【相棒season24】第19話「暗闇の鬼」(最終回SP)を解説

不安で誰も信じられないとき、暗くて何もないところに鬼の幻を見る「疑心暗鬼」という四字熟語があります。
season24最終話「暗闇の鬼」もまた、何もないところに鬼の姿を見て、なりふり構わず攻撃して自滅、あるいは、身近に潜んでいた本当の鬼に気づかずやられてしまうという、教訓のようなストーリーになっています。

本記事ではメインストーリーをの記事です。

3つの事件の捜査の流れや、そこから見えてくる犯人や甲斐峯秋たちキャリア官僚たちの苦労や悪だくみといったサブストーリーは、考察も含めてこちらの記事で解説しました。

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「暗闇の鬼」の概要

放送日

2026年3月11日

主な出演者

岩橋虔矢/石黒賢

叶恭次/堀部圭亮

馬場立裕/渡辺大

春日居太郎/川島潤哉

桐畑さら/山崎真実

相棒のレギュラー

杉下右京、亀山薫、小出茉莉、亀山美和子、伊丹憲一、芹沢慶二、角田六郎、出雲麗音、土師太、内村完爾、中園照生、甲斐峯秋、社美彌子

脚本

輿水泰弘

監督

橋本一

「暗闇の鬼」のあらすじ

27年前、亀山薫よりも前に杉下右京のもとで特命係に在籍していた男、岩橋虔矢(石黒賢)。

捜査一課から左遷され、特命係に入って半年ほどで警察官を辞職していた。

その後、退職金で立ち上げたIT関連企業で成功。会社は上場し、現在は株式を売却して経営から離れ、趣味で私立探偵事務所を運営するなど悠々自適に過ごしていた。

その岩橋が、警察庁警備局長の叶恭次(堀部圭亮)に接触する。左遷される前、捜査一課の管理官としてやってきた叶に、岩橋が激しく叱責されたときの録音テープを聞かせるためだ。音声の内容はパワハラ・モラハラに該当する罵詈雑言であった。

叶はすでに次の警視総監に内定している人物。

そのため、総理秘書官の春日居太郎(川島潤哉)と内閣情報官の社美彌子が動き始めた。

そして叶が春日居に相談して間もなく、岩橋の自宅を含む4件の空き巣事件が世田谷区で同時発生する。南麻布にある岩橋の探偵事務所も立て続けに被害に遭った。

岩橋は当初、盗まれたのは事務所のパソコンのみであり、自宅からは何も盗まれていないと警察に話していた。犯人が叶なら、警察に被害を訴えても無駄だと思ったからだ。

しかし、杉下右京に再会し、岩橋は自宅から録音テープが盗まれたことや、そのテープに叶のパワハラ音声が入っていたことを語る。権力への忖度などと無縁の杉下右京を信じたためだった。

いっぽう、叶は、岩橋が録音を複製しておりマスコミに提出するのではないかと疑心暗鬼になる。春日居が手を打ち録音テープを回収したにもかかわらず、叶の岩橋に対する恐れはむしろ強まるばかりだった。

「暗闇の鬼」の見どころ

元特命係の岩橋虔矢(いわはしけんや)とは

岩橋は、亀山薫が7人目の特命係としてやってくる前の、辞めていった6人のうちの1人なんだ!

特命係の前身は、外務省高官の邸宅における人質籠城事件の対策チームとして非公式に組織された「緊急対策特命係」

リーダーは小野田公顕、作戦参謀が杉下右京であり、Season1の15年前の出来事になります。

この「緊急対策特命係」は任解後も「特命係」という窓際部署として存続し、杉下右京もここに左遷されます。

すると、杉下右京の部下として特命係に配属された警察官が次々に自主退職するため、警視庁は不要な人材を特命係に送り込むようになりました。

そこから「人材の墓場」という不名誉な呼び名が生まれました。

初めて杉下右京と長く続いたのが7人目の亀山薫であり、そこから神戸尊、甲斐享、冠城亘、そして亀山薫(再)と繋がっていきます。

岩橋は、亀山がやってくる前の6人のうちの1人という設定です。

左遷される前、岩橋は捜査一課に所属しており、ここでは何と亀山や伊丹の後輩として刑事をしていたんだ

亀山によれば有能な新人だったとのことだよ

なんで岩橋は、亀山が伊丹と一緒に来たことに「面食らった」と言ったんだろう?

捜査一課にいたころの亀山と伊丹は、お互いに敵意むき出しで、相手を出し抜いてでも手柄をあげようという雰囲気でした。

そのことを知っていたため、二人で一緒に被害者(岩橋)に聞き込みに来たことが予想外だったのでしょう。

なるほど!
「ずいぶん仲良くなったんですね」みたいな感じかな

岩橋が受けたパワハラ発言

岩橋が叶から浴びせられたパワハラ発言は、次のような内容です。

「高卒が偉そうに、この俺に意見か」

「立場をわきまえろ」

「低学歴の無能が」

「とっととやめちまえ」

「俺の代わりはいねえけどお前の代わりなんか掃いて捨てるほどいるんだからな」

後に音声を聞いた社美彌子も「聞くに堪えない」とテープを止めてしまうほどのものでした。

岩橋虔矢のプロフィール

作中に示された、岩橋の経歴です。

生年月日:昭和45年(1970年)1月24日生まれ

経歴

1994年 採用(警視庁採用試験Ⅰ類)

1996年 巡査部長

1998年 捜査一課

2000年 特命係 

同年辞職

どうでもいいけど、叶恭次は「高卒」って言ってるけど大卒なのか

それはもうどっちでもいいでしょ

岩橋が杉下右京に抱いていた気持ち

岩橋は特命係にいた短い間のことを振り返り、「杉下の顔を見るのも嫌だった」「特命係に追いやられ平然としている杉下右京を軽蔑していた」と話します。

時が経ってちゃんと言えるのはいいね

キャリア官僚でありながら出世に頓着せず、上の顔色をまったく気にしない杉下右京。

一見カッコいいですが、組織の一員としては評価されません。

若かった岩橋は、そんな上司のもとでは永久に刑事に戻れないと考え、警察を去る決断に至ったのではないでしょうか。

いっぽうで、出世に興味のない杉下右京になら、叶警備局長とのトラブルを話してもいいと思えたのでしょう。

当時は嫌いだった部分が、今はむしろ信頼できるっていうのに変わっている感じがいいね

岩橋と叶恭次の因縁

26年ほど前、叶が警視庁捜査一課の管理官として赴任してきたことで、叶は岩橋の上司となりました。

若かった岩橋は、キャリア官僚でありながら捜査に口出ししてくる叶に「現場を知らないくせに」という気持ちで反発していたといいます。

それにより叶に目をつけられ、日々罵倒され、最終的に特命係に左遷されました。

つまり叶は、岩橋が刑事として生きる道を失うきっかけをつくった人物なのです。

ただ謝ってほしかっただけの岩橋

岩橋は、今になって録音テープを叶に聞かせた理由として、叶に何の見返りも求めていなかったと話します。

悠々自適な生活を送る中、録音テープが出てきて当時のことを思い出した岩橋ですが、特にそれで叶を陥れるつもりなどありませんでした。

強いて言えば、叶がただ謝ってくれて、自身も「昔のことだから」と気持ちよく水に流し、テープを叶に渡す。そんな温かい展開になればと密かに期待していたようです。

岩橋は「刑事の夢の続き」として探偵事務所をやっているほど、純粋に警察のことが好きなんだ

ふと蘇った嫌な思い出を、今の自分なら変えられると思ったんじゃないかな

叶が警視総監に内定したことなど外部の岩橋の知るところではなく、偶然このタイミングになってしまったのでした。

疑心暗鬼に襲われる叶

岩橋の行動は、警視総監に内定したばかりの叶にとって恐ろしいものでした。

叶は岩橋に狙いがあると決めつけ、岩橋に何度も面会を求めては、彼の気持ちなどお構いなしで「要求は何か」と尋ねます。

そんな叶を見て、岩橋は和解なんて諦めちゃったんだ…

いっぽう「叶がやたら一般人と密会を重ねている」という情報が、総理秘書官の春日居太郎と、内閣情報調査室トップの社美彌子のアンテナにかかってしまいます。

叶を守らなければならない役人たち

警視総監になるには、内閣総理大臣の承認が必要です(警察法第49条)。

警視総監に内定したということは、総理大臣はすでに叶という人間を認めた状態といえます。

総理のために働く春日居や社美彌子は、叶の不祥事が明るみに出るような事態は防がなければなりません。

また、叶ほどの官僚の不祥事は、警察組織そのものの威信も失墜させます。このことから、警察庁の甲斐峯秋や警視庁の衣笠藤治にとっても、叶は表向きには守るべき存在です。

先陣を切って動いたのは、総理秘書官の春日居太郎でした。

春日居は叶に、岩橋とこれ以上会わないよう釘を刺した上で「あとはこちらで対処する」とし、裏仕事を引き受けます

そして間もなく、岩橋の自宅から録音テープが再生機器ごと盗まれる事件が発生するんだ

被害申告をしなかった岩橋

事件は、岩橋の家を含む隣家4軒に対する侵入窃盗事案でしたが、録音テープが盗まれたことにより、岩橋だけは叶が絡んでいることがすぐにわかりました。

相手がキャリアの叶であれば、被害申告などしても意味がない」と警察官だった人物らしい(?)発想で、岩橋は警察に「侵入はされた盗難被害はなかった」と申告しました。

これにより、世田谷で同時発生した4件の侵入窃盗事件のうち、1つだけ未遂に終わるという不自然な状況が生まれます。

これが杉下右京のアンテナにかかり、岩橋との再会に至ったのです。

ちなみに、南麻布にある事務所の被害は従業員が先に被害に気づいて警察に通報しちゃったから、仕方なく被害申告してる感じに見えたよ

叶がさらなる疑心暗鬼に

盗難被害を申告しなかった岩橋のこの態度は、疑心暗鬼となった叶をさらに刺激します。

岩橋の「諦めた態度」が、叶には「余裕の表れ」に見えてしまったんだね

「あいつは音声を複製しているに違いない」「いつ週刊誌に送るかわからない」って妄想して焦ってしまうんだ

この時の叶の状況を、総理秘書官の春日居は「地雷原はわかっているのに、そこに地雷がいくつ埋まっているかも、いつ爆発するかもわからない状態」と説明しています。まさに叶にとってはこの心境だったことでしょう。

叶の疑心暗鬼はもはや病的で、岩橋をかつてちょっとだけ褒めたことのある衣笠藤治と再会した時にも、「お前の差し金か」と疑いを向けてしまいます。

内定のお祝いの席を設けた衣笠副総監なんだけど、急に叶が怒り出してシンプルに困惑してるよ

岩橋と叶の結末はどうなるのか

初手で完全に想いがすれ違ってしまった岩橋と叶。

これから警視総監になる人物が、時代によって黙認されてきた過去のパワハラへの謝罪を要求されたとき、どう対応すべきなのか。

これが正解という絶対的な解決策のない、なかなか難しい問題だと思います。

しかし、そこで叶やその取り巻きが選んだ方法は、無関係な市民を巻き添えにする、とんでもないやり方でした。

岩橋と叶が最後にどうなるのかが、このストーリーの最大の見どころです。

複雑な3つの事件とその犯人たち

岩橋から録音データを奪うため、春日居の工作員(ストーリーの冒頭で春日居乗っていたが闇バイトを使い起こした事件は3つあります。

3つの事件を一覧にまとめるとこんな感じだよ

事件名事件概要犯人
世田谷4件の窃盗
(空き巣)
・住宅4軒(岩橋邸ふくむ)の同時侵入窃盗事件
・貴金属などが盗まれる
ニュースで大きく報道される
岩橋邸からは書斎に隠した録音テープも盗まれる
・11名の少年(闇バイト)
・角田課長が捕まえる
南麻布の窃盗
(事務所あらし)
・岩橋の探偵事務所への夜間忍び込み
・事務所のパソコンが盗まれる
・ムー情報サービスの早田大善(目の不自由な男性)
・南麻布署が捕まえる
岩橋邸前の路上強盗・車で帰宅中の岩橋がバイクに乗った集団に囲まれる
・財布とスマホを奪われる
上記2件とは別日に発生
・馬乃糸会斗たち(闇バイト)
・捜査一課伊丹らが捕まえる

駆け足で少しわかりづらかったと感じた部分や、社美彌子や甲斐峯秋たちの悪だくみといったサブストーリーは、別の記事で解説しているよ

「暗闇の鬼」を観るなら

亀山薫よりも前の特命係が登場する珍しいストーリーでした。

パワハラがきっかけで特命係に左遷され、警察を去ることにした岩橋ですがそれでも探偵事務所を始めたのは「刑事の夢の続き」とし、ただ純粋に警察が好きだったことがうかがえます。

ロクに話もできないまま別れた相手が、今も警察を好きでいてくれ、充実した人生を送っていることに、杉下右京の心もどこか安心できたのではないでしょうか。

それと「人材の墓場」という逸話の元となった一人が、岩橋のような、杉下右京に媚びたりしない強い人物であったことに、なんだか妙な納得感があって楽しめました。

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サブスクで観るなら!

暗闇の鬼とあわせておすすめしたい回

・season1第11話「右京撃たれる 特命係15年目の真実」

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