【相棒season16】第12話「暗数」の見どころを解説

暗数とは、統計上に表れない数字のことを指します。
衣笠副総監の娘が再登場するとともに、衣笠家の複雑な事情の全容が明らかとなる回です。

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「暗数」の概要

放送日

2018年1月17日

主な出演者

衣笠祥子/筒井真理子、市原里奈/桜田ひより、沖田晃子/長野里美、田川刑事/久保田磨希、谷崎莊司(再登場)/柴木丈瑠、沖田晃子/未浜杏梨

相棒のレギュラー

杉下右京、冠城亘、月本幸子、伊丹憲一、芹沢慶二、角田六郎、青木年男、内村完爾、中園照生、衣笠藤治

脚本

山本むつみ

監督

橋本一

「暗数」のあらすじ

警視庁副総監・衣笠藤治(大杉漣)が料亭を出た直後、スケートボードに乗った二人組に襲撃される。幸いにも衣笠に怪我はなかったが、犯人はそのまま逃走した。
この時の衣笠は、青木年男(浅利陽介)と二人きりで極めて私的な会食を行っており、このことを知るものは限られた。そのため青木も容疑者の一人となり、追い詰められた青木は杉下右京に助けを求める。
一方で、捜査線上にはもう一つの有力な存在があった。
7年前、衣笠副総監が神奈川県警本部長を務めていた時代に摘発したカルト集団「ウエボの会」の残党が、現在も水面下で活動を続けているのだ。このウエボの会は、警視庁サイバーセキュリティ対策本部においても、いまだ監視対象とされる危険な組織であった。副総監襲撃事件の捜査本部には、教団の監視を担当する谷崎莊司(柴木丈瑠)と、当時神奈川県警で捜査にあたっていた田川千波(久保田磨希)らが加わった。
かつて、衣笠副総監の自宅には本人や家族に危害を加える内容の脅迫状も届いている。
杉下右京と冠城亘は、一年前の事件で知り合った衣笠の娘の里奈(桜田ひより)を再び訪ねた。

「暗数」の見どころ

衣笠副総監と青木年男の関係

青木年男について説明します

衣笠副総監にとって青木年男は、親友の息子です。
衣笠と青木の父・青木綱一郎との関係について、青木年男は以前に「竹馬の友」と表現しており、二人は子どものころからの付き合いであったことがうかがえます。

また、衣笠家と青木家とは家族ぐるみの付き合いもあったようで、過去に特命係が衣笠の娘について調べていた際、青木年男は、衣笠の娘の里奈とのツーショット写真を杉下右京と冠城亘に見せています(S15-11)。

青木年男が渡していたファイルの経緯については、本編のストーリーとは直接関係ないので、後半で説明するね

特命係と衣笠の娘の関係

一年前、衣笠副総監の一人娘である里奈が、殺人犯を目撃する出来事がありました。
この事件で特命係は衣笠の意に背いて里奈に接触し、彼女と交流します。

当時、里奈は中学3年生!

花の里にも連れていっているから、月本幸子も里奈のことを気にかけているよ

しかしこの事件で、衣笠家が抱える複雑な事情に踏み込んでしまい、その怒りを買うこととなりました。
詳しくはこちらの記事で解説しています。

衣笠家に起きた4年前の脅迫事件

4年前、衣笠副総監の自宅に、衣笠本人や家族に対する脅迫状が届きます。

これにより里奈は、衣笠の娘だとバレないよう、母方の姓である「市原」を名乗っているよ

そして里奈にとって一番ツライのは、お母さんが体を悪くして、一緒に住めなくなったことなんだよ…

里奈の母親である衣笠祥子は、この脅迫事件を機に体調を崩し、自宅を離れての長期療養を余儀なくされました。

この脅迫状に関する話は、前回、青木を通じて聞かされた断片的な情報のみでしたが、今回の襲撃事件により、あらためて里奈から詳しく話をきくこととなります。

特命係との再会を喜ぶ里奈

副総監襲撃事件が起きた日から里奈は学校を休まされ、外出も制限されている状態にありました。

父の都合で軟禁状態に置かれたことにうんざりしている様子の里奈でしたが、窓の外に特命係の姿を見つけ、おもわず顔を輝かせます。

そして入口に立つ警察官に「父から連絡があった」と嘘をつき、杉下右京と冠城亘を屋内へ招き入れました。

4年前の脅迫状について里奈から話を聞く特命係。

その内容は「衣笠藤治は正義を殺した」「大切なものを失う痛みを知れ」といった文言だったそうです。

この後半の表現が、家族への殺害予告として受け取られたんだね

しかし、実際にその手紙を発見した里奈の印象は、文面に狂気じみたものは感じられず、これまで実害もなかったことから、7年前に摘発されたカルト集団とは無関係ではないかというものでした。

脅迫状は室内で見つかる

驚くべきことにこの脅迫状は、封筒に入れられた状態で、衣笠の書斎の床に置かれていました。

これを中学生が発見したんだよ…当時はめちゃくちゃ怖かっただろうね

この出来事を境に、母である衣笠祥子がストレス性の喘息とパニック障害を発症し、体調が悪化していったといいます。
里奈は、「恨まれているのは父なのに、なぜ母がこんな目に遭わなければならないのか」と父への怒りをにじませます。

衣笠家の家政婦の晃子さんとは

衣笠家には家政婦さんがいます

母親が長期療養のため家を空けているあいだ、父と娘だけの生活となった衣笠家には、2年前から家政婦の沖田晃子(長野里美)が働いています。
晃子は家事全般に加え、里奈の身の回りの世話もしており、里奈も彼女によくなついている状況です。

そこに衣笠副総監が帰宅してきます


衣笠副総監に連れられて、神奈川県警の田川千波(久保田磨希)が衣笠家を訪れた際、晃子は思わず顔を隠すような不自然な素振りを見せました。

この様子を見た杉下右京は、晃子が衣笠家に雇われた経緯を調べ始めます。

沖田晃子の過去

田川刑事は、晃子が以前に担当した事件の被害者の母親であることに気づきます

その事件とは、晃子の娘である沖田真穂が、職場の上司から性被害を受けたものでした。

当時、真穂は告訴する意思を固めており、田川は、事件化によってつらい思いをすることもあると説明しますが、彼女の気持ちは揺らぎません。

捜査を進めるなかで目撃者の証言も得られ、ついに立件に足る証拠を集めることができた田川。

ところがその矢先、突然その捜査に上からの「待った」がかかります。

激しく怒る田川ですが、こうなるとどうにもならないようです。

ほどなくして、真穂は亡くなりました。

田川はこの捜査に圧力をかけた人物が、当時、警察庁長官官房の総括審議官の地位にあった衣笠藤治ではないかと疑い、悔しさでつい晃子にこの考えを話してしまいます。

里奈が襲撃される

衣笠家のために近所で買い物をする晃子。そんな晃子に、田川は声をかけます。

しかし晃子は何も言わず足早にその場を立ち去ってしまいました。

晃子がなかなか戻らないなか、田川や特命係が晃子に目をつけて探っていることを察した里奈は、晃子が家に戻れなくなったのは警察のせいではないかと、感情を抑えきれずにヒステリーを起こします。

そして、晃子のことが心配で居ても立ってもいられなくなった里奈は、二階の自室から屋根を伝い、誰にも知られないように家を抜け出してしまいます

その直後、里奈の前に現れたのが、副総監を襲撃した犯人です。

犯人は里奈に襲いかかりますが、そこへ晃子が駆けつけ、身を挺して里奈をかばいました。

また、里奈が自宅から姿を消したという連絡を受けた特命係と田川千波も、急行して現場に到着します。

犯人は激しく抵抗しますが、特命係と田川による制止の末、暴行の現行犯として逮捕されました。

負傷し、病院へ搬送された晃子。

その病室で、特命係はついに里奈の母である衣笠祥子と対面します。

衣笠祥子と沖田晃子の関係

衣笠祥子と沖田晃子が出会ったのは4年前、晃子が衣笠藤治に真穂の死を伝えるため、衣笠家を突然訪ねて来たときでした。
当時、衣笠藤治は自宅におらず、晃子から話を聞いた祥子は、少し前に夫が電話で捜査中止の指示を出していたことを思い出します。そのため、晃子の語る内容が事実であると直感しました。

衣笠祥子の過去


衣笠祥子自身もまた、若い頃に晃子の娘と同様の被害を経験していました。

しかし、そのことを表沙汰にしないよう母親から止めされ、警察にも訴えることができないまま、恐怖や屈辱を抱え続けてきたのです。
沖田晃子の話を聞いた祥子は、夫にこの痛みを知らせなければならないと考えます。

そして晃子に、今の気持ちを吐き出した手紙を書くことを勧めました。
この手紙を、祥子が夫の部屋に置いたのです。

里奈が先に手紙を見つけてしまったことは、想定外の出来事だったんだね

ちょっと引っかかるのは、祥子の話は「私が晃子の心のケアのために書かせた手紙を、私が勝手に脅迫に利用した」という趣旨だよね?

それにしては手紙の内容が意味深で怖すぎない…?

祥子が怖く見える部分を切り取って編集したものかもしれないね

たとえ、衣笠藤治を二人で脅す計画のもとで作ったものだとしても、祥子は晃子を庇うだろうね

さらに傷つく祥子

ところが、手紙を見た衣笠藤治は、これをウエボの会のしわざだと疑い、晃子の娘・真穂の件に思い至ることはありませんでした。
苦しみの末に命を落とした女性の存在を、まったく覚えていなかった夫の姿を目の当たりにし、かえって祥子が深く傷ついてしまう結果に。
この出来事を境に祥子の体調は悪化し、転地療養を余儀なくされます。
そんな祥子のそばに寄り添ったのは、他でもない晃子でした。

やがて祥子は自宅を離れて療養することとなり、里奈の世話を信頼できる晃子に任せたのです。

わざわざ家政婦紹介所を通して晃子を雇ったのは、周囲から二人の関係を詮索されないようにするためだったんだろうね

タイトル「暗数」とは

「暗数」とは、統計上に表れない数字のことを指します。

知っておきたい「刑法犯認知件数」のしくみ

日本の犯罪統計における代表的な指標は、警察庁が各都道府県の数値を取りまとめて公表している「刑法犯認知件数」です。

この数値は刑法犯のうち、被害届や告訴・告発といった、一定の公式な手続きがなされた事件のみが計上の対象となります。

元警察官
元警察官

たとえば、「警察に相談はしたものの、被害届は提出していない」といったケースは、内部記録として一定期間残ることはあっても「刑法犯認知件数」として公表される数字には含まれないよ

さらに言えば、警察に相談することすらできなかった被害は、記録にすら残らないまま存在し続けます。

祥子は、この「暗数」を、声を上げることができず今も苦しみ続けている人間の数だと言います。

沖田晃子の娘の手記

祥子は、真穂が亡くなるまで書き綴っていた手記の一節を特命係に聞かせます。

詩のような一節があって、そこには葛藤の末、勇気を振り絞って声を上げようとした女性の切実な想いが込められていると感じたよ…

こうした被害に遭いながら、それを抱えて生きなければならない苦しさや無念さは、被害にあった本人にしかわからないものでしょう。
もし今、同じような状況で苦しんでいる人が身近にいらっしゃる方は、この手記の内容を一度聴いてみるのもよいかもしれません。

襲撃事件の犯人は…

結局、衣笠副総監や里奈を襲撃した犯人は、カルト集団「ウエボの会」だったんだよね

しかし不可解なのは、犯人たちがどのようにして、衣笠副総監と青木年男の会食場所や、里奈が二階から家を抜け出したタイミングを把握したのかという点です。
その答えは、身近なところにありました。
ウエボの会を監視していた捜査員の中に、その思想に取り憑かれてしまった人物がいたのです。
その人物は、青木のスマホを盗み見て会食場所を把握したり、衣笠家の監視カメラ映像をウエボの会に流したりと、内部協力者として暗躍していました。
犯人は前シーズンから登場していたあの男です。犯人の正体に、青木は「ミイラ取りがミイラになった」と話しました。

事件解決後の衣笠家

脅迫状が祥子の行為であったことは、里奈には伝えられず、夫婦だけの秘密となりました


事件後、祥子は自宅に戻り、里奈と二人で夕飯の支度をします。
やがて帰宅した衣笠藤治を迎えるその光景は、かつての日常を取り戻そうとするものではありましたが、どこかぎこちない空気が漂っていました。
三人はそれぞれ、以前と同じように振る舞おうとしていますが、完全に元どおりとはいかないようです。

しかし今回の事件を通じて、衣笠藤治は、自分がこれまで無意識のうちに祥子を深く傷つけてきた事実に、初めて向き合うことになりました。
まだまだ複雑な衣笠家ですが、ここから衣笠藤治が祥子と里奈に向き合うことで、家族として少しずつ前にすすんでいけるのではないでしょうか。

特命係と衣笠副総監・刑事部長らとの関係

杉下右京が副総監室に呼ばれて、ついに一対一で話をするよ

サシで対話するも関係回復ならず

事件解決後、衣笠副総監は娘を助けてもらったことについて、杉下右京に礼を述べます。

そして同時に、真穂の件で捜査に圧力をかけたのは自分であることを認めました。

ただし、それは自分の意向ではなく、「上からの指示」を現場に伝達しただけだと言います。
さらには、その指示にしたがうことにしたのは現場であるため、自分に非はないというスタンスです。

一方、杉下右京は真穂を襲った加害者の父親について調べていました。

加害者の父親は、当時の警察庁長官官房長と学生時代からの友人関係にあり、また、警察の外郭団体にはその人物の会社の事務機器が納入されていました。

警察庁長官官房のトップが、権力を私的につかって、自分の友人を不当に優遇していたわけだね

また、衣笠副総監の言い訳に対しては、上からの指示に現場が逆らえないことも、副総監であればよくわかっていたはずだとします。

今回の脅迫状の件を里奈に言わないと約束する杉下右京に、これで貸しをつくったつもりかと問いかける衣笠。

これに対し杉下は「まったく思っていない」と返し、副総監室をあとにしました。

この時の杉下右京は、衣笠のあまりに官僚的な発想に「あきれた」って感じに見えたなあ

青木が渡したファイルはなに?

青木年男を初めて見た人もいるかもしれないから、補足で説明するね!

青木年男は、警察官になる前に起きたある事件をきっかけに、特命係に対して強い恨みを抱き、復讐の機会をうかがい続けている人物です。

冒頭の会食シーンで青木が衣笠副総監に手渡したファイルは、特命係の責任を追及できそうな過去の事件をまとめたものでした。

しかし今回の会食における衣笠の様子を見る限り、衣笠自身は、少なくともこの場では特命係の問題を忘れて、青木との食事を純粋に楽しみたいようにも見えます。

青木としてはこのファイルを使って、衣笠副総監に特命係を追い詰めてほしいねらいがあるんだ

相棒のなかでも青木は「虎の威を借る狐」って時々表現されているね

ちなみに青木は前シーズンで、里奈の情報を特命係に流し、あえて彼女に接触させることで、特命係が衣笠に目をつけられるよう仕向けているよ!(S15-11「アンタッチャブル」

刑事部長らとの関係はそのまま

今シーズンの初回にあたる「検察捜査」(S16-1、2)では衣笠副総監の策により、甲斐峯秋が特命係の組織図上の上司となりました。

この人事によって、特命係が問題を起こした場合、その責任が甲斐峯秋に及ぶという構図が成立しました。

でもこれまで、特命係に対して、最も長く、かつ直接的に指示を出してきたのは内村刑事部長なんだよね

もっとも、ほとんどの指示が「事件に首を突っ込むな」という趣旨の指示だけどね

それなら今回の組織図の変化により、刑事部が特命係を放置してよくなったのかというと、そうはならないようです。

内村の部下・中園照生の見立てでは、甲斐峯秋はあくまで警察庁の人間であるため、警視庁が所管する事件で特命係が問題を起こした場合、その影響や責任は、いくらかは実際に捜査指揮をとる刑事部に及ぶのではないか、というものでした。

この見立てにより、今後も特命係は甲斐峯秋の直属の部下でありながら、引き続き刑事部長らにたびたび呼びだされ、事件に深入りしないよう釘を刺される立場に置かれています。

ストーリー内の力関係や人間関係が、細かいところまで本当に丁寧につくられているよね

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