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ドラマ「相棒」に登場する社美彌子のヤロポロク問題は、かつては彼女の警察人生を終わりにしかねない大問題でしたが、今は落ち着きを見せています。この記事では、ヤロポロク問題とはそもそも何だったのか、社美彌子はどうやってそれを乗り越えたのか、今後再燃する可能性はあるのかを解説するとともに、社美彌子は本当に国を裏切っていないのかについて考察します。
この記事では、下記の回の重要な内容を含みます
・相棒13「ファントム・アサシン」
・相棒15「悪魔の証明」
・相棒16「サクラ」
・相棒16「いわんや悪人をや」
そもそもヤロポロク問題とは何か
ヤロポロク問題とは、警察キャリア官僚である社美彌子(仲間由紀恵)が、相棒の世界に登場するロシアのスパイ、ヤロポロク・アレンスキー(ユーリー・B・ブラーフ)と恋愛関係にあり、彼との間に娘のマリアを授かっていたというスキャンダラスな事実や、それに起因するさまざまな問題を指します。

簡単にいうと、何が問題なの?

社美彌子は内閣情報調査室で働いてきた人物。
そんな彼女が他国のスパイと娘を授かるほど親しい関係にあることは「恋人の仕事に協力するため、日本の機密情報を渡したんじゃないか」と疑うに足りる十分な理由だね
場合によっては処罰されるべきことなんだ

なるほど!
「本当は君もスパイじゃないのか?」ってことか
警察キャリア官僚であり、しかも日本の情報機関・内閣情報調査室で長く働いてきた社美彌子。
そんな彼女が他国の諜報員と親密な関係にあることは、通常なら許されないことです。
そのため、初登場時の社美彌子は、ヤロポロクとの関係や娘の存在を周りに隠していました。
ところがこのことは、現在は公になっています。
であれば彼女は何らかの処分を受けたのかといえば、そんなことはありません。
そればかりか社美彌子はどんどん出世し、現在はその内閣情報調査室のトップに就任している状況です。

ヤロポロク問題は、社美彌子がどうやってこの疑惑を乗り越えて今の地位を築いたのかという点がもっとも注目すべきポイントになるよ
ヤロポロク・アレンスキーと社美彌子の関係
ヤロポロク・アレンスキーとは
ヤロポロク・アレンスキーとは、鼻の下にヒゲを生やした初老の渋い紳士。
表向きは「ロシアンタイム誌」の東京支局長を務めていましたが、その正体は対日工作員、つまり日本の情報を祖国に流しているスパイです。
日本の政治家や大学教授、会社員などに近づき、金を渡して日本の情報を買っていました。
そんなヤロポロクは、警察官僚の社美彌子と恋愛関係になり、二人の間に娘マリアを授かっていますが、マリアが生まれた後も、日本国内でスパイ活動を続けていたことが明らかとなっています。
ヤロポロクと社美彌子の交際期間
二人の詳細な出会いは語られていませんが、マリアの年齢から、少なくとも2008年から2009年ころには深い関係にあったと考えられます。
また、初登場回の「ファントム・アサシン」では、ヤロポロクに情報を売っていた政治家の下山が、2013年の春にプーケットのリゾートホテルで仲睦まじく過ごす二人の姿を目撃しています。
その後ヤロポロクは、2014年5月にアメリカに亡命しました。この時に行った社美彌子への電話が、二人の最後の連絡となっています。
以上から、ヤロポロクと社美彌子の関係は、短くとも約5~6年は続いていたと考えられます。
ちなみに作中で明かされる、ヤロポロクが日本に入国していた記録は、以下のとおりです。
・2007年5月~11月
・2008年1月~2009年12月
・2010年7月~2011年10月
・2012年2月~2014年5月

2007年~2014年の間の社美彌子の所属は警察庁長官官房国際課(~2009年)と内閣情報調査室総務部門(2009年~)になるよ
年齢は33歳~40歳くらいだね

ちなみに社美彌子の設定年齢は、演じる仲間由紀恵さんの実年齢より5歳上になるよ
ヤロポロク問題の発覚から火消しまでの経緯
時系列(相棒13~相棒20)

ヤロポロク問題は相棒13~20にわたって、初回SPや最終回SPを中心に描かれているよ
| 相棒season | 内容 |
|---|---|
| 相棒13 「ファントム・アサシン」 | ・社美彌子とヤロポロク、娘のマリアが初登場 ・ヤロポロクがアメリカに亡命する ・社美彌子が警視庁広報課長へ ファントム・アサシン |
| 相棒15「守護神」 | ・ヤロポロクを名乗る手書きの手紙が社美彌子に届く ・日下部彌彦が社美彌子の調査に動く 守護神 |
| 相棒15「悪魔の証明」 | ・社美彌子がシングルマザーであると週刊フォトスがスクープ ・衣笠藤治らから「父親は誰か」と追及される 悪魔の証明 |
| 相棒16「サクラ」 | ・マリアの出生の秘密をネタに脅される サクラ |
| 相棒16「いわんや悪人をや」 | ・ヤロポロクの死が判明する いわんや悪人をや |
| 相棒20「復活」 | ・社美彌子が内閣情報官へ |
| 相棒20 「冠城亘最後の事件」 | ・日下部彌彦が公安調査庁の地位向上のため、社美彌子とマリアの利用を画策 |
ヤロポロクが米国へ亡命
本国にいるヤロポロクの上司が汚職で捕まり、ヤロポロクもまた、その責任の一端を追及されることになります。
汚職の罪については濡れ衣のようですが、それを主張しても処罰は免れられない状況にあるようです。
そこで彼は、2014年5月、本国からの帰国命令を無視し、都内のアメリカ大使館に逃げ込み米国へ亡命しました。
亡命する直前、ヤロポロクは社美彌子に電話で「愛している」と伝えるとともに、落ち着いたら必ず連絡することを約束しました。しかし結局これが最後の連絡となりました。
天野是清が下山議員を殺害

ヤロポロク問題は、ヤロポロクに情報を売っていた7人の「国賊」を標的とする連続殺人事件からはじまったんだ
ヤロポロクが亡命した翌月の2014年6月から、一人ずつ殺害が始まります。
ヤロポロクに情報を渡していた「国賊」の一人である下山議員が、社美彌子に「前年の春(2013年)にヤロポロクと一緒にいるところをプーケットのホテルで見た」として、二人はどのような関係なのかと問い質します。その場面を、当時の社美彌子の上司である内閣情報調査室室長の天野是清(羽場裕一)がみていました。
天野は、ヤロポロクに国を売った7人のうち、すでに3人を葬った連続殺人事件の犯人です。
下山議員についても、これから計画的に殺害する予定の人物でした。
しかし、社美彌子の将来を守るため、下山をすぐに殺害する必要が生じたことから、天野は下山に自ら手を下します。
このときの無計画な犯行を機に、天野のすべての罪が特命係(杉下右京と甲斐享)により暴かれます。
しかし4人の被害者のうち、なぜ下山だけを無計画に殺害したのか、天野はその点だけは社美彌子のために答えませんでした。
これにより、社美彌子とヤロポロクの秘密はいったんは守られることとなります。
日下部彌彦や公安調査庁が社美彌子を調べ始める

次の敵は、法務省事務次官の日下部彌彦。冠城亘の元上司にあたるよ
相棒15では、法務省事務次官である日下部彌彦(榎木孝明)が警視庁よりもいち早く社美彌子の娘の存在と、その父がヤロポロクかもしれないという情報を入手します。
これにより日下部は、公安調査庁の坊谷一樹(蔵原健)、そして警視庁でちょうど社美彌子の部下となり親しくしている冠城亘に、それぞれ社美彌子の身辺調査を依頼します。
社美彌子は法務省の外局である公安調査庁の不要論者。日下部彌彦にとっては敵のような存在でした。また、警察官僚のなかでも日本の情報機関である内閣情報調査室に勤務していた人物がスパイと通じていたなど許されるはずがなく「然るべき罰を受けるべき」というのが日下部の考えです。さらには警察が正しく彼女を裁くとも思えないため(日下部が警察の自浄機能を信頼していないため)、公安調査庁を動かし、法務省から調査を進めることにしたのです。

公調不要論者であることはともかく、官僚がスパイと通じている疑惑を放置できないという日下部彌彦の考えは真っ当なものなんだ
ところが、社美彌子を調査中の坊谷一樹が行方不明となります。ある男に殺害され、山に埋められたのです。
また、冠城亘は特命係に異動することで社美彌子と距離を置き、ヤロポロクに関する調査を果たしませんでした。

日下部彌彦や部下の坊谷一樹の件は、こちらの記事でまとめているよ
社美彌子と甲斐峯秋の結託

天野の犠牲で守られ、日下部彌彦の調査もとりあえず中断している状態の社美彌子
しかし、ヤロポロクとの間に娘がいる事実を組織にいつまでも隠し通せるはずがないんだ…
相棒15「悪魔の証明」では、社美彌子の私物のPCが何者かにハッキングされます。

犯人は「のぞき」が好きなあの男…
社美彌子はこのハッキングを利用し、娘の存在を公にすることを思いつきます。
やがて、「国際派シングルマザー」というキャッチコピーで、社美彌子と娘マリアの写真が週刊フォトスに掲載されました。
警視庁上層部は、娘の容姿から、外国人と思われる父親の詮索を始め、社美彌子の経歴からヤロポロクの存在にたどり着きます。
ヤロポロクとの関係を詰められた社美彌子は、「ヤロポロクに乱暴された」「騒げば内調がヤロポロクと構築した関係を失うため被害届をださなかった」「子に罪はないから出産した」と、衣笠副総監をはじめとする警視庁上層部に嘘の被害を告白します。
そしてこの話に、警察庁の元ナンバー2である甲斐峯秋を当時の被害の証人として協力させることで、彼らを黙らせました。

このことで社美彌子は甲斐峯秋に絶大な恩義を感じており、今でも公私ともに親しくしているよ
脅迫のネタにされるが屈しない
相棒16「サクラ」では、内閣審議官(内閣情報調査室のナンバー2)の有馬(鶴見辰吾)が理想の国防体制を築くため、部下の安田(安田善)を使い政治家や官僚のパソコンをハッキングして弱みを握り、人事を掌握しようとする事件が発生します。
この事件でハッキングを強要されたのは、安田が脅迫して集めた少年ハッカーたち。
警視庁広報課長であった社美彌子は、安田のもとから逃げ出した少年について、犯罪性の高い人物であると報道して印象操作を行うよう脅迫されます。
脅迫のネタは、マリアの出世の秘密です。

一つ前の相棒15で、社美彌子が未婚の母であることは、週刊誌の記事によって周知の事実となっていたよね

そうだね
でもまだ父親の正体と、警視庁上層部を黙らせた内容はほとんど知られていない状態だよ
社美彌子が未婚の母であることと娘の父親が外国人であることは、すでに週刊フォトスの記事で周知の事実となっていました。
しかしそれがスパイのヤロポロクであることや、ヤロポロクとの娘を出産するに至った経緯として警視庁上層部に説明した情報(嘘の性被害)は、表にでていません。

脅迫のネタは出生の秘密、つまり嘘の性被害か!

どんな報道を仕掛けるつもりだったかは謎だけど、いずれにしても「娘は両親のスパイ活動中のトラブルで(あるいはハニートラップ等によって)生まれた子」のような、娘を傷つける報道だと想像できるね

エグい…
そもそも、社美彌子がヤロポロクの名誉を汚してまで守りたかったのは、マリアとの生活です。スパイ容疑によって娘と一緒にいられなくなる事態を避けるためでした。

マリアとの生活を守るための嘘が、今度は脅迫材料に利用されたんだね
犯人の要求(報道による印象操作)に応じなかったため、やがて社美彌子が外国人スパイと通じていたと新聞で大々的に報じられました。
一部のスポーツ紙では、「社美彌子はシングルマザー」とする過去のスクープと結びつけ、娘の父はこの外国人スパイだと断定するものもありました。
「次は娘の出生の秘密を本当にばらすぞ」と言わんばかりの脅しです。
しかし社美彌子は、犯人の要求には応じません。
覚悟を決めてマリアを抱きしめ、「この先ママがどのように言われても、マリアには、パパとママに愛されて生まれてきたことを信じてほしい」と涙を浮かべて伝えます。

社美彌子がヤロポロクへの愛情をはっきりと言葉にした貴重な場面になったよ
その後、特命係が事件を解決し、マリアの件は記事になりませんでした。

相棒16「サクラ」は、社美彌子が娘よりも警察官としての責務を果たすことを選んだ回。
そしてこの回から、冠城亘が社マリアの行く末を気にかけ始める、ヤロポロク問題をめぐる重要人物の内面も描いている貴重な回なんだ
亡命後のヤロポロクから2通目の手紙が届く

ヤロポロクを名乗る人物から、直筆の手紙が合計2通、社美彌子宛てに届くよ

手紙は警視庁の社美彌子宛ての国内郵便に忍ばせてあったんだよね?
アメリカに亡命したはずのヤロポロクは送ることができないはず…
ヤロポロクが亡命したのは2014年5月。
これに対し、手紙が届いた時期は、1通目が2016年8月(相棒15「守護神」)、2通目は2018年1月(相棒16「いわんや悪人をや」)のタイミングとなります。
手紙の内容は以下のとおりです。
1通目「親愛なる美彌子 すっかりご無沙汰してしてしまい申し訳ない 君も娘も元気そうだね 安心してくれ 僕はいつも君のそばにいる Y.A」
2通目「親愛なる美彌子へ 坊谷一樹(ぼうやかずき)は君の身辺を嗅ぎ回っていたから、こうなったのだ。自業自得だ。しかし、気の毒ではある。彼を供養して家族の元へ帰してやって欲しい。宜しく頼む。僕はいつも君の傍にいる。Y.A」

いずれもロシア語で書かれた内容を社美彌子が翻訳しているよ
2通目に書かれた坊谷一樹は、公安調査庁の官僚です。冠城亘の元上司である日下部彌彦の命を受け、社美彌子の身辺を探っていましたが、相棒15「守護神」の回で何者かに殺害されていました。

1通目はいたずらだろうと思っていた社美彌子だけど、2通目は無視できないよね
もし手紙のとおり、ヤロポロクが坊谷の殺人犯であれば、ヤロポロクは今も日本にいる可能性があるわけだから…
ヤロポロクの最期
相棒16「いわんや悪人をや」では、2通目の手紙に書かれたとおり、身元不明の白骨遺体は坊谷一樹のものでした。
この事件で、ヤロポロクが日本にいる可能性が浮上します。
社美彌子は彼に会うため、独自の伝手をたどり捜索を始めました。
ヤロポロクからの被害をでっちあげ警視庁を欺いた身であるにもかかわらず会いに行こうとするこの大胆な行動については、後に「自分のことをもう少し理性的な人間だと思っていた」と冠城にこぼしています。

ヤロポロクとプーケットでイチャついてた話を聞いたときから、周りが見えなくなるタイプだと思ってたよ

ヤロポロク殺人犯説は、甲斐峯秋も心配していたね

そっか
ヤロポロクが日本の警察に捕まって社美彌子との関係をしゃべったら、一緒に嘘をついた甲斐峯秋も終わりだからか…
しかし、社美彌子が追っていたヤロポロクの影は、すべて常盤臣吾(矢野聖人)であったことが判明します。
常磐はロシアの元傭兵。彼が暗殺の依頼を受け、ヤロポロクはすでに亡き者とされていたのです。
ところがこの「仕事」の際、ヤロポロクが自室に飾っていた社美彌子とマリアの写真を見た常磐は、社美彌子の美貌に目を奪われます。

この供述により、会えなくなってからも社美彌子とマリアの写真を部屋に飾っていたことがわかり、ヤロポロクもまた二人を心から愛していたことが視聴者に示されるよ
ここから常盤臣吾は、社美彌子を探し当て、彼女にヤロポロクのふりをして手紙を出してみたり、こっそりあとをつけたりと異常な行動をとりはじめます。
その過程で社美彌子を嗅ぎ回る坊谷一樹の存在に気づき、彼女にとって良くない存在だと判断して、持ち前の暗殺技術で葬り去ったのです。

そして常磐は、偶然にも縁のあった瀬戸内米蔵(津川雅彦)の寺の敷地内に坊谷の遺体を埋めます
ところが坊谷の殺害は、常磐が初めて仕事以外で行った殺人であり罪悪感が芽生えます。
坊谷を供養したい気持ちから、偶然を装い遺体を自ら掘り起こす常磐。
しかし、なかなか身元の特定に至らない警察にしびれを切らし、遺体が坊谷一樹であることを社美彌子への2通目の手紙で知らせたのでした。

ヤロポロクは亡命後すぐに亡くなっていて、手紙は常磐が送っていたんだね…

会えるのではないかと期待しただけに、このときの社美彌子の気持ちは計り知れないね…
ヤロポロクの死を知った社美彌子は一人でむせび泣きますが、泣き終わるとまたいつもの毅然とした表情で仕事に戻っていきます。
スパイから一転、「国を守った愛国者」へ
それから約4年後の相棒20では、社美彌子は内閣官房長官が関わる事件での行動により、内閣情報官(内閣情報調査室のトップ)の座を掴みます。

どうなってるの…

この数年間で社美彌子は、世論と国家公安委員長の鑓鞍兵衛(柄本明)を味方につけてるんだよ
相棒20で内閣情報官に就任するときは、「スパイと内通していた疑惑の官僚」から、いつの間にか「身を挺してスパイから情報を得ていた愛国者」という評価に変わっているんだ
「社美彌子はヤロポロクと交際していたが、それは彼女が仕掛けたもので、国を守るためにやっていたに過ぎない」ということなのでしょう。
なぜ世論がこのように変わったのか、詳細は語られていません。
しかし、社美彌子は広報課長時代、甲斐峯秋の指示で「不倫した挙げ句、脅されて銃を乱射した政治家」を「愛する女性のために政治生命を捨てたヒーロー」に仕立てた実績があります(S13-10「ストレイシープ」)。
この力を、自身のために使用したのではないでしょうか。

なんだか「ハニートラップを仕掛けてた」みたいな話になってるけど、マリアは大丈夫なのかな…?
日下部彌彦と公安調査庁が暗躍 社マリアに記者が近づく
内閣情報官に就任したあとも、社美彌子は法務省の日下部彌彦や公安調査庁に相変わらず目の敵にされています。
「公安調査庁不要論者」である社美彌子が、同じ情報機関の内閣情報調査室のトップにいる状態は、日下部彌彦たちにとっては好ましいものではありません。
相棒20では、公安調査庁の差し金でフリーの記者が娘のマリアに近づき、「お父さんのこと知りたくない?」と父親のことを吹き込もうとしました。

このときマリアはまだ中学生
社美彌子はまだ父親の正体をちゃんと話せてないんだ

マリアはどうなったの?

マリアはお母さんを信じているから、記者に対して「間に合ってます」と言い断るんだよ

いい子だあ
じゃあ安心だね

いや、真の狙いは社美彌子の神経を逆撫ですることにあったんだ…
マリアから記者の話を聞いた社美彌子は、冷静さを欠いてしまい、この記者のことを調べ上げ、内閣情報調査室の力でつぶそうと画策します。
「ママンがすごく怒っている」という、マリアからの緊急の連絡を受けた冠城亘は、社美彌子の自宅を訪れ、「そんなことをしたらマリアちゃんに顔向けできなくなりますよ」と言ってギリギリのところで制止しました。
公安調査庁としては、そうしてわざと社美彌子を怒らせることで、「私的な感情で権力を濫用して民間人をつぶした」という事実がほしかったのでしょう。そのスキャンダルをもって社美彌子を内閣情報調査室のトップの座からひきずり下ろし、この事実を掴んだ公安調査庁の地位を向上させるねらいがあったと思われます。
この一連の動きの背後には、公安調査庁の地位向上に動く日下部彌彦の存在がありました。

これは…まだちょっと心配だね…
ヤロポロク問題のまとめ

ここまでのヤロポロク問題を一回整理しよう
当初のヤロポロク問題は、マリアの父親がヤロポロクであると知られることで、社美彌子がヤロポロクのスパイ活動に協力した疑いを向けられることにありました。

この手の問題は、疑われたらもう終わりなんだろうね
刑事罰が確定するまでもなく、もう昇進は望めないよ
そのため最初は、ヤロポロクと交際していたこともマリアの存在さえも周囲に秘密にしていました。
しかし、相棒15でこの秘密を嗅ぎつけたのは法務省の日下部彌彦。
社美彌子は自らこの弱みを克服するためにマリアの存在を公にし、同時にヤロポロクからの性被害をでっちあげることで、二度と追及されないよう手を打ちました(相棒15「悪魔の証明」)。
相棒16では、マリアの出生の秘密をネタに脅され「社美彌子がスパイと内通していた」という事実が報道されてしまいますが、これも何とか疑惑のままで乗り切ります。
そしてヤロポロクの死が確定してからの約4年、おそらく得意の情報操作を行い、自身の印象を「身を挺してスパイから情報を得ていた愛国者」というものに変えました。
現在は内閣情報官という、国の情報機関のトップとして活躍中です。
しかしここで、日下部彌彦が再び社美彌子に興味を持ちます。今度は公安調査庁の地位向上に、内閣情報官の弱点を利用しようとするものでした。

こうしてみると、ヤロポロク問題はやっぱりまだ社美彌子の弱点なのか…

今はもう、再燃する可能性はそんなに高くないと思うんだ

どうして?
ヤロポロク問題が再燃する可能性は低め
理由①:マリアが大人になった
甲斐峯秋と結託して警視庁上層部を黙らせた嘘や世間で思われているような嘘が、マリアを傷つけてしまうかもしれないと心配された時期もありました。
しかし、そんな社マリアも今はもう大人です。
相棒22ではまだ父親のことは知らない様子ですが、いつか母が話してくれるからそれまで待つとし、状況を受け入れています。

相棒23では、どうやら一緒にカウントダウンを過ごせる彼氏もいるという話だよ
彼女ももう立派な大人なので、父親をネタに脅迫や罠として利用される可能性は低いんじゃないかな…
理由②:冠城亘が公安調査庁にいる
もう一つ、今の公安調査庁には冠城亘がいます。
冠城亘は社美彌子の部下となった時から一貫して、社親子を守る方向で行動してきました。
相棒20で特命係を卒業した冠城亘は公安調査庁に入りました。きっかけは日下部彌彦のスカウトを受けてのことですが、目的は社親子を守ることにあったと考えられます。
さらに冠城は、同じ時期に青木年男を内閣情報調査室に入れるよう社美彌子に働きかけています。その青木から情報収集でもしているのか、相棒23では社美彌子の行動を見守っていることがうかがえるエピソードもあります(「怪物と聖剣」)。
理由③:「国家情報局」として内閣情報調査室が格上げへ
現在、「国家情報局」として内閣情報調査室を格上げし、この「国家情報局」が公安調査庁などの情報を集約する体制の整備が進んでいます。
この現実の動きが相棒の世界とリンクした場合、今後は公安調査庁のみが、その存在意義を懸けて社美彌子を攻撃するストーリーは少し作りにくい気がします。

逆に社美彌子へのこれまでの雪辱を果たすため、もう一波乱あるのかな…
理由④:日下部彌彦がいなくなっている?
相棒24で、検事総長の臥龍岡詩子(余貴美子)が、ある冤罪の死刑囚の死刑執行を画策します。
それにより、執行命令書の決裁が法務省の上層部で進んでいくのですが、その際に法務省事務次官として登場したのは日下部彌彦ではありませんでした。
検事でない日下部彌彦の最終ポストは法務省事務次官であると、相棒14の時に語られています。日下部彌彦はもう法務省にいないのかもしれません。

この日下部彌彦の特殊な地位については、こちらの記事で解説しているよ

今のところ、ヤロポロク問題の火種になりそうな「コレ」っていうものはないんだね
社美彌子がヤロポロクに国を売った疑惑を考察
ヤロポロク問題について、二人の馴れ初めや深い関係に発展していった経過は明かされていないままです。若かりし日の社美彌子が、本当にヤロポロクの諜報活動に一度たりとも協力していないのかは、視聴者にその判断が委ねられています。

どういうこと!?

いまでこそ、二人の関係は純愛であり、スパイの協力はなかったとして完結しているけど、じつは最初はどちらにも受け取れる感じだったんだよ
具体的には、ヤロポロクが「君の名前は言わない」とわざわざ約束していたり、社美彌子が天野室長からの「国を裏切っていないよね?」という質問に答えなかったりした場面があるんだ
なぜ社美彌子にスパイ疑惑があるのか
亡命する直前にヤロポロクは、最後の電話で社美彌子に「君の名前は口が裂けても言わないから安心しろ」と告げます(S13-1「ファントム・アサシン」)。
その後、アメリカ大使館へ亡命したヤロポロクは、自身のスパイ活動に協力していた日本人7名の名前をCIAに明かします。もちろん、ここに社美彌子の名前はありません。
この流れから、ヤロポロクが「名前を言わない」としたその「名前」とは、「ヤロポロクに協力した日本人(つまり国を売った人物)」の氏名だったようにも見えます。
これについては、愛する女性にあらぬ嫌疑がかからぬよう、君の名前は口が裂けても言わないと約束したようにも解釈できますが、社美彌子がヤロポロクの活動に協力していたようにも受け取れる内容になっています。
相棒13では、拘置所で社美彌子が元上司である天野に面会した際、「君は、絶対に国を裏切らない。そうだろう?」と尋ねられます。ところが社美彌子は、涙目で黙ったまま何も答えません。

あ、あやしい……!

「これ、やってんな…」って思っちゃった!
そこから約2年半、この件は保留となります。
しかし相棒15最終話にて、マリアの存在を知った天野から再び「国を裏切ったりしていないだろうね」と確認された社美彌子は、今度は力強く「裏切っていない」と答えます。
娘の存在で、想像していたよりもヤロポロクと社美彌子の絆が深かったことを知った天野は、社美彌子をさらに問いつめます。
すると社は、恩のある天野に嘘をつけば、自分は地獄に堕ちると真剣な表情で返します。

どういうことなの??
結論:社美彌子はスパイに協力していない
天野に嘘をつけば、自分は地獄に堕ちるという言葉に、嘘はないと考えられます。

この「地獄」の下りには伏線があって、娘のマリアが「嘘をつくと地獄に堕ちる」と社美彌子に教えているシーンがあるよ

このあと社美彌子は「嘘をついたくらいで地獄に堕ちたら、天国に行く人はいなくなる」と独り言を言っているよね
「多少の嘘は仕方ないよ」と言いたげな社美彌子です。
そんな社美彌子が、天野に嘘をつけば地獄に堕ちるとしたのは、天野に嘘をつくことはさすがに人としてできないという強い気持ちで発した言葉だと考えられます。

溺愛しているマリアの言葉を使って恩人に嘘を重ねることは、社美彌子の心情としても考えにくいと思うよ
そして翌年の相棒16では、ヤロポロクとの間に確かに愛情があったことも判明しています。
この一連の流れから、社美彌子とヤロポロクは最初から純粋な愛情のみでつながっており、ヤロポロクが社美彌子をスパイ行為に加担させることはなかったと、制作陣が視聴者に伝えてくれたものと解釈してよいのではないでしょうか。

それなら、なんで最初は天野室長の質問にはっきり答えなかったの?

胸がいっぱいになっただけじゃないかな
推測だけど天野室長は、社美彌子がヤロポロクを慕っていることには、下山を殺害する前から気づいてたんだと思う

どういうこと?
かつて社美彌子が、衣笠副総監らに嘘をつく際に、「騒げば内調がヤロポロクと構築した関係を失うため被害届をださなかった」と話しています。
このことから、社美彌子たちは組織としてヤロポロクに接近工作を図っていた事実があり、社美彌子はその過程で被害に遭ったと主張したと考えられます。

でも本当は、この間にヤロポロクと恋愛してしまったんだと思う
そのことに、天野室長は気づいていたと思うんだ
そもそも天野室長はなぜ、下山議員が社美彌子に「プーケットでヤロポロクと仲良くしていたのを見た」と話しているのを聞いただけで、下山議員をすぐに殺害したのでしょうか。

普通なら上司として「とりあえず社くんに話を聞かねば」となるところ、「下山、今すぐ殺らねば」って判断になったのは何でなの?
考えられるのは、天野室長は社美彌子がヤロポロクに恋愛感情を抱いていたことにうすうす気づいており、その上で社美彌子を信じて見守っていたということです。とはいえ、交際しているとはっきりわかっていれば事情聴取もしたでしょうから、おそらく社美彌子の一方的な淡い思慕と判断していたか、あるいはヤロポロク亡命後のごく最近の社美彌子の変化などから「疑い始めたばかり」というところではないでしょうか。

そんなうっすらとした疑惑が、プーケットの話をぶつけられた社美彌子の様子を見て、確信に変わったんだと思う

それでも天野室長は、たとえ恋愛関係にあったとしても、あの社美彌子がそれだけで国の情報を売るような人間ではないと、社美彌子の人柄を信じたから守ったんだよね?

そうなるね
でも、どれほど素晴らしい人間であったとしても、プーケット旅行の目撃証言から疑惑をゼロに戻すことは不可能だから、社美彌子を守るには、下山があちこちで触れ回る前に今ここで殺るしかないと…

じゃあ社美彌子が、天野室長の質問に涙目で何も答えなかった理由って…
拘置所で天野と会話をした社美彌子もまた、天野が自分とヤロポロクの関係に気づきながら、その上で自分を信じて殺人を行ったことに気づいたはずです。
天野が勾留されている目の前の状況が、自分の自制心が足りずに引き起こした事態でもあることを知り、戸惑いや恐れなど複雑な感情を抱いたと思います。
天野の「君は絶対に国を裏切らない。そうだろう?」に何も言えなかったのは、申し訳なさや後悔の気持ちで、自分に代わってスパイから国を守ってほしいという天野の想いを、ただただ恐縮して受け止めていただけなのではないでしょうか。

これも視聴者がどちらにも(スパイに協力してしまっており何も答えられない状態にも)受け取れるよう、あえて曖昧な態度にしたところもあると思う!
まとめ
社美彌子のヤロポロク問題は、甲斐峯秋の協力を得た社美彌子の究極の策により、警察組織からの追及を逃れることができました。
その後も悪事に利用されかけたり、公安調査庁の地位向上に利用されかけたりと多くの波乱がありましたが、その度に杉下右京や冠城亘とともに乗り越えています。
そして今、社美彌子は世論を味方につけ、内閣情報調査室のトップとなりました。
彼女の弱点だった娘マリアも、母を慕いながらまっすぐ成長し、大人と呼べる年齢に達しています。
視聴者をいつも新しい角度で驚かせてくれる相棒なので先の展開は読めませんが、2014年に始まったこのヤロポロク問題の火種となるものは今のところはなく、落ち着きをみせていると考えてよいと思います。

今後は社美彌子が、大きな権力を使って何を成し遂げるのか、その時、特命係をどう使うおうとするのかが気になるね!
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