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相棒ファンであれば、一度は観ておきたい名作「バクハン」。
杉下右京と角田課長の対立、さらには冠城亘の離反という衝撃的な展開。孤立した杉下右京と衣笠副総監が久々に一対一で話す場面や、放送後の社会的反響を受けて映像の一部がカットされた経緯があるなど、通常回とは思えないほど多くの要素が詰め込まれています。
また、本作は「相棒」の原点ともいえる「杉下右京の正義」を描いたエピソードでもあります。
そのため、強く印象に残っている視聴者も多く、神回として語られることの多い一話ではないでしょうか。
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「バクハン」の概要
放送日
2018年11月7日
主な出演者
中野英雄、長谷川公彦、崎本大海、水石亜飛夢、池原猛
相棒のレギュラー
杉下右京、冠城亘、月本幸子、伊丹憲一、芹沢慶二、角田六郎、青木年男、大河内春樹、小松真琴、内村完爾、中園照生、衣笠藤治
脚本
真野勝成
監督
橋本一
「バクハン」のあらすじ
警視庁による、過去最大規模となる裏カジノの一斉摘発が行われた。
情報源となったのは、組織犯罪対策第四課の賭博担当、通称「バクハン」の課長・源馬寛(げんばひろし/中野英雄)。裏カジノの資金は、広域指定暴力団・武輝会へと流れており、今回は角田課長(山西惇)が率いる策五課との合同捜査体制が敷かれ、特命係の杉下右京と冠城亘も捜査班に組み入れられた。
摘発は各班とも概ね順調に進んでいるように見えた。しかし、小松真琴(久保田龍吉)の班が担当した一軒だけは休業しており、空振りに終わる。稼ぎ時であるはずの週末に、タイミングよく休業していることに杉下右京は違和感を覚える。
調べを進めると、過去にも源馬が指揮した捜査では同様に摘発を逃れた店があることが判明した。
合同捜査の解散式で、暴力団の資金源を断つことができたとして、角田課長は大喜び。
その後、特命係を労いに来た源馬に対し、杉下右京は今回の情報源について問いかける。しかし源馬は、「大事なネタ元の素性は明かせない」として、それ以上の説明を拒んだ。
二人の間にただならぬ空気を感じ取った角田は割って入り、特命係はこれ以上かかわらないようにと追い出すが、杉下右京がその程度で引き下がるはずはなかった。
冠城亘とともに摘発された店舗を回っていたところ、杉下右京は生活安全部保安課の百田(長谷川公彦)と、百田のもとで研修中の若い警察官僚・久我(崎本大海)から声をかけられる。
聞けばこの二人は源馬と賭博業者との癒着を調べており、特命係にも協力してほしいという。杉下右京はこの申し出を受けることにした。
ところが久我は警察庁副総監・衣笠(杉本哲太)の策略のもと、杉下右京にわざと源馬の不正を調べさせるために動いていた。
「バクハン」の見どころ
杉下右京が孤立
源馬の摘発を逃れた店の出入り口の防犯カメラ映像を、青木年男(浅利陽介)に解析させる杉下右京。
その結果、和氣健也(水石亜飛夢)という若い男が、摘発を逃れた店にコンサルタントとして関わっていたことが判明しました。杉下右京は、この男こそが源馬の情報源であると確信します。
角田は、これまで杉下右京に対して相当な協力をしてきたことを踏まえたうえで、今回相手にしている武輝会が、角田から見ても極めて危険な組織であることを説明します。
暴力団であろうと警察官であろうと、容赦なく命を奪う相手と正面から渡り合っている源馬の覚悟を、どうか汲んでほしいと、角田はそう進言するために現れたのでした。

杉下右京がこれで引くわけがないよね

法を犯して守る正義はないっていう考え方だからね
角田の言葉を聞き入れない杉下右京。
しかし冠城亘は、角田課長を裏切ることはできないとし、杉下右京との捜査から降りると言い渡します。
こうして杉下右京は、完全に孤立することとなりました。
冠城亘が杉下右京のもとを離れたという噂を聞きつけた内村完爾らは、冠城を刑事部長室に呼び出します。
そこで中園照生は、どこか嬉しそうに、冠城亘は杉下右京の相棒として歴代2位の在籍期間だったが、これで1位更新はなくなったと口にします。

2000年~2008年の亀山薫がいるからね
さらに内村完爾は、ラーメンをすすりながら「意外と長く続くと思ったが俺の負けかな」とつぶやきます。
この一言から、刑事部長らが、冠城亘の在籍期間について内輪で賭けのようなことをしていたことが明らかになります。

賭博の回だけに、ここでも賭けの話が出てくるんだ…

まあ物やお金を賭けたって言ってるわけじゃないから……
衣笠藤治の暗躍
角田課長や冠城亘の協力を失い杉下右京が孤立したことを、青木年男は衣笠藤治に報告にいきます。
杉下右京が孤立する展開は、警視庁副総監である衣笠藤治にとって想定の範囲内でした。衣笠は、源馬の不正をすでに察知しており、人望の厚い源馬を杉下右京に摘発させることで、結果的に杉下を組織の中で孤立させることを狙っていたのです。
そこに久我も現れ、杉下右京と保安課の百田が合同で捜査を始めたことを報告します。キャリアの久我も、表向きには「カジノ法案の成立を受け、保安課の現場を学びたい」という理由で百田に同行していましたが、その正体は衣笠一派でした。
百田を焚き付け、杉下右京と協力して源馬を追うよう誘導していたのです。
百田のように正義感に駆られた刑事からの協力要請であれば、背後にこのような政治的思惑があるとは、杉下右京も気づきにくいと踏んだのでしょう。
今回の衣笠藤治は登場する場面ごとに、ロールケーキ、マスカットのショートケーキ、かりんとうといった甘いお菓子をおやつにしています。
これまでにもさまざまな場面で甘いものを食べているため、甘党なのでしょう。
久我は杉下右京や百田のことを「コントロールしやすい」と言い、衣笠藤治のおやつのロールケーキを一つ口に入れます。余裕たっぷりの久我に、青木は「甘くみないほうがいい」とどちらの味方かよくわからないことを言い出します。

青木は副総監が他の警察官をかわいがっているのが気に入らないんだと思う
源馬が監察官聴取を受ける
杉下と百田の内偵捜査により、源馬と和氣が、現金の受け渡しをしていると思われる密会現場が確認されました。
これだけの証拠をそろえれば、監察が動くのは時間の問題です。
そうとは知らず源馬は、和氣から受け取った札束を捜査員たちに渡し、それぞれのネタ元に配って情報を集めるよう指示します。
裏カジノの一斉摘発によって資金繰りに苦しんでいる今であれば、金をきっかけに武輝会の構成員の中から、必ず組を裏切る者が出る――それが源馬の読みでした。
そしてその読みどおり、源馬は近く行われる大口の薬物取引に関する情報を入手することに成功します。
源馬はその情報を携え、角田課長のもとへ向かい、武輝会の頂上作戦、すなわち幹部摘発作戦をともに決行することを誓います。
そこに現れたのは、大河内首席監察官(神保悟志)でした。
大河内はすでに、組対四課の部下たち、そして源馬の情報源である和氣にも、監察官が接触していることを明かします。
和氣については、源馬を守るためその場で拳銃による自殺を図っていました。
源馬は部下を守るため、すべて自分一人でやったことにして幕引きを図るよう、大河内に言います。
そんなことを源馬に決める権限はないと言い放つ大河内ですが、どうやら警視庁上層部のなかに源馬の行為を黙認していたものがいるようで、源馬はその人物らの意向も聞いてほしいと主張します。

いつかこうなるとき、部下を巻き込まないための切り札として取っておいたんだろうね
潔癖な大河内は、源馬のやり方を「まるでヤクザ」と断じます。
それに対し源馬は、「誰かさん」と違って大河内は出世にしか興味がないからそれでいいはずだと返します。
結局、源馬一人の処分となったようで、源馬の退職が決まります。

大河内監察官は、警察官の不正に対しては杉下右京(源馬のいう誰かさん)と同じ思考だけれど、最終的には上の意向にしたがう人物だからね

そうだね
理不尽な指示でも、最終的にはラムネを噛み潰して一緒に飲み込むからね
杉下右京が衣笠副総監と一対一で話す
副総監室で、杉下右京は警視庁副総監・衣笠藤治と一対一で向き合います。
源馬の不正を暴いたことについて「当たり前のことをしただけ」と話す杉下右京。
そんな杉下右京に衣笠は、角田課長との長年の関係を思えば、杉下右京が情よりも正義を優先した行為はすばらしいと皮肉を言います。

捜査権限のない杉下右京にとって、角田課長はさまざまなことを調べてくれたり、情報通で多方面に顔がきく、特命係の活躍には欠かせない存在だったからね

しかも角田課長の場合、杉下を自分の出世に利用しようとかそういう気持ちがなくて、人間的にもあったけえんだよなあ…

それにしても、衣笠副総監はうれしそうだったね

杉下右京がこのまま孤立して力を失えば、それはそれでよし
もし思い直して、組織の一員らしく振る舞うようになれば、それもよし
どっちに転んでもいい、って考えてたんだろうね
杉下右京の捜査が百田へ
ところが、杉下右京の疑念は、源馬課長だけでなく、百田にも向けられていました。
百田がネタ元として信頼するゲームセンターの経営者・柏崎(池原猛)は、堅気のフリをしながら警察にも武輝会にも巧みに取り入る人物だったのです。
柏崎は、暴力団からのみかじめ料の請求を避けるため、百田に近づき警察の「許可店」となって、表向きには警察に守られてきました。
しかし裏では、百田を裏切って武輝会とつながり、店の奥で闇カジノを経営していたのです。

「許可店」であるため、源馬も和氣もノーマークだったんだね
保安課とは、風営法に定められる風俗営業(ゲームセンターも含まれる)をはじめ、探偵業、古物営業、警備業など一定の業種の行政手続などを担当する部署です。違法な営業があれば捜査し、摘発も行います。
本作における賭博事件を担当するバクハンと保安課との棲み分けは、対象店舗が保安課の許可店かどうかにあるとしています。
許可店ではない場所での賭博はバクハンが、許可店の賭博であれば保安課が主管となる、という分け方のようです。

刑事たちの間の「縄張り意識」が逆手にとられ、柏崎の店は保安課の許可店というだけでバクハンの捜査網を逃れていたってわけだね
ちなみに角田課長が担当する薬物銃器対策は、かつては保安課の業務でした。
杉下右京の行動を読んでいた冠城亘
杉下右京が、いずれ百田の不正にも踏み込むであろうことを、冠城亘は早い段階で見抜いていました。
元官僚である冠城は、百田のそばにいた官僚の久我が衣笠一派であることを突き止め、その時点で、この事件の全体像が見えていたのでした。

官僚の政争に対する嗅覚は、冠城亘のほうが一枚上手なんだね
百田の不正の証拠を得るには、いずれ角田課長の力が必要となることを見越し、杉下右京にあえてついていかず、角田課長との信頼関係を守る道を選んだのでした。
百田が襲撃される
柏崎のゲームセンターは、組織犯罪対策課により摘発されます。
これについて百田は、柏崎の店が裏カジノをしていることやそれが武輝会の資金源となっていた事実を、この時になって初めて知ったと語ります。

うーん…裏カジノについては百田も薄々は勘づいてた気がする
杉下右京に、警察がこれら関係者と協力するのは必要悪だと主張しますが、その理屈は杉下右京によって一蹴されてしまいます。
その後、公園のベンチで、百田はネタ元と思しき別の男と電話をしています。
会話の内容から、その男は柏崎と通じていた武輝会の関係者のようです。
その人物は、今回のガサ入れの中心人物について当然のように百田に尋ねています。このことから、百田がこれまで警察内部の捜査情報をこの人物に提供し、おそらく暴力団とは知らずに見返りを受け取ってきたのでしょう。

何で百田は源馬のことは許せないのに、自分はネタ元と癒着していいの?って思っちゃったんだけど…

相手が堅気かどうかが百田の基準だったんじゃないかな?
源馬は違法な業者(和氣:賭博コンサルタント)にも金を渡して内部情報をとっていたから…

なるほど
百田の価値観ではネタ元が堅気ならWinWinはありなのか

「オレのネタ元は堅気だ(と思っていた)から、源馬とは違うぞ」って認識だったんだと思う
確かに、百田は柏崎を通じて武輝会に資金が流れていたことだけは本当に後悔している様子でした。
百田はその直後、武輝会による苛烈な報復を受けます。
錯乱状態にある女性が、金槌を手に百田を襲撃するという、あまりにも悲惨な結末でした。
公園のベンチで電話をしている百田のもとへ、汚れたTシャツと短パン姿の女性が、ふらふらと近づいてきます。
そして次の瞬間、その女性は金槌を振り下ろし、百田を襲撃します。
なお、この女性に関する取り調べのシーンは、放送後の社会的反響を受けて、現在はカットされています。

この回、リアルタイムで観てたんだよね
取調室でこの女性が「シャブ山シャブ子、17歳です」って明らかにネジの飛んだ感じで話していて、あまりのインパクトに当時SNSもざわついていたよ

ぼくも観たよ!
このシーンがあったから、「ああ、武輝会が薬漬けにした女性を百田を狙う“凶器”として放ったんだな」って、一発で分かる演出になってたと思うんだよね
薬物依存者への偏見を招くとし、有識者から抗議があったようです

カットされたのは主に取調室で、薬物に関する言葉がでてくる場面のみ。
一番の見どころの、百田にゆらゆらと近づいてくる女性の迫真のシーンは、今もそのまま残っているよ
衣笠らの思惑は外れる
冠城亘の機転により、杉下右京は角田課長らと再び協力関係を築くことで、今度は百田とそのネタ元を摘発することに成功します。この一件を経て、両者の関係は修復されました。
結果として、衣笠副総監らの思惑どおりにはなりませんでした。
角田課長もネタ元を優遇する捜査手法については「必要悪」であるとして肯定しています。さらには自身にもネタ元がいるといいます。
しかしその一方で、金銭を使って暴力団構成員から情報を引き出す源馬のやり方は、いつか命を落とすのではないかと以前から危うさを感じていました。

武輝会の報復を受けたのは百田だったけど、正直、金で構成員から情報を取ってた源馬のほうが、組織に近づきすぎててよっぽど危険だったよね…
こうした心配もあって、杉下右京の行動にも一定の理解を示してくれたのです。
一方で、百田の末路を知った久我は、次は自分が狙われるのではないかと恐怖し、衣笠に保安課からの異動を願い出ます。
衣笠は異動の手配を約束するも、久我の覚悟のなさに対し、明らかな失望の色を見せました。

副総監もかつて自分が検挙したカルト集団に襲撃された経験があるもんね(S16-12「暗数」)

そう考えると、相当な覚悟と胆力を持った人だよなあ
源馬の想い
事件解決後、退職日を迎えた源馬は、特命係にあいさつに訪れます。
そこで明かされるのは、なぜ彼が命がけで武輝会を追い詰めることに執着してきたのか、
そして、源馬のためにためらうことなく命を捨てようとした和氣との関係でした。
源馬の思いや二人の関係を聞いた杉下右京は、ここでもまた、源馬が最後まで思い至らなかった「あること」を指摘してしまいます。

ここに来て、さらに源馬の悪かったところを指摘するの!?

でも、これまでの「ルール違反」という理屈とは違う、人間らしい視点だったから個人的にはすごく好きな場面だったよ
(余談)武輝会のその後
Season23第12話「細かいことが気になる患者」では、背後に武輝会がいるコンサルタント会社に杉下右京と亀山薫が挑む回があります。

主力だった資金源を断ったとはいえ、頂上作戦までは決行できなかったもんね…

杉下右京の正義は正しいのか
考えさせられる回だったなあ…
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