ごした。
S11-6
交番巡査甲斐享
・甲斐享が交番時代に相談を受けたストーカー事案が殺人事件へ発展。思い込みから冷静な判断ができず、杉下右京も強く指導した。
・この件で甲斐峯秋は花の里に来店。享のことを「警察官の本質ができていない」と卑下するが、杉下に「警察官以前に、人としての基本ができている」と息子を褒められ、まんざらでもなさそうな表情をする。
S11-9、10
森の中、猛き祈り
・甲斐享が襲撃され重症を負い、おまけに記憶を失う。
・さらに甲斐享が女性を襲った疑惑が浮上し、落ち着かない様子の甲斐峯秋。
・甲斐享の疑いは晴れたが、甲斐峯秋は杉下に、「これは享が警察をやめるべき暗示のようなものではないか」と言い出す。
S11-11(元旦SP)
アリス
・警察庁の不正に関する「国枝文書」を旧早蕨村で探す甲斐峯秋。別件で同村に滞在する特命係もその存在にたどりつく。杉下右京に発見されれば必ず内容を公にすると考えた甲斐峯秋は享に電話し、「文書を見つけ次第、杉下右京のために処分しろ」と連絡する。
・しかし享にはまったく相手にされない。
・結局、文書はカビにより読み取り不可となっていた。
s11-12
オフレコ
・捜査一課の伊丹(川原和久)がデイリー東和の女性記者と知らず、議員秘書の不審死について捜査情報を漏らしてしまったかもしれず、首席監察官の大河内春樹(神保悟志)は処分も検討する。
・その後、伊丹が特命係とともに事件の真相を解明。さらに杉下右京の提案で、大河内は警察の捜査を撹乱しようとしたデイリー東和にある報復を仕掛けた。
・特命係と大河内の連携を見た甲斐峯秋は大河内にも興味をもち、以後たびたび次長室へ呼び出すようになる。
s11-18
バースデイ
・誕生日祝に貰った菓子を「息子(享の兄)も妻も海外にいて処分に困る」と言い、杉下に譲る
・誕生日であることを享に伝えたほうが良いかと杉下が気を遣うが峯秋は断る
・突然「花の里」の話を始める峯秋。明らかに杉下に誘って欲しそうだが、杉下はそれに気づかずそのまま帰ってしまう。
S11-19
酒壺の蛇
・警察官の殺害に関わった疑いのある東国工作員を、特命係と大河内、組対や捜査一課が協力して追う。それを阻止して政治利用したい甲斐峯秋は、享に「領空内誘導」という言葉をぶつけて反応を確かめ、特命係を出し抜き工作員を東国へ返す
・杉下右京との食事の席で息子を卑下する峯秋。杉下から冷たく、享は峯秋が持っていない、警察官として一番必要なものを持っていると告げられる。

警察庁次長時代②(season12)

season12では、甲斐峯秋の人間性にスポットがあたる回が多くなります。

加えて、享との険悪な関係が単なるコミュニケーション不足により生まれた可能性も見えてきます。

特に最終話は、父親としての気持ちや、警察官僚として小野田公顕の生前のイリーガルな行動をどう評価するかなど、峯秋の魅力が詰まっている回になっているよ

主な登場回内容
S12-1
ビリーバー
・10年前、エルドビアで日本企業の社長が誘拐され、殺害される。当時、在エルドビア日本国大使館で勤務していた甲斐峯秋が身代金の交渉に応じなかったせいだと陰謀論に傾倒する配信者が暴露した。
・犯人らに拉致監禁された甲斐峯秋の映像が配信される。「身代金をもらってでも助かりたいのではないか」という犯人からの問いを、峯秋があたかも肯定したかのような編集がなされていたが、享は峯秋がそのようなことは言わないと確信していた
・後に峯秋は「取引をしてまで助かりたいとは思わない」「(殉職する)覚悟はできている」と答えていたことが判明し、享の見立てどおりであった。
・また、犯人が特命係の前で峯秋を侮辱した際に、享は犯人を殴る場面もあった。
S12-5
エントリーシート
・甲斐享が警察官になった理由を、自分への嫌がらせと考えていた峯秋。
・花の里で杉下右京から、享が警察官となった本当の理由を聞き、長年の誤解が解けたためか楽しそうに笑う。
S12-8
最後の淑女
・甲斐峯秋の頼みにより、20年前に亡くなった文豪・夏河氏の死の真相を調べることになった特命係。きっかけは甲斐峯秋が支援する若い女性・小百合(大谷英子)が「夏河を殺害したのは行方不明の父ではないか」と峯秋に相談したことだった。
・峯秋はなぜか小百合に金銭などさまざまな援助をしており、峯秋の隠し子である可能性も疑われた。
・実際は隠し子ではなく、篤志家である江花須磨子(岩下志麻)が自分のせいで父を失った小百合のため、人として信頼できる峯秋を通じて援助していたものだった。
困っている人を放っておけない、甲斐峯秋の一面が描かれた回であった。
S12-10(元旦SP)
ボマー
・体に爆弾を巻かれた少年と行動を共にし、警察から逃げざるを得なくなった甲斐享。
・犯人に嵌められ、交番爆破や内村部長の狙撃など次々と罪状が増えるなか、甲斐峯秋は、次長の息子だからと隠蔽に走らないよう警察幹部に徹底し、甲斐享を指名手配するようみずから指示した。
S12-19
プロテクト
・闇社会にその名を轟かせた、死刑囚・御影康次郎(中村嘉葎雄)。その長男が看守の家族を人質にとり、勾留中の元法務大臣の瀬戸内米蔵(津川雅彦)を脅迫する。目的は、政府が保護したとみられる三男の行方であった。瀬戸内は看守を通じて特命係に連絡を取り、三男の居場所を探らせる。
・生前の小野田公顕による1億円の使途不明金の用途に勘づいた杉下右京は、この推理をもって甲斐峯秋に瀬戸内の保釈に動くよう依頼。人質籠城事件の発生を隠し、独断で犯人と交渉した特命係に怒りを見せる甲斐峯秋だが、享が「あなたの強権でも無理なのか」と煽り、瀬戸内の釈放と警視庁のSITの配置を手配する。また、以後のすべての経過を報告するよう特命係に指示し、事態の収束の責任を負った。
・三男は戸籍上死亡しており墓もあった。しかし長男の説得は困難であり、峯秋はやむをえず御影康次郎をイリーガルに拘置所から連れ出し、三男の死を告げ、電話で長男の説得にあたらせた。
・驚いたことに御影は三人の兄弟のうち、自身を法廷で裏切った三男をもっとも愛していた。甲斐峯秋にも二人の息子がいると知り、どちらが好きかと尋ねるが、峯秋はどちらかを贔屓したことはないと答える。
・事件解決後、甲斐峯秋は記者会見で1億円は証人保護のための活動に充てられたことを公表し、違法であるが個人的に小野田の心情は理解できるとした。

警察庁次長時代③(season13)

season13では、甲斐峯秋と社美彌子の関係が始まるとともに、甲斐享の人生の転機が訪れます。

そして享との関係に改善の兆しが見え始めた矢先、享の事件が発覚しました。

父親と警察官の間で揺れるのかと思いきや、なりふり構わず速攻で享(と悦子)を守りに走るんだ

主な登場回内容
S13-1
ファントム・アサシン
・甲斐享から婚約者・悦子(真飛聖)の紹介を受けるため3人で食事会をするも、席についたとたん峯秋が冷たい物言いをし、享は仕事を理由に帰ってしまう。
・警視庁に異動した社美彌子(仲間由紀恵)が甲斐峯秋に電話で挨拶を入れ、特命係と関わったことに触れる。
・甲斐峯秋は励ましの言葉とともに、特命係は使いようであると知恵を授ける。
S13-5
最期の告白
・特命係が甲斐享の古巣の中根署刑事課の冤罪事件を調べていることを知った甲斐峯秋は、真犯人の命が長くないことを知り、特命係の足止め工作に手を回す。
・峯秋は単に警察の威信を守りたいだけでなく、これからの組織犯罪対策に欠かせない「司法取引」の成立を見据えての行動であった。
S13-7
死命
・甲斐享が保険金殺人の疑いのある男を追跡。男はビルより自ら転落し亡くなった。享に直接の責任はないものの、自分が追い詰めて殺したも同然であると辞職を考える享。峯秋は享を呼び出すも「いつも肝心なところでお前は失敗する」などと余計なことをいい、享から「そんなことを言うためにわざわざ呼んだのか」と冷たく返されてしまう。
・しかし、峯秋なりに気落ちした享を励ますために呼び出したことは明らかであり、息子にうまく気持ちを伝えられない父親としての姿が描かれている。
S13-10(元旦SP)
ストレイシープ
・連絡がつかない杉下右京。享はこれまでの犯人の情報や手口から、人質をとられて神奈川県方面で犯人に監禁されていると推理。しかし確証がないため警視庁は動けない。
・そこで享は峯秋に状況を説明し、頭を下げる。峯秋はすぐに警視庁からSITと狙撃犯を派遣させる手配をし、神奈川県警にも連絡を入れた。
・享の推理が外れていれば失脚するレベルの対応であったため、享は素直に峯秋に礼を言う。
S13-15、16
鮎川教授最後の授業
・悦子の妊娠が判明。享は報告のため峯秋にあらためて話があると連絡をいれた。
・しかし峯秋にとっては、このようなことが今までなかったため不安で待ち切れない。峯秋はなんと悦子に先に連絡を取り、事情を聞いてしまう。
・悦子に話を聞いて安堵した峯秋であったが、席を立ったところで悦子が倒れる。これにより、悦子の重い病が発覚した。
S13-19
ダークナイト
・悦子の見舞いに来るなど、享たちを気に掛ける峯秋。
・一方、享の秘密に気づいた悦子は、杉下右京もまた享に疑念を抱き始めたことを察知し、峯秋に助けを求める。
・これにより、享の身柄は監察であずかることとなり、刑事部のラインから真相を究明するよりは社会的ダメージの少ない方法で捜査が遂げられた。
・峯秋は留置場で享の顔をバチーンと平手打ちした。
・峯秋なりに享の心情を考察した結果、杉下右京を出し抜くことで心のバランスをとっていたのではないかという推測に至っている。

息子・甲斐享の事件で降格(season14)

杉下右京の3代目の相棒であった甲斐享の件で、甲斐峯秋は警察庁次長から警察庁長官官房付に異動。

警察庁長官官房付は、相棒の世界において閑職にあたるポストです。

不祥事を起こした元警視庁副総監の長谷川(國村隼・劇場版Ⅱ)や、特命係を辞した2代目相棒・神戸尊などが就任しています。

ここからの甲斐峯秋は、屈辱的な言葉をかけられたり、リスクのある役目で白羽の矢が立つなど、不遇な扱いを受けることになります。

その一方で、特命係を使い、邪魔な人材を排除するなど、まだまだ野心は残っています。

主な登場回内容
S14-1
フランケンシュタインの告白
・警察庁次長から警察庁長官官房付きとなった甲斐峯秋。
・相棒におけるこのポストは閑職にあたる。不祥事を起こした元警視庁副総監の長谷川(國村隼)や特命係を出て行き場のない2代目相棒・神戸尊なども就いている。
・しかし、無期限停職処分中だった杉下右京が刑務所内での事件を解決したことを機に、甲斐峯秋は「鶴の一声」で杉下を復職させる。まだまだ警視庁への権力は健在であった。
S14-2
或る相棒の死
・法務省から出向中の冠城亘が埼玉県警の不祥事を探る回。
・警視庁副総監の坂の上から、警視総監への競争に敗れたことを強調される甲斐峯秋
・その後、冠城亘とそれに協力した杉下右京により埼玉中央署の裏金づくりが発覚。その隠蔽に加担していた副総監も失脚する事態に。
・大河内監察官(神保悟志)からわざと冠城亘を泳がせたのではないかと尋ねられた甲斐峯秋がほくそ笑む。
・降格され時間ができたため、お茶に凝り始めた甲斐峯秋。杉下右京と冠城亘にそれぞれ勧めるも、どちらからも一日に摂取できるカフェインは紅茶(冠城はコーヒー)で足りているとされ、断られる(大河内は飲んでいる)。
S14-10
英雄~罪深き者たち
・内閣官房副長官に就任した片山雛子(木村佳乃)は次の総理大臣を目指す内閣官房長官・音越栄徳(西村和彦)を担ぎ上げ、勢いづいていた。
・テロリストの本多篤人(古谷一行)から片山雛子へ、都内に爆弾を仕掛けたとの連絡が入る。それまで公安調査庁との合同チームで本多を独自に捜索していた片山だが、彼女に代わって指揮を執るものが必要となった。
・しかし、飛ぶ鳥を落とす勢いの片山を指揮したい者などいない。そこで身軽な甲斐峯秋に白羽の矢が立つ。警察の介入など望んでいない片山は、甲斐峯秋の降格を執拗にイジるなど挑発的な態度をとる。
・特命係の活躍により、あと一歩で本多篤人を説得し、犠牲者をだすことなく解決できる道が見えてきた。すると片山雛子は音越と自身のイメージアップのため、テロに立ち向かった既成事実を作るべく、リスクの高い方法で本多の人質交換を希望。甲斐峯秋はその作戦を受け入れず、ここで指揮官を降りる
・現職の内閣官房長官を失う最悪の結果に終わり、片山雛子は全責任を負って辞職する。
S14-20(最終)
ラストケース
・冠城亘が法務省を退職後、警視庁で活躍できるよう日下部彌彦(榎木孝明)が甲斐峯秋に根回しに来る。

衣笠副総監との対立(season15~16)

警察の威信を守ることと自身の権力拡大に力を注ぐ警視庁副総監・衣笠藤治(大杉漣。S16-最終話から杉本哲太)が登場。

衣笠は甲斐峯秋に対し、表面上は穏やかに接しつつも、時々辛辣な言葉を吐いたり、コントロールが効かない特命係と一緒に排除しようとします。

一方、甲斐峯秋もやられっぱなしではなく、特命係を利用し、衣笠の勢力に染まった警視庁人事を少しずつ動かしていきます。

主な登場回内容
S15-1
守護神
・捜査がしたくて警視庁に入った冠城亘は、広報課で社美彌子(仲間由紀恵)の部下となっていた。冠城は自筆の書状を甲斐峯秋に差し出すほど、この人事に不満を抱いている。
・甲斐峯秋は冠城亘の処遇について、警視庁副総監・衣笠藤治(大杉漣)が甲斐の邪魔をしているせいだと確信していた。衣笠を訪問し、冠城をせめて特命係へ異動させるよう進言するも、衣笠はとぼけるばかりで聞き入れない。
・事件解決後、社美彌子とヤロポロクとの関係に疑念を抱いた法務省の日下部は、冠城亘に彼女を調べるよう密命を与える。日下部に逆らうことのできない冠城は状況を社に説明し、今度は社が甲斐峯秋に冠城の特命係への異動を願い出る。
・かつて社美彌子が警視庁に出向してきたときに交わした約束を果たすためか、あるいは社の将来性を見込んでいたのかはわからないが、甲斐峯秋は奮起し、プライドを捨てて衣笠に頭を下げる。これにより冠城亘は晴れて特命係となった。
守護神のあらすじ
S15-10
帰還
・年末、警視総監の四方田(永島敏行)を囲む会合に出席した甲斐峯秋。衣笠副総監らが警視総監に挨拶する中、会場の外で孤立する。そんな甲斐を見た衣笠は、帰ったらどうかと冷たい言葉をかける。
・四方田をはじめとする複数の警察官の犠牲者がでるも、特命係の活躍で犯人の逮捕に至る。
・捜査のなかで、犯人が警察内部の事情を知り尽くしていた原因が衣笠の指揮で納入されたパソコンにあったことが判明する。このことを甲斐峯明は表立って糾弾しないことを衣笠に約束する。その代わり、次の警視総監には甲斐峯秋にとって都合のよい人物をあてる手伝いをするよう衣笠に要求した
S15-18
悪魔の証明
・社美彌子に娘がいることが週刊誌に取り上げられ、父親が外国人スパイのヤロポロクであると嗅ぎつけられる。社の警察官僚としてのキャリアは絶望的な状況に見えた。
・しかしこれらはすべて社美彌子が仕組んだことであった。衣笠をはじめとする警視庁上層部から追及された社は、非常にセンシティブな話で嘘をつき、甲斐峯秋もそれを裏付ける証言をした。つまり二人で警視庁を騙したのだ。これにより甲斐峯秋は社美彌子という強力な味方を得ることとなった。
・この件から、「甲斐峯秋と社美彌子」、「衣笠藤治、内村完爾、中園照生」の派閥が生まれた。
悪魔の証明のあらすじ
S16-1、2
検察捜査
・甲斐峯秋は衣笠副総監(大杉漣)から、特命係の指揮統括の役を引き受けて欲しいと依頼を受ける。コントロール不能の特命係が問題を起こした時、衣笠らに責任が及ばないようにすることと、あわよくば甲斐峯秋の監督責任を追及できることを狙ったものだ。
・そんな腹の中は甲斐峯秋もお見通しだが、特命係を自身の復権に利用することを視野にこれを承諾する。「後悔させるようなことにならなければいいが」と衣笠に向けて宣戦布告のような言い回しをする。
・本編では法務省の日下部彌彦と検察官の田臥准慈(田辺誠一)が特命係を潰すため、特命係の違法捜査の立件に動いていた。しかし、甲斐峯秋が正式に上司となるまでのタイムラグにより、衣笠は特命係を今回は延命することを決断。立件が見送られるよう内村完爾らに手配した。
S16-10
サクラ
・内閣情報審議官・有馬武人(鶴見辰吾)に嵌められ、警察に追われるハッカーの少年・上条喬樹(伊藤健太郎)。この少年を無事に保護するため、有馬らが出席する年末御用納めの会場に到着した特命係。しかし有馬に従う衣笠副総監(大杉漣)の捜査方針に異を唱えたため停職処分となっており、厳重な警備態勢を敷く会場内に入ることができない。
・そこで甲斐峯秋が自身の連れであるとし2人を会場に招き入れる。それを見ていた衣笠は、会場内で2人が問題を起こせば、責任は甲斐峯秋がとることをその場で承諾させる。
・興奮状態で有馬に銃を向ける上条を杉下右京が説得し始めたため、衣笠はあえて上条への射撃命令を止め、杉下右京の失敗を願って説得を続行させる。
・これにより上条の口から有馬の罪がリアルに語られ、会場の出席者たちは困惑する。さらに内閣官房副長官・折口洋介(篠井英介)もまた、有馬から脅迫を受けていたことを告白する。疑惑を向けられた有馬に、衣笠はそっと任意出頭を促した。
・甲斐峯秋は衣笠の変わり身の早さを皮肉を込めて褒めるが、衣笠はとぼける。
これにより、衣笠と持ちつ持たれつであった内閣情報調査室のナンバー2を失脚させる結果となった。
S16-13、14
いわんや悪人をや
・社美彌子に、ヤロポロクを名乗る直筆の手紙が国内の郵便物に忍ばせて送られる。内容は坊谷一樹の殺害を告白するものであり、ヤロポロク本人かその協力者が国内にいる可能性が浮上した。
・ヤロポロクやその協力者に捜査の手が及んだ場合、甲斐峯秋がかつて社美彌子に協力し、警視庁上層部に嘘をついたことが発覚しかねない(S15-18)。
・甲斐峯秋は特命係に、坊谷一樹の捜査状況を自身に逐一報告するよう求めた。

衣笠副総監との停戦(season16~17)

警察組織や地位を守るための裏工作が得意な点や、お互いに「問題児」を抱えている点において、実は似たもの同士である甲斐峯秋と衣笠藤治。

青木を特命係で匿ってもらうことで甲斐峯秋に借りをつくった衣笠藤治は、しばらくは特命係や甲斐峯秋と表立って争わない。

また、東国との関係を維持したい政府の意向に沿うために、甲斐と衣笠で協力し、特命係を出し抜く回もあります。

前に甲斐峯秋は東国での対応を巡り、杉下右京とぶつかっているから、特に警戒している様子だったね(S11-最終)

主な登場回内容
S16-最終
容疑者六人~アンユージュアル・サスペクツ
・週刊フォトスの記者・風間楓子がエスカレーターで背中を押されて転落。額を縫う怪我を負う。背後に立っていた衣笠副総監(杉本哲太)、青木、内村、中園、そして甲斐峯秋と社美彌子の6人が傷害被疑事件の容疑者となる。
・この事件はインターネット上で話題となり、たちまち6名の個人情報がさらされる。甲斐峯秋には「ダークナイト・パパ」のキャッチコピーが添えられた。
・犯人が自分や社美彌子でないことはわかっている甲斐峯秋は、衣笠の失脚の機会になればと、国家公安委員・三上冨貴江(とよた真帆)を警視庁の監察にけしかける。杉下右京は、事件当時の6人の立ち位置、人間関係、力関係から、犯人を絞り込む。
・事件解決後、甲斐峯秋は青木を特命係に受け入れることで衣笠に貸しを作る
S17-1、2
ボディ
・国家公安委員の三上冨貴江(とよた真帆)は、夫の鬼束鋼太郎(利重剛)から父を殺害したと告げられる。自身の立場を守るために冨貴江たちは遺体を隠し、事件性のない行方不明を装う。
・甲斐峯秋は義父を探す彼女の力になるため特命係を派遣し、内村刑事部長に対しても捜査が必要になったときは協力するよう根回しをした。
甲斐峯秋は衣笠副総監(杉本哲太)と2人であんみつを食べながら青木の話をする。会話の中で、S16での事件の際、衣笠が青木を特命係に避難させてほしいと甲斐峯秋に頭を下げたことが判明する。甲斐峯秋は息子の甲斐享を思い出しながら、出来の悪い子ほどかわいい気持ちはわかると口にする。
・事件解決後には三上冨貴江と面会し、彼女の再生にエールを送った。
S17-10
ディーバ
・衆議院議員の敦盛劉造(西岡德馬)の15歳の孫・槙が産んだ8か月の男児が誘拐される。敦盛は政財界や高級官僚で組織される「Gentlemen’s social club」のメンバーであり、衣笠副総監や降格前の甲斐峯秋も所属していた。
・敦盛代議士の意向により、衣笠は誘拐捜査の規模や手法を大幅に制限する。甲斐峯秋もまた、効果はないと思いつつも敦盛代議士への詮索を控えるよう特命係に伝える。
・事件解決後、衣笠は青木をサイバー対策室に戻すことを画策。甲斐峯秋のもとにも挨拶に訪れる。甲斐峯秋は今回の件で、青木が衣笠に火の粉がかからないよう振る舞ったことを衣笠が評価したと考えた
S17-最終
新世界より
・遺伝子工学の世界的権威である大学教授が殺害される。この教授は生前にゲノム編集による殺人ウイルスを製造していた疑いがあった。しかし、ウイルスを製造した犯人は別におり、しかもその背後には東国の女性工作員が暗躍していたことが判明する。東国との関係などお構いなしの杉下右京は、両名を検挙するため取引現場に向かう。
・一方、東国との関係を悪化させたくない政府の意に従う甲斐峯秋。衣笠に連絡し、この女性工作員の情報を東国の大使館へ提供(表向きには抗議という形で提供)することで、東国に自国で処理する機会を与えることを提案する。衣笠は甲斐峯秋の案に賛成した。二人の思惑どおり、女性工作員は取引現場には現れず、後日遺体で発見。事故死として処理され、両国の関係は守られた。

杉下右京の推理力が減退(season18)

花の里がなくなると、思考にもやがかかり推理力減退症候群になってしまう杉下右京。

かつて元妻・宮部たまき(高樹沙耶)が店をやめた時に発症しており、刑務所から出所した月本幸子(鈴木杏樹)が2代目を引き継ぐことで回復しました。

しかしseason17の終盤で月本幸子が新しい道を歩み始め、再び花の里は閉店に。そのせいでseason18の杉下右京はたびたび不調となります。

そんな杉下右京に、甲斐峯秋はあらたな憩いの場として「こてまり」を紹介します。

主な登場回内容
S18-1、2
アレスの進撃
・北海道の天礼島に所在する財団「信頼と友好の館」。この館で発生した連続殺人事件の容疑となった自衛隊高級幹部の元レンジャー岩田純(船越英一郎)。警察から防衛省に情報を求めることは容易ではなかったが、甲斐峯秋は、衆議院議員であり国家公安委員長である鑓鞍兵衛(柄本明)の協力で防衛省から情報を得ることに成功する。
・鑓鞍兵衛は杉下右京に対し、警察をクビになったら自身の事務所で雇ってやると話す。目の前で部下をスカウトされたためか、甲斐峯秋は戸惑いの表情を浮かべている
・なお、この回では財団に属する若者たちに杉下右京が幻覚作用のあるキノコを服用させられハイテンションになり、数日間足止めをくらっている。これが不調の始まりであった。
S18-11(元旦SP)
ブラックアウト
・年の瀬、警察幹部のゴルフコンペ会場の地下駐車場で爆発が起こり、帰宅しようとしていた警察庁OBの蓮見恭一郎(長谷川初範)、杉下右京、内村刑事部長を含む9名が閉じ込められ人質となる。
・事件は5年前のトンネル崩落事故の遺族らが計画したものだった。事故当時、詐病で優先的に救出された蓮見を恨み、同じ状況で蓮見を追い詰めて本音を引き出し、世間に発信することが狙いだった。
・蓮見を知る甲斐峯秋は衣笠に電話で、特命係が蓮見の余罪を暴く可能性があると忠告する。
S18-最終
ディープフェイク・エクスペリメント
小料理屋「こてまり」の女将となる小出茉莉(森口瑤子)、内閣官房長官・鶴田翁助(相島一之)、内閣情報調査室の柾庸子(遠山景織子)の初登場回となる。
・花の里がなくなり推理力減退症候群にあると噂される杉下右京。彼を気遣い、芸者を引退した小出茉莉が始めた「こてまり」を杉下右京に紹介する。

vs内閣官房長官・鶴田翁助(season19~20)

白バイ隊員の銃撃事件が、やがて内閣官房長官・鶴田翁助(相島一之)と特命係との全面戦争に発展していきます。

甲斐峯秋も特命係の上司としてその戦いに巻き込まれ、立場を失いかねない嫌がらせを受けます。

主な登場回内容
S19-1、2
プレゼンス
・白バイ隊員・出雲麗音(篠原ゆき子)の銃撃事件が発生。特命係は、事件の首謀者がIT長者の加西周明(石丸幹二)であることを突き止める。
・しかし衣笠副総監の鶴の一声で加西への逮捕は中止。甲斐峯秋は、衣笠の行動は警察ではないもっと上からの意向にしたがったものだと推測するが、正体はまだわからない。
S19-11(元旦SP)
オマエニツミハ
・小出茉莉(森口瑤子)がプレゼント用のネクタイを選ぶため杉下右京とショッピングに出かける。その場面を目撃した青木により、警察内では杉下右京の再婚が面白おかしく噂になっていた。この噂は甲斐峯秋の耳にも届き、それが本当なら嬉しく思ったと話す。
S19-19、最終
暗殺者への招待
甲斐峯秋は、加西周明の逮捕に待ったをかけた衣笠副総監のもとを訪ねる。衣笠は誰からの圧力であったか口を割らない。しかしその際に衣笠が用いた、特命係を「若い衆」とする不自然な言い回しから、杉下右京は直前に話していた人物の口調がうつった「口調の伝播」ではないかと考える。
・衣笠に圧力をかけたのは、特命係をよく「若い衆」と呼ぶ国家公安委員長・鑓鞍兵衛(柄本明)であった。ただしその内容は、加西周明と内閣官房長官・鶴田翁助と持ちつ持たれつの関係であるというもので、衣笠が忖度した相手は鶴田翁助であった。
・加西周明の殺害は鶴田翁助の指示であったと考える特命係は、鶴田翁助に宣戦布告する。
S20-1、2、3
復活
・鶴田翁助の怒りを買った特命係をつぶすため、内閣情報調査室からの攻撃の対象は、特命係の上司である甲斐峯秋に及ぶ得意のフェイク動画を使った冤罪で冠城を逮捕し、それがすぐに不起訴となるよう手配した。これにより、週刊誌や新聞で甲斐峯秋は「子息ばかりか部下も犯罪者」「圧力で不起訴」と、まるで甲斐峯秋が権力を濫用しているかのように報じられてしまう。さらには小出茉莉を愛人であるとするデタラメな記事も出始めた。
・怒り心頭の甲斐峯秋は特命係に、鶴田翁助を徹底的に潰すよう命じる。
・一方、甲斐峯秋の身を案じる社美彌子は、水面下で鶴田翁助と交渉していた。鶴田翁助にとって不利な証拠や人物の身柄を引き渡し、代わりに次の内閣情報官のポストを得る。
・鶴田翁助が失脚したことで話は白紙に戻るかと思われたが、社美彌子はこれに備えて鑓鞍兵衛を味方につけており人事を実現。このことは甲斐峯秋にとっても予想外で、社美彌子の周到さに驚いている
S20-11(元旦SP)
二人
・年末、小出茉莉に「こてまり」の席を用意してもらえなかったことで、会員制の高級レストランで特命係と食事をする甲斐峯秋だが、かなり不機嫌である。途中、杉下に小出茉莉から「席を用意できるのでぜひ」と連絡が入り、さらに杉下から「VIP御用達の店で時間をつぶしていた(意訳:甲斐峯秋は待ちぼうけをしていたわけではない)」と小出茉莉に伝える配慮を見せられ、嬉しそうにする。
・事件解決後、元旦にこてまりを貸し切りにしてもらい、再び上機嫌となる。
S20-最終
冠城亘最後の事件
・日下部彌彦(榎木孝明)の誘いを受け、法務省の公安調査庁に契約職員として戻る冠城。「中年が荒野を目指したっていい」と最後まで本心を語らない冠城亘に、甲斐峯秋は「相変わらず煙に巻くのがうまい」と返す。

内閣情報官・社美彌子(season21~22)

甲斐峯秋が味方についた社美彌子が内閣情報調査室のトップ「内閣情報官」に大出世を果たしました。

そしてついに、甲斐峯秋と社美彌子は衣笠副総監の不祥事のネタを掴みます。

主な登場回内容
S21-1、2
ペルソナ・ノン・グラータ
・新生サルウィンとの親善目的のパーティで、革命のリーダー・アイシャやその恩師である亀山薫が国賓として来日。杉下右京も招かれ、迎賓楼でかつての相棒との再開を果たす。
・パーティの最中、亀山薫らのスマートフォンに脅迫文が届く。内容は、亀山たち親善使節団の身内を乗せて飛行中の、サルウィンからの航空機を墜落させるというものだった。
・杉下と亀山は脅迫事件を密かに捜査したものの、犯人の巧妙な罠で、心優しいアイシャを死なせてしまう。独自判断で動いた上に国賓を死なせたことで、甲斐峯秋は衣笠副総監から責められる。
・一方で、杉下右京は社美彌子を直接訪問し、彼女に調査を依頼する。気軽に利用されたことに不快感を覚えた社は、甲斐峯秋に「監督不行き届き」と苦言を呈する。甲斐峯秋はこれを受け止めるが、すぐに「亀山薫の人物像が知りたいので調べてほしい」と社にさらにしょうもない個人的な依頼をする。
S21-11(元旦SP)
大金塊
・S20-元旦SPで登場した、元与党政調会長・袴田茂昭(片岡孝太郎)の殺人への関与を録音したデータが警視庁のサーバーから消去される。内調の社美彌子が警視庁に話をつけて行ったものであり、袴田の弱みを握ってコントロール下に置くためであった。
・そんな袴田に「邸宅から金塊を盗む」という犯行予告が行われる。
・金塊の正体は袴田が過去に汚職で収賄を受けたものである可能性がある。杉下右京からの頼みを引き受け、甲斐峯秋は袴田が収賄を受けたと考えられる巨大な開発プロジェクトを調査した。
S21-20、最終
死者の身代金
・元警察庁長官官房室室長・小野田公顕(岸部一徳)を含む計13名の遺骨が、「13」と名乗る犯人により盗まれる。盗難後はしばらく音沙汰がなかったが、ついに遺族にメッセージが届く。
・杉下右京の元相棒で警察庁長官官房付きの神戸尊が指揮をとり、特命係が捜査をすることに。甲斐峯秋には神戸尊から事前に根回しがあり、特命係に向けてミッションインポッシブル風の動画で事件解決を指示した。(BGMはなし)
・小野田の遺骨が再び墓に納められた後、社美彌子とともに墓参りに訪れた。
S22-1、2
無敵の人
・宗教団体「微笑みの楽園」の信奉者の男性が自宅マンションから転落死する。警視庁刑事部が殺人事件として捜査を開始した矢先、本件は公安部による捜査となった。衣笠副総監と公安部長・御法川(田中美央)により決定したことだった。
・この経緯を甲斐峯秋が社美彌子に伝えたことで、社美彌子は衣笠の弱みを握ろうと内閣情報調査室・青木(浅利陽介)を動かし事件を調べ始める。しかし、この動きを察知した衣笠と御法川の命を受けたある人物により、社美彌子は腹部を撃たれる。
甲斐峯秋は社美彌子と結託し、特命係に、決してこの事件に触れないよう釘を刺すふりをして焚き付ける
・事件解決後、社美彌子は衣笠副総監がこれまで御法川と隠蔽してきた事実を追及しない代わりに、御法川を罷免させることで手打ちとする。ついに衣笠の弱みを掴んだのだ。
・公安部長が変われば組織の勢力図も変わるため、甲斐峯秋はご満悦な様子。残された期間で少しでも組織の風通しをよくしたいと特命係に話す。

孫をかわいがる甲斐峯秋

主な登場回内容
S22-10(元旦SP)
サイレント・タトゥ
・甲斐享と笛吹悦子(真飛聖)の息子であり、甲斐峯秋の事実上の孫にあたる笛吹結平(森優理斗)。甲斐峯秋はすっかりおじいちゃんの顔で孫を可愛いがっている。
・甲斐峯秋は、杉下右京、亀山夫妻、社親子とで結平が主演を務める学芸会を観覧。その最中に担任の姉小路(福澤重文)が刺殺される。姉小路は甲斐享の件で笛吹悦子を脅迫し関係を迫っていた卑劣な男であった。
・姉小路を殺害したのは元恋人の栗原志津子(美村里江)。復讐を遂げたかに思えたが、栗原はむしろ悦子に執着しており、彼女をとんでもない罠に嵌める。
・悦子を救うため、特命係、捜一トリオ、そして社美彌子が協力する。
甲斐峯秋は社美彌子に礼を言い、大きな借りができたと話すが、社美彌子はS15-18の件に触れ、これで貸し借りなしとした

vs内閣官房長官・武智淑郎

鶴田翁助から、杉下右京と社美彌子に気をつけるよう注意された、次の内閣官房長官の武智淑郎(たけちしゅくろう)。

武智は衣笠副総監を取り込み、鶴田翁助の助言どおり杉下右京と社美彌子を潰そうとします。

主な登場回内容
S22-19、最終
トレードオフ
・内閣官房長官・武智淑郎(金田明夫)は、自身の味方には甘く、敵とみなした相手は叩き潰す傲慢な権力者。衣笠副総監を呼び、出世話を匂わせつつ特命係への注意を促した。
・その後、杉下右京の動画が世間を賑わす。「警視庁の名探偵」を自称し、政治学者の乙部(佐戸井けん太)襲撃事件などを武智の犯行と断じる内容だった。身に覚えのない杉下右京はAIで生成されたディープフェイクであると説明する。しかし武智に忖度した衣笠はこれを本物とし、杉下右京に謹慎処分を下すとともに直属の上司である甲斐峯秋にも謹慎を迫った。さらにこの動画生成の犯人を社美彌子に仕立て上げる。
・その後、武智が何者かに自宅で殺害され、やがて事件の全容が解明する。これにより、杉下右京や甲斐峯秋の処分はもちろん、衣笠の出世話もなくなり、社美彌子を陥れた裏切り者も捕まった。

現在(season23~)

甲斐峯秋と社美彌子の間に貸し借りはなくなったとはいえ、近年も仕事や個人的なつきあいが続いています。

また、社美彌子は恩のある内閣総理大臣のために宿敵だった衣笠副総監と一度だけ手を組みます。

主な登場回内容
S23-1、2
警察官A
・衆議院議員・芦屋(並樹史朗)が殺害される。芦屋は6年前まで国家公安委員長であり、甲斐峯秋は特命係に現場に行くよう指示する。
・近年では裏金など汚職疑惑もあった議員だったが、国家公安委員長の時代の芦屋の働きぶりは良かった模様。甲斐峯秋は小出茉莉に献杯を依頼した。
・なお、この件で社美彌子は恩のある総理大臣のため、「内閣危機管理監」のポストを手土産に衣笠副総監と協力関係を結んでいるが、甲斐峯秋が感知しているかどうかは不明である。
S23 -9元旦SP
最後の一日
・社美彌子と共に、カジノ誘致に積極的な自生党の議員・伊地知(石丸謙二郎)の忘年会に参加する。
S24 -1、2
死して償え
・亀山美和子(鈴木砂羽)の元同僚の話から、ある死刑囚に冤罪の可能性が浮上する。その捜査のため、杉下右京は甲斐峯秋に黙って講談師・瀧澤青竜(片岡鶴太郎)に弟子入りする。
・甲斐峯秋は寄席の会場で出待ちをし、瀧澤青竜の付き人をしている杉下右京に写真撮影を依頼する。甲斐峯秋が杉下に手渡したスマートフォンの画面には、断りなく捜査を始めたことへの苦言のメモが表示されていた
・臥龍岡詩子(余貴美子)が冤罪事件の捜査を特命係に依頼した裏で、死刑執行の手続きを進め始める。現職の検事総長のこの不穏な動きを、社美彌子と共に特命係に伝える。
S24-10元旦SP
フィナーレ
・ミステリー作家の美作章介(みまさかしょうすけ/段田安則)は「久夛良木刑事シリーズ」の最新作にて、甲斐享のダークナイト事件を題材にするため享に接触。
・それを知った峯秋は、もうすぐ出所する享が再び世間の好奇の目にさらされることを危惧し、美作に執筆を控えて欲しいとの私信を送る
・これを警察庁幹部からの抗議ととらえた出版社は企画を中断しようとする。すると美作は、シリーズを次で最終作にしたいと言い始めた。
・創作意欲を失くしたと受け止めた出版社は人気シリーズを継続させるため、やむなく”絶海の孤島”である聖島のホテルでのパーティに峯秋を招待し説得を試みる
・しかし当日は久夛良木シリーズのファンイベントも開催しており、これを聞かされていなかった峯秋は不快感をあらわにする
・そのような中、美作の小説になぞらえた一つ目の殺人が起こる。そして甲斐峯秋も毒により倒れた。
・一連の事件は杉下右京と甲斐享に因縁のある人物によるものだった。峯秋が狙われた主な理由は享の父であり、かつ、特命係の後ろ盾であったから
・これまでも特命係の活動に関して報復を受けたことのある峯秋だが、初めて身体に危害を加えられ、生命を脅かされた回となった。

甲斐峯秋と登場人物の関係性

社美彌子

社美彌子(仲間由紀恵)は、甲斐峯秋や杉下右京と同じく、東大卒の警察官僚です。season13で初登場し、season20からは内閣情報調査室のトップを務めています。

ヤロポロク問題で一蓮托生に

甲斐峯秋と社美彌子の最初の接点は、社美彌子が内閣情報調査室から警視庁へ異動したタイミングです。このとき、甲斐峯秋は社美彌子に対し、「困ったことがあれば力になる」と電話で声をかけています(S13-1)。

当時の甲斐峯秋は警察庁次長という立場にあり、おそらく出世が見込める優秀な若手に対しては、こうした形で先んじて関係を構築する機会を積極的につくっていたと思われます。また、女性の幹部登用が今後確実に進むことを見据え、その流れで影響力を持つ人材を早い段階で押さえておこうとする計算もあったかもしれません。

社美彌子はこの電話を覚えており、のちに冠城亘を広報課から異動させなければならなくなった際、この約束を利用します。権力をすでに失った甲斐峯秋ですが、衣笠藤治に頭を下げ、冠城亘を特命係に異動させました。(S15-1「守護神」)

次世代の有望株との関係づくりのためか、権力を失った自分を頼ってくれる警察官がいたことが嬉しかったのか、もともと冠城亘を不憫に思っていたこともあっての最後の一押しとなったのかはわかりませんが、しっかりと漢を見せます。

社美彌子がシングルマザーであることや、娘の父が外国人スパイで、すでに他国に亡命したヤロポロクであることが警視庁上層部の知るところとなります。社美彌子はヤロポロクと純粋な愛情でつながっており自国を売るようなことはなかったものの、ヤロポロクと子を設けた事実が発覚すれば社美彌子の警察官僚としての出世は終わりでした。

しかし社美彌子は、ヤロポロクから乱暴された被害者を装い、さらに甲斐峯秋は彼女の「嘘」に協力し、当時、彼女から被害相談を受けていたという偽証を衣笠ら警視庁上層部に行いました。(S15-最終「悪魔の証明」)

リスクを負いながらも、この件で甲斐峯秋は社美彌子という強力な味方を得ることに成功します。社美彌子は義理堅い人物であり、この一件以降、甲斐峯秋の危機をたびたび救う存在となっていきます。

想定を上回る出世を果たす

一方で、社美彌子の力は、甲斐峯秋の想定を上回っていきます。

週刊フォトスにおいて、社美彌子が率いるKBG(警視庁ガールズボム(警察の女子会))の会合が特集された際、新たな女性勢力の台頭を感じ取った甲斐峯秋と衣笠副総監は、そろって社美彌子を警戒する姿勢を見せています(S19-1「プレゼンス」)。

また、内閣官房長官・鶴田翁助と特命係の戦いでは、甲斐峯秋を助けるため社美彌子が先方と直接交渉し、さらには鶴田の失脚も視野に国家公安委員長の鑓鞍兵衛を抱き込んで内閣情報官のポストを手に入れます。その際には、甲斐峯秋は特命係の前で、彼女を「あなどれない女」と評しています(S20-3「復活」)。

ついに衣笠副総監に「貸し」をつくる

内閣情報官に就任してからも、社美彌子と甲斐峯秋の関係は続きます。

社美彌子が銃撃された件では、甲斐峯秋は特命係をうまく焚き付け、衣笠副総監と御法川公安部長が不正捜査の事実を隠蔽した事件の全容を暴き出します(S22-1、2「無敵の人」)。

この件で社美彌子は衣笠の罪をあえて追及せず、「貸し」としました。甲斐峯秋としても衣笠が御法川を切って罷免したことで、警視庁内から衣笠の勢力が一つ消えて満足しています。

これにより、社美彌子は衣笠と対等にわたりあえるようになっており、与党議員が殺害された事件では、自身を登用した総理大臣の意向に沿うため、衣笠と取引しています(S23-1、2「警察官A」)。

プライベートのつながりではほっこり

仕事ではお互いをうまく利用しあう甲斐峯秋と社美彌子ですが、プライベートでのつながりは温かみのあるものとなっています。

甲斐享の子である結平の母・笛吹悦子が罠にはめられ、東国で絶体絶命の危機に陥った際、社美彌子はイリーガルな手段を用いて悦子の救出を支援しました(S22-10「サイレント・タトゥ」)。

この出来事によって、ヤロポロク問題をめぐる過去の貸し借りは精算されますが、その後も甲斐峯秋と社美彌子はよく一緒に行動しています。

また、甲斐峯秋の孫の結平はこれから父親である甲斐享の存在を受け入れていかなければならず、これを社美彌子の娘マリアが支えています。

衣笠・内村・中園らと一緒に甲斐峯秋を救出!?

season24では、ミステリー小説になぞらえた連続殺人事件と思われる事件が、和歌山県の孤島のホテルにて発生します。

そして2人目の犠牲者として、甲斐峯秋が毒を盛られる事態に。一命はとりとめたものの、危険な状態であり、峯秋は苦しみ続けます。

この件を知った社美彌子は特命係に連絡を入れ、甲斐峯秋と作家の美作がどういう状況にあるかを説明。

さらに、孤島を管轄する和歌山県警へ甲斐峯秋を救出するためのヘリの手配も警視庁の衣笠らと共に行いました(S24-10「フィナーレ」)。

衣笠藤治

衣笠藤治(大杉漣、S16最終話からは杉本哲太)は、強い野心を抱く警視庁副総監です。その行動原理は、自身の出世と警察の威信を守ることにあります。

甲斐峯秋を特命係の上司に据える

かつては衣笠より高い地位にいた甲斐峯秋ですが、すでに降格され、出世競争からは外れています。

それにもかかわらず警察組織にしぶとく残り、いまだ無視できない力を持ち続けていることを衣笠は良く思っていません。

さらには娘の件で特命係に目をつけた衣笠は、制御不能な二人を存続させてきたのが甲斐峯秋であることを知ります。

衣笠副総監の娘・市原里奈(桜田ひより)が、殺人事件の犯人を目撃した件で、衣笠は娘への事情聴取の禁止を徹底します。それにもかかわらず、組織のルールに縛られない特命係が里奈に接触し、事件を解決したことがありました(S15-11「アンタッチャブル」)。この件で衣笠副総監は特命係の過去をたどり「小野田公顕(岸部一徳)がつくり、甲斐峯秋が存続させた」とし、特命係と甲斐峯秋に目をつけます。

そこで、甲斐峯秋を特命係の組織上の上司に据えることで、特命係ごと警察から完全に排除しようと、現在の組織図を作り出しました(S16-1、2「検察捜査」)。

ここから、特命係が甲斐峯秋の直轄となったんだね

共通点もある二人

反発しあう二人ですが、警察組織を守るためであれば政治的判断もいとわない点や、それぞれ「問題児」を抱えている点など、実は共通点も少なくありません。

実際、青木年男を特命係に匿ってもらうことで「貸し」をつくった衣笠は、その後、甲斐峯秋と連れ立ってあんみつを食べるなど、意外にも柔軟な関係を築いています(S17-1、2「ボディ」)。

この時期は特命係とも表立って争っていません

さらに、東国の工作員が絡む事件では、国家間の関係を重視する政府の意に沿うため、特命係の存在が障害になるという点で甲斐峯秋と衣笠の利害が一致します。それにより、甲斐峯秋が衣笠に知恵を授け、協力し合う場面もありました(S17-最終)。

その後、内閣官房長官・鶴田翁助と特命係が対立したことにより、甲斐峯秋はメディア攻撃を受けて窮地に追いやられます。

衣笠は彼らを「どうでもいい」としつつも、警察の威信を守るため、鶴田翁助と交渉した社美彌子の案に乗ります(S20-2復活)。

(保身のため)甲斐峯秋の命を救う

和歌山県が管轄する絶海の孤島のホテルで、毒により倒れた甲斐峯秋。連絡便の船が爆破されたため、救助にはヘリしかありません。

ホテルには、峯秋とは別の理由で、警視庁の特命係や捜査一課の三人も滞在していました。警視庁の警察官がこれだけ揃うなかで警察庁幹部を見殺しにしては、警察庁長官からの心証が悪いと考えた衣笠は、和歌山県警に連絡を入れ、甲斐峯秋の救助や犠牲者の遺体搬送などを依頼します。

しかし、天候が悪く、ヘリの出動を渋る和歌山県警。

訓練された警視庁の航空隊が出動すると提案しますが、プライドや縄張り意識から和歌山県警はそれを固辞します。

しびれを切らした社美彌子が「内閣情報調査室でヘリを手配する」と言い出したことで、ようやく和歌山警察からヘリが飛び、甲斐峯秋は病院へ搬送されました。

甲斐峯秋の病室に、花や果物を持参し見舞いに来た衣笠・内村・中園に、峯秋は諸々の手配について礼を言います。

しかし、「こうして生かされたのはまだ組織のために尽くせという天の配剤」とする峯秋に、正直あまり頑張らないで欲しい衣笠は、無理しないよう告げます(S24-10「フィナーレ」)。

青木以外の「容疑者六人」(S16-最終)が、こんなに和やかな空気で揃う日がくるなんて…

杉下右京

杉下右京(水谷豊)は、警視庁特命係に在籍する警察官僚であり、階級は警部です。

甲斐峯秋の息子である甲斐享を、3代目相棒として特命係にスカウトした人物でもあります(S11-1)。

警視庁特命係や杉下右京は、「人材の墓場」と呼ばれ、杉下右京のもとで働いた警察官のうち、それまで2名を除けば、多くが短期間で警察組織を去っています。

ノンキャリアとして警察官になった甲斐享に対し、早く警察を辞めさせたい甲斐峯秋は、杉下右京の申し出を承諾します。

ちなみに杉下右京が特命係への人材をスカウトしたのは、甲斐享が初めてとなります。

なお、特命係のもう一つの呼び名は「陸の孤島」。

組織の論理とは無縁で、ときには政財界の大物や国家レベルの権力に対しても、何の忖度もなく切り込んでいきます。

警察庁次長であった時期、甲斐峯秋は特命係に対する直接の指揮権を持っていませんが、杉下右京の卓越した捜査能力と、組織や権力に屈しない姿勢については高く評価しており、その力を自身の思惑に沿って利用する場面が見られます。

杉下個人の力を買っていたため、甲斐享が相棒でなくなった後も杉下右京との付き合いは続きます。

4代目相棒・冠城亘を迎えて以降も、甲斐峯秋は特命係を通じて、自身にとって不都合な人材を排除したり、社美彌子と連携して有力な人物に「貸し」をつくったりすることで、警察組織内の勢力図(主に衣笠の勢力)を少しずつ塗り替えています(S14-2、S15-10、S16-10、S16-最終、S22-1、2)。

4代目相棒を迎えてしばらく経ってから、甲斐峯秋は衣笠副総監の企みに乗る形で、特命係の直属の上司となります(S16-2「検察捜査」)。

本来、政財界の大物や身内である警察の不祥事に、一切の忖度なく切り込む特命係の上官となることはリスクでしかありません。しかし、すでに多くを失っていた甲斐峯秋にとっては、その危うさはむしろ好機でした。

もっとも、特命係の上司という立場は、都合のよいことばかりではありません。特命係が権力者の闇を暴こうとするため、甲斐峯秋がメディア攻撃を受けたこともあります(S20-1~3復活)。

3代目相棒・甲斐享

3代目相棒の甲斐享(成宮寛貴)は、甲斐峯秋の次男です。

東京大学に進学できなかったことなどで「出来の悪い人間」という烙印を押され、父子関係は初登場時から極めて険悪なものとなっていました。

一方で、甲斐峯秋を悪く言う人物のことを甲斐享が殴ったり(!)、甲斐峯秋においては甲斐享を評価されるとどこか満更でもなさそうな表情を見せたりと、お互いに相手を気にかけている様子もみられます。

お互いに素直になれず、こじれてしまった父子関係だったんだね

甲斐享は、最終話において連続傷害事件の犯人として、懲戒免職という処分を受けます。事件の真相を解き明かしたのは、他でもない、相棒の杉下右京でした(S13-最終「ダークナイト」)。

甲斐峯秋は、甲斐享の犯行動機を、決して敵わない存在である杉下右京のそばで彼を出し抜くことにより、自尊心を保っていたのではないかと見立てます。

事件から数年後、甲斐峯秋は甲斐享への思いを目の前の人物と重ねています。

宿敵である衣笠が青木年男の不祥事をかばうため、衣笠が甲斐峯秋に頭を下げた時には、甲斐峯秋は「出来の悪い子ほどかわいい」と語ります。

また、罪を犯した国家公安委員・三上冨貴江(とよた真帆)に面会し、「しくじりに対して自分がどんどん寛容になっている」とながら、彼女の今後の人生にエールを送りました(S17-1、2「ボディ」)。

甲斐峯秋が息子の事件から、「失敗した者とどう向き合うべきか」を考え抜いたことがうかがえます。