【相棒】片山雛子(かたやま・ひなこ)とは?人物像や関連ストーリーを全話解説

片山雛子とは、相棒season3から不定期で登場する衆議院議員です。「周りで不祥事や事件が起きるたびに、それを逆手にとりすべてを自分の糧に変え、大きくなっていく」と言われています。自分の目的や与えられた役割に常にまっすぐであり、ストーリーによっては特命係と敵対したり、協力しあったりします。

片山雛子について

氏名

片山雛子(かたやま・ひなこ)/演:木村佳乃

高校時代/演:安田愛里(S13-18のみ)

法名は「妙春(みょうしゅん)」(S16-14~)

親族

父・片山擁一(演:小野寺昭)

父・擁一(よういち)の生前の職は外務大臣。片山雛子が議員になる前に亡くなっている。存命であれば、内閣総理大臣だったと言われる大物。劇場版Iにて回想で出演。

片山雛子の活動歴

相棒season片山雛子の主な活動
season3・20代で父の地盤を引き継ぎ、与党・自友党の衆議院議員として活躍する
・若手議員を中心とする新しい会派「平成未来派」を立ち上げる
・初回登場は28歳
・内閣官房長官の愛人で、官房機密費の実権を握っているとの噂がある
season6・「改正通信傍受法案」の成立に向けて活動開始(以後、「X DAY」まで法案成立を目指している)
・国会で「外務省はスパイと腐敗の温床だ」と爆弾発言をし、外務省事務次官と対立する
・外務省大臣政務官に就任していたが、こうした振る舞いが影響し、次の内閣では外される
・外務省不正経理に関する殺人事件を利用し、自身を罠に嵌めようとした事務次官を失脚させる
劇場版I・外務大臣であった亡き父の不正を告発する(この件で後に清廉な政治家として人気が高まる)
season9・役職は内閣総理大臣補佐官
・死刑囚である本多篤人の釈放計画に参加を命じられる
season10・クローン人間の存在を隠すため、神戸尊に密命を与える
X DAY・「改正通信傍受法案」に関し、X DAYの事件を通じて財務省の弱みを握る
season13・年齢38歳
・「海外支援部隊派遣法」「ウーマンライフ法」の成立を目指し活動中
・週刊誌で資産家の御曹司との交際が噂される
season14・内閣官房副長官に就任
・内閣官房長官の音越ともに新会派「NEW WORLD ORDER」を結成
・本多篤人が関わる人質事件への対処を誤り、音越が死亡
・新会派は解散、片山は責任をとって議員を辞職
season16・仮出所した瀬戸内米蔵のもとで出家
・次の総選挙への出馬を表明
season18・防衛技術振興協会の顧問に就任していたことが判明する(議員辞職後とされている)
・デュアルユース技術のPRのため、見本市の開催に尽力
season20・無所属で衆院選に出馬
・刺客候補の鑓鞍兵衛の批判票を得て、大差で議員に返り咲く
season21・日サ友好協会にて、日本とサルウィンの関係構築のため尽力していたことが判明する

片山雛子の人物像

事件や不祥事を糧に成長する

片山雛子について杉下右京は、「周りで不祥事や事件が起きるたびに、それを逆手にとりすべてを自分の糧に変え、大きくなっていく」と度々語っています。(S6-16、S9-18、S13-18)

片山本人も、杉下右京のこの人物評が気に入っているようで、「意外と嬉しかった」と話しています。(S13-18)

愛人時代は機密費の実権を握っていた?

初登場のseason3での片山雛子は、内閣官房長官の愛人であり、機密費について黒い噂がありました。

後に杉下右京が片山雛子の人物評をまとめる際、証拠はないとしつつも「かつて官房長官の愛人と噂され、機密費の実質的権限を握っていた」と話しています。

暗に自殺するよう秘書に命じる冷酷な一面も

片山雛子の機密費にまつわるスキャンダルねらう院内紙記者・鹿手袋(西村雅彦)が、何者かに襲われる事件が発生します(S3-1)。

鹿手袋を襲った犯人は、なんと片山の秘書の小松原(中村方隆)の手の者でした。

小松原は、片山雛子の父の代から仕えており、令嬢の雛子の身を守るために独断で決行したのです。

そのことを知った片山は、小松原に「独り言」と称し、小松原が存在すると困ると言い、暗に自殺するよう命じます。

その結果、小松原は警視庁で警察官のけん銃を奪い、自ら命を絶ったのでした。

小松原が生前に残した最期の手紙を受け取った瀬戸内米蔵(津川雅彦)は、小松原の死の真相を悟り、片山雛子にこのことを公にすると詰め寄ります。

しかし、事実を公にすれば「小松原は無駄死にになる」と片山に言われ、30年来の友人である小松原の想いを汲んで胸に秘めることにしました。

他にも片山雛子は、協力者である外務省職員が殺害される現場を見たのに通報しない(S6-16)、本田篤人の釈放事件で公安調査庁の企みを利用するも、そのせいで結果的に人が無駄に亡くなる(S9-18)といった問題のある行動をとっています

結構あぶない橋をわたっているんですよねえ……

「雛ちゃん」呼びはやめてほしい?

瀬戸内米蔵は、片山雛子の父・片山擁一の死後も雛子を見守ってきた雛子にとっての恩人です。最初は気心の知れた良い関係に見える二人ですが、小松原が亡くなったときは様子が変わります。

亡くなる直前に小松原は、片山雛子について「父親の選挙区を継がせたのは失敗だった」と瀬戸内に耳打ちしていました。

それが気がかりだった瀬戸内は、小松原を偲ぶためとし、片山を呼び出します。

そのような場で片山は突然、「誰かの犠牲になる人より、犠牲になって守られる人のほうが尊い」と話し始め、見かねた瀬戸内がいつもどおり「雛ちゃん」と呼ぶと、その呼び方をやめて欲しいと言います。

すっかり変わってしまった雛子に、瀬戸内は小松原が耳打ちしてきた内容を片山に告げ、自分もまた小松原の気持ちが理解できると話します。(S3-3)

なお、この後の劇場版ではときどき「雛ちゃん」呼びに戻っています。小松原を死なせ、一線を踏み越えて変わってしまった片山雛子を表現するための一時的なものだったのでしょう。

警視庁や院内紙記者を自在に動かす

警察や公安、時には記者を手足のように使う片山雛子。

総理補佐官を務めていた時には、警視庁の刑事部長・内村完爾に直接指示を送ったこともあります(S9-18)。

また、院内紙記者・鹿手袋(西村雅彦)を情報源として使うことも。

season6では、片山と敵対する外務省事務次官が事件関係者と深い仲にある証拠写真を撮らせ、最終的に失脚させることに成功しています。

さらに劇場版Ⅰでは、亡き父の不正の証拠となる「Sファイル」の情報を鹿手袋に集めさせ、国民の前で父の不正を暴きます。このことは、後に清廉な政治家としてのイメージを作り上げるきっかけになりました。

鹿手袋は当初、官房機密費に関する片山のスキャンダルを狙い彼女に近づいていますが、いつの間にか金で情報を提供する持ちつ持たれつの関係になっています。

せつない初恋の回想→国家との結婚宣言

そんな片山雛子も、最初から今の強さを手にしていたわけではありません。

左官工の饗庭丈弘(あいば・たけひろ/伊嵜充則)が、片山雛子の目の前で突然死するという、とんでもない事件が発生します(S13-8)。

片山雛子は無関係を貫きますが、特命係は、饗庭が片山雛子の高校時代の交際相手であったことを突き止めます。

それにより、片山雛子の高校時代や、せつない初恋の模様が語られることに。

なお、饗庭が片山雛子に会いに来た理由は、片山雛子との交際が噂されている資産家の御曹司・桐山友哉(藤重政孝)が薬物に手を染めている証拠を手にしたからでした。

これにより、片山雛子は饗庭が残した証拠とともに桐山を警察に告発。

さらにマスコミに対し、「日本国国家を結婚する」と宣言し、さらに人気を高めます。

ちなみに、この回で判明した片山雛子の年齢は38歳です。

20代から連続当選するも、40を前に失脚

外務大臣だった父の地盤を20代で引き継ぎ、当選4回。

高校時代の生徒会選挙で勝利してからというもの、無敗を誇っていた片山雛子

そんな彼女が、ついに失脚します。

事件は、片山雛子が内閣官房副長官に就任したseason14第10話「英雄~罪深き者たち」。

片山と因縁のある元死刑囚・本多篤人(古谷一行)が絡む人質事件において、あと一歩で無血で解決できたところ、片山が欲をかき、その結果、同胞であった内閣官房長官・音越議員を死なせてしまいます。

音越に人質交換に応じるよう提案したのは、片山雛子。甲斐峯秋の指示により、議事録にもきっちり残っています。

片山雛子はこの事件の責任を取る形で辞職しました。(詳しくは後述)

この回の片山雛子は、登場回のうち、もっとも悪いキャラになっています。

恩人・瀬戸内米蔵のもとで出家

season7の横領事件によって服役していた瀬戸内米蔵が、season16で仮出所します。

片山雛子は瀬戸内を訪ね、「得度をしたい」と願い出ます。

片山のこの願いは聞き入れられ、これで名実ともに、片山は瀬戸内の弟子となりました。

しかしこれも、片山雛子にとっては政界に返り咲くための話題づくりに過ぎません。

ちなみに角田課長が週刊誌でひさびさに片山雛子の姿を見て、その変わらぬ美貌を褒めているシーンがあります。

鑓鞍兵衛に圧勝し、議員に返り咲き

season20では、尼僧姿のポスターで、無所属で衆院選に出馬する片山雛子。

これを討たんと、当選9回の大物・鑓鞍兵衛が国替えし、片山雛子の選挙区から出馬します。

ところが、本編の事件にて鑓鞍兵衛の悪評がSNSを中心に広まり、その批判票が片山に流れるという事態に。

結果、片山雛子は鑓鞍兵衛に圧勝し、議員に返り咲きます。

なお、鑓鞍兵衛は比例で復活当選していますので、地位は変わりません。

杉下右京と協力関係を築くことも

特命係のしつこい捜査に対し、警視庁に苦情を入れたこともある片山雛子ですが、お互いに利用できるときは利用しあう関係でもあります。

「相棒X DAY」では、杉下右京が片山雛子の依頼を、警察庁の神戸を通じて受け、インターネットに公開された謎のプログラムを解読しました。結果、片山は自身の法案を通すための、美味しい情報を手に入れることとなりました。

一方、杉下右京もまた、公安調査庁職員の遺体が瀬戸内の寺から発見された事件では、片山雛子の記憶力により、ある人物の素性を明らかにすることができました(S16-13)。

また、「鑓鞍兵衛VS片山雛子」の衆院選の回では、犯人側に協力者がいることを確認するため、片山雛子から鑓鞍兵衛に真犯人に関わる情報を耳打ちさせています(S20-最終)。

亀山薫の復活回となった新生サルウィンを巡る事件では、片山雛子が日サ友好協会の活動に尽力してきたことから、その口利きで、サルウィンの事務局で資料の閲覧などの協力を得ることができました(S21-2)。

お上品なトーンから繰り出される切り返しが面白い

片山雛子といえば、「あら、◯◯ですわ」という上品な口調も特徴の一つ。

このトーンから繰り出される軽妙な切り返しやユーモアを混じえた皮肉や比喩は、片山雛子が登場したときのワクワク感の一つと言えるでしょう。

頭の回転が早すぎるのか、いちいち言い方が面白く、特に大物相手に皮肉を放つときは爽快感があります。(S20-終など)

好きな食べ物はチョコレート

チョコレートが好きであり、公務の合間に食べています。(S13-8、14-10、16-13)

また、season13第8話では、高校時代から好きだったことが明かされています。

片山雛子のモデルと言われる政治家

片山雛子に公式のモデルはいません。

ただ、二世議員であること、外務省と関わりが深いこと、片山雛子が登場し始めた時期(2004年~)に既に知名度のあった女性議員といった点から、田中眞紀子氏を想起する方が多いようです。

片山雛子が絡むストーリーを全話解説

片山雛子が登場するストーリーを、片山雛子を中心に全話解説します。

片山雛子の活躍をメインに解説するよ~

登場回一覧

season3-1~3、season6-16、劇場版I、season9-18、season10-19、X DAY、season13-18、season14-10、season16-13、season18-1・2、season20-19・20、season21-1・2

season3第1~3話 双頭の悪魔

3話完結ストーリーで初登場となります。

首相補佐官の沢村(春田純一)が自宅事務所で亡くなる。自死であると発表されるが、その直後、自殺ではなく自身の犯行であると、前法務大臣の瀬戸内米蔵が警視庁に自首する。

父を亡くした後、瀬戸内米蔵に世話になっていた衆議院議員・片山雛子が瀬戸内に真意を尋ねると、瀬戸内は沢村の件を警察に捜査させるための狂言であると認める。狙いは、警察の捜査を本格化させることにあった。

そして狙いどおり、杉下右京が捜査を開始する。

杉下右京は、第一発見者である内閣官房長官・朱雀武比古(本田博太郎)を訪ねる。

そこで、朱雀が瀬戸内の狙いを把握していたことから、朱雀と片山雛子が裏で繋がっていることに気づく。
これについて片山は、朱雀に恫喝まがいの質問をされ、やむなく白状したのだと答えるが実は朱雀の愛人だった。特命係に協力的に振る舞いながら、朱雀に捜査状況を密告していたのだ。


しかし、追い詰められた朱雀が、犯行時刻に片山とホテルで密会していたとアリバイを主張すると、片山は「朱雀はすぐに部屋から出て行った」と否定する。

さらには朱雀が出て行った後、部屋にマッサージを呼んでおり、その証言を完璧に裏付けるための準備も怠らなかった。

片山は、朱雀をいつでも切り捨てるための準備をしていたのだ。

season6第16話 悪女の証明

衆議院議員・片山雛子がホテル会場で公演中、近隣のビルから外務省職員・草場(奥田達士)が転落死する。

草場は、外務省の不正経理を片山雛子に内部告発した人物だった。

その日は決定的な証拠書類を片山に渡すため、ホテルの一室で片山を待っているはずだった。しかし、草場は約束の時間に部屋におらず、近隣のビルから転落したのだ。

草場の死は、女性記者の加東(山口香緒里)と、ビルの外階段で揉み合いとなったことが原因であった。加東は、外務省の山浦事務次官(堀内正美)が草場に仕掛けたハニートラップであり、片山に内部告発をするよう誘導した張本人でもあった。

山浦と加東のねらいは、草場と片山に不正経理のニセの証拠を掴ませ、それを手に片山が外務省を糾弾してきたところを返り討ちにすることにあった。元外務大臣の父を持ち今の外務省の改革を叫ぶ片山雛子を、山浦はかねてから疎ましく思っていたのだ。

転落死した草場の事件で特命係が真相にたどりつくよう手助けをしたのは、他でもない片山雛子であった。彼女は草場から書類を受け取るはずだった部屋から草場の転落を目撃しており、そこで山浦と加東の策略に気づく。その後、山浦と加東の密会写真を特命係に鹿手袋を使って送ることで、杉下右京を真相へと導いた。

草場を殺害した事実が明らかとなり、片山たちの前で茫然自失となった加東。

その加東に対し片山は、山浦を確実に追い落とすため、山浦を矢面に立たせるよう、さり気なく助言した。

-劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン

相棒の劇場版第1作となります。

片山雛子の事務所に手紙爆弾が送られ、秘書が負傷する事件が発生。

警察は当初、改正通信傍受法案を提出した片山雛子をねらったテロリストの犯行として、公安により捜査が開始された。その支援を命じられた特命係は、亀山薫の活躍で、片山雛子の殺害を未然に防ぐ。

一方で、特命係第三の男・陣川公平(原田龍二)により、SNSで著名人などの疑似裁判を行い、勝手に死刑判決を下している存在が浮上する。死刑判決を下された者のリストの中には、片山雛子の他に先日殺害されたニュースキャスターの名前もあり、殺害方法もリストの「処刑方法」と一致していた

この事件の犯人の動機は、5年前にエルドビアで起こった邦人人質殺人事件にあった。現地で難民救済活動を行っていた木佐原渡(細山田隆人)がゲリラに拉致され、日本政府が身代金の要求を受けた事件だ。政府は、木佐原渡が退去勧告を無視して起こった事件であることを強調。結果、世論に「自業自得」という風潮が生まれ、木佐原渡は日本中からバッシングを受けながら、ゲリラにより殺害されてしまう。

ところが、木佐原渡が拉致された当時、その地域に退去勧告は届いていなかった。当時の外務大臣であり、片山雛子の父である片山擁一(小野寺昭)と、当時の総理大臣の御厨紀實彦(平幹二朗)は、この事実をSファイル(stalemate:チェスで、動かせる駒のない引き分け状態の「S」)として二人で隠蔽する。

Sファイルについて片山雛子は、内容は知らないものの父が心残りにしていた案件という程度には知っていた。そして、杉下右京もSファイルの存在にたどり着く。

杉下右京から逃れられないと判断したのか、片山雛子は院内紙記者・鹿手袋(西村雅彦)に大金を支払いSファイルの情報を集める。

そして、犯人逮捕後に緊急会見を開いた。

会見の中身は、木佐原渡に落ち度はなく、当時の政府の判断は間違いだと指摘するものだった。さらに木佐原渡がどれほど素晴らしい青年であったかを伝え、彼の名誉を回復することも忘れなかった。

しかし、それは同時に、亡き父の名誉を汚すことでもあった。
外務省改革を公約として掲げてきた片山雛子であったが、後にこの時の行動が、清廉な政治家としてさらに評価を上げたと説明されている。(S13-8)

season9第18話 亡霊

半年前の2010年6月、総理官邸に「赤いカナリア」から手紙と炭疽菌が届く。手紙の内容は、「赤いカナリア」の元幹部である死刑囚・本多篤人(古谷一行)の釈放を要求するものであり、応じなければ都内で無差別テロを敢行するという脅しであった。

内閣総理大臣補佐官である片山雛子は、法務省の公安調査庁管理官・三反園(白竜)とともに、生前の小野田公顕(岸部一徳)を筆頭とする対策チームへの極秘参加を命じられる。

小野田は、本多の死刑を執行したように見せかけ、国外に逃がすという超法規的措置を計画した。しかし、志半ばで別の事件により死亡。今回、片山雛子は「小野田官房長の遺言」としてその計画を引き継ぎ、本多の釈放を遂行したのだった。

ところが、本多の釈放に反対していた公安調査庁の三反園らは、釈放後の本多を独自に追跡し、本多と接触した赤いカナリアの仲間・鮎川(岡本富士太)らメンバーを拉致し始めた。もちろん、釈放された本多自身の殺害も試みる。娘・茉莉(内山理名)を連れて逃げる本多篤人は、やむなく片山雛子を頼ることに。

小野田はこうなる事態を避けるため、計画では本多を国外へ逃亡させるはずだった。

しかし、片山は本多を国外に逃がすことはせず、警視庁を動かして本多親子の身柄を確保させた。そのねらいは、公安調査庁をおびきだしで警視庁に検挙させ、最終的にこの半年間の超法規的措置のすべてを法務大臣と公安調査庁が暴走してやったものとするためだった。

片山の思惑どおり、本多殺害に向けて三反園や宮内(RIKIYA)らが動き出し、鮎川殺害の罪などで警視庁に逮捕された。

テロと取り引きしたことの責任を法務大臣らに押し付けた片山は、さっそく会見を開き、こうした有事の際は情報の一元化が重要であるとして、内閣危機管理室の権限強化を図るための議案を国会に提出すると、何食わぬ顔で発表した。

season14第10話では、このときの公安調査庁のチームに冠城亘がいたことになっています。過激なのはほんの一部だったようですね。

season10第19話 罪と罰

バイオテクノロジー研究所・主席研究員の嘉神郁子(真野響子)が娘の茜(浅見れいな)の体内に、茜の子のクローン胚を移植したという匿名の告発文が文部科学者に届いた。

片山雛子は、旧知の間柄である長谷川宗男(國村隼)に発信者の特定を依頼する。

結果、送り主は、嘉神の息子の隼斗(窪塚俊介)であった。

片山と長谷川は隼斗を呼び出し、このセンセーショナルな事実を公表しないよう説得を試みるが効果はない。クローン人間の創造を神への冒涜だと考える隼斗は、公園でこの事実を声高に訴えるのだった。

その後、隼斗が殺害され、犯人として嘉神郁子が名乗り出る。

「杉下右京なら、事件の背後にあるクローンの存在に辿り着く」と考えた片山と長谷川は、相棒である神戸尊を呼び出し、杉下右京を止めるよう依頼する。最初は断る神戸であったが「生まれてくる子が世間にクローン人間であると知られたら、その子は幸せに生きられない」という片山の言葉が、神戸の心を動かす。

相棒シリーズ X DAY

劇場版Ⅰ、米沢守の事件簿、劇場版Ⅱに続く、第4作目の映画作品。捜査一課の伊丹憲一(川原和久)、サイバー犯罪対策課の岩月彬(田中圭)のW主演となります。

明和銀行の中山(戸次重幸)が、ビルの屋上から転落死する。現場には争った形跡があり、殺人事件として捜査一課・伊丹たちが動き始めた。

一方、中山には他者の端末に不正アクセスをした疑いがあり、サイバー犯罪対策課の岩月彬(田中圭)たちの捜査対象でもあった。中山が不正アクセスを働いてまで行っていたのは、銀行のシステムデータ(英数字の羅列)を複数の端末からインターネットに流出させるという、謎の行為だった。

その頃、財務省の族議員・戸張(別所哲也)が片山雛子に接触する。戸張は、数年前から片山が提出している「改正通信傍受法案」の可決に前向きであり、「同法案の勉強会を、財務省や金融庁の関係者を参加させて開催したい」などと話す。

戸張のこの殊勝な態度の裏には、法案が可決された後の主導権を財務省で握りたい意図があった。そんなことは片山にはお見通しであったが、戸張たちの目的まではわからない。気になるのは、最近インターネット上に流出している銀行のシステムデータであった。

片山は、内閣のコントロール下に置きやすい警察庁も勉強会に一枚噛ませると同時に、財務省の企みについて調べるため、警察庁長官官房付・神戸尊を通じて、そのデータを杉下右京に調べさせる


そのデータは本来の正常なシステムのものではなく、故意にシステム障害を起こし、金融封鎖の状態を擬似的に作り出すためのものだった。

目的は、「X Day」に向けた準備。

日本経済が破綻し、金融封鎖の状態に陥る具体的な日を推測した何者かが、その日の到来に備え、さまざまな銀行で小規模なシステム障害を故意に引き起こし、各方面への影響をシミュレーションしていたのだ。

つまり、片山雛子が入手したデータ(中山が流出させたデータ)は、その人物らの試験のためのデータだった。
片山雛子には、その人物らに心当たりがあった。「改正通信傍受法案」を通し、その主導権を握ることで、自分たちに不都合な情報流出を防ぎたいと考えていそうな人物が、つい最近、片山に接触してきたからだ。

片山は「X Day」をネタに、法の主導権は渡さないが、法案を通すため協力はするようソフトに戸張らを脅すことで、財務省を取り込むことに成功する。

season13第18話 苦い水

片山雛子の通報により、左官工の饗庭丈弘(あいば・たけひろ/伊嵜充則)の遺体が発見される。死因は、亡くなる直前に食べたチョコレートに付着するアーモンドの粉で、アナフィラキシーショックを起こしたものだった。

片山は、饗庭とは面識はないと主張する。

片山雛子が通報者であると聞いて捜査に乗り出した特命係は、饗庭の経歴を調べ始める。すると、饗庭は高校を退学し、一時期パティシエをしていたことが判明する。退学の理由は、他校の女子生徒と喫煙している写真が学校に送られたためだった。

杉下右京は、写真に映る女子生徒の制服が、片山雛子の高校のものであったことから、饗庭と片山が高校時代に交際していた事実にたどり着く。

写真を持って現れた特命係に、片山雛子は真実を語り始めた。

当時の片山雛子は、今とは打って変わって地味な少女であり、同級生から「ダッサ」と嘲笑される存在だった。饗庭はそんな彼女の美貌に気づき、自信を与えてくれた初めての恋人だった。

ところが、優しい饗庭は女たらしであり、片山の知らないところで他の女子とも付き合っていた。その一人が、写真の女子生徒であり、偶然にも、片山と生徒会選挙で争っていたライバルであった。彼女の弱みを探るため、父の秘書に彼女の素行を調べさせていたところ、恋人の裏切りを知ったのだった。

写真を学校に送り、ライバルと裏切り者を同時に葬り去る。この件が、今の片山雛子のルーツとなった。

事件の当日、饗庭は片山雛子に会いに来た。片山との結婚を噂されている資産家の御曹司・桐山友哉(藤重政孝)が大麻に手を染めている証拠を片山に渡すためだ。しかし、表向きは、高校時代に交わした「いつか自分が作ったチョコレートをプレゼントする」という約束を果たしに来たという饗庭。片山に渡した箱からチョコレートを一粒つまみ、片山の前で食べて見せたところ、今回の事件に至ったのだ。

その後、警視庁に桐山を告発したのは自分であると、マスコミの取材に答える片山雛子。

「結婚の予定は当分なさそうですね」という記者の発言に、「日本国国家と結婚する」と高らかに答え、さらなるイメージアップにつなげた。

片山雛子は杉下右京と甲斐享に、自身の価値観について「幸、不幸に価値をおいて生きていない」「ただ駆け上がるだけ」と語っています。

ちなみに、アーモンドの粉をふりかけたのは、饗庭の恋人・西﨑早苗(演:ハマカワフミエ)。饗庭が大事そうにするチョコレートの箱を、女性からのホワイトデーのお返しだと疑い、ほんの嫌がらせのつもりでやったことでしたが、取り返しのつかない事態となったのでした。

season14第10話 英雄~罪深き者たち

片山雛子が初めて敗北する回となります。

内閣官房副長官に就任した片山雛子と内閣官房長官・音越栄徳(西村和彦)は、新会派「NEW WORLD ORDER」を結成。

その発表の場で、音越は総裁選への出馬を宣言する。

その直後、ステージの背後のパネルが爆破された。その爆発物の精巧な仕掛けは、片山らが5年前に超法規的措置で釈放した死刑囚・本多篤人(古谷一行)を彷彿とさせるものだった。

5年前の事件の後、本多親子は片山の手配により、地方の山奥で静かに暮らしていた。しかし、数日前に突然、本多篤人は監視の目を掻い潜って行方をくらます。片山は5年前のチームを再集結し、本多篤人の捜査を開始した。

爆破は確かに本多の犯行であった。しかし、本多の真の狙いは音越の方だった。

本多篤人と娘の茉莉(内山理名)が静かに暮らしていた場所は、かつて与党議員・大黒(重松収)の地盤であった。大黒は昔ながらの政治家で、クリーンな活動ばかりではないものの、地元を豊かにするために行動し、行き場のない子どもたちの世話もするなど信頼の厚い人物であった。

しかし、13年前に総理の改革に反旗を翻したことで無所属となり、改革側の刺客候補・音越に敗れる。以来、その地は音越の選挙区となった。

大黒が敗北した一因には、「大黒が子どもたちに手を出している」という噂が流れ始めたことにあった。真偽不明にもかかわらず、地元民からの信頼を失った大黒は、失意のまま自ら命を絶つ。大黒に救われた2人の少年・明梨(武田梨奈)と時生(郭智博)は、すべて音越の仕業だと確信し、その復讐のために今日まで生きていた。その復讐に本多篤人や、大黒と親交のあった鞘師九一郎(橋本さとし)が手を貸していたのだった。


音越の船上講演会で、本多と鞘師が人質を取り、都内に仕掛けた爆弾を脅迫材料に、音越と人質を交換するよう要求する。

しかし、杉下右京により爆弾は無事に発見された。現場指揮を執る甲斐峯秋(石坂浩二)は、本多たちにこの事実を伝えれば投降させられると踏む。

ところが片山雛子は、これをチャンスと捉え、爆弾発見は明かさず、音越に人質交換に乗ってもらい、隙を見て制圧する作戦を提案する。

総裁選を前に、テロに屈しない強い政治家として、音越のイメージアップを狙ったものだった。

ところが、その人質の正体は音越をねらう時生であり、最終的に音越は、時生と明梨により殺害される。

音越を失い、新会派は解散。片山雛子はこの件の責任を取って、議員を辞職した。

season16第13話・第14話 いわんや悪人をや

2年前の事件で議員を辞職した片山雛子は、仮出所した瀬戸内米蔵の寺を訪ね、得度を願い出る

ストーリー本編では、瀬戸内が住職を務める徹世院の墓地から、男性の白骨遺体が発見される。瀬戸内の服役で寺が無人となっている間に、何者かが埋めたとみられた。

遺体が発見されたことにより、寺にマスコミが集まり始めたことで、寺に出入りする片山雛子の出家も世間に知れ渡ることとなった。

世間からは、反省の意が足りない、話題作りだと批判される

得度式を終えた片山雛子は、次の総選挙への出馬を表明した。

そして特命係や瀬戸内米蔵らの前で「悪名は無名に勝る」とし、すべては政界復帰のためのパフォーマンスであることを認める。瀬戸内米蔵もその狙いには気づいていたが、性格上、片山雛子を放っておけなかったのだ。

尼僧というイメージを得た片山は、その振る舞いも変わっていく。

2年前、総裁選への出馬を表明した音越に、記者が勝算を尋ねたところ、片山は「私たちが並んでいるところを見て、敗北という言葉が浮かびますか」と強気な態度を見せていた。(この映像を見た瀬戸内は「幼稚」だとし、片山を非難している)

一方、出家してから、風間楓子(芦名星)に政界復帰への勝算を尋ねられた片山雛子は、「すべては有権者の皆さんのご判断」とし、自分はまな板の上の鯉だと慎ましく答えている。


season18第1話・第2話 アレスの進撃

国会議員への返り咲きを狙う片山雛子。

その一方で、議員を辞職してしばらく経った頃から「防衛技術振興協会」の顧問に就任していた。

防衛装備移転三原則の制定により、新たな局面を迎える日本の武器輸出。それに伴い、片山雛子と副会長の桂川(村上新悟)は、デュアルユース技術の輸出を目指していた。

デュアルユース技術とは、民間と軍事の両分野で利用可能な技術のことであり、われわれが日常生活で恩恵を受けるGPSもその一つ。つまり、片山が世界に売り出そうとしていのは、兵器の類ではない。

とはいえ、政界復帰に有利な活動でないことは片山雛子も認識していた。

しかし片山には、不殺生戒に縛られる尼僧である自分が表に立つことで、業界に新しいイメージを与えたいという狙いがあった。また、「選挙に不利だから」という理由で本音を隠す代議士は卑怯だとも評した。

本編は、杉下右京が北海道で行方不明となり、離島の「天礼島」を舞台に進行する。財団「信頼と友好の館」において、主催者の甘村井(団時朗)とメンバーの2名が、自衛隊の元レンジャーである岩田(船越英一郎)に殺害されたとして、島内では大事件になっていた。岩田は、館から逃げ出した実の娘・ミナ(北香那)を追跡している。

一方の片山雛子は、防衛技術振興協会の顧問として北海道の洞爺湖に滞在し、国際会議と同時に開催される見本市の準備を行っていた。

そんな片山雛子の前に、岩田から逃げていたはずのミナと仲間たちが現れる。島での事件の真犯人は彼女たちだったのだ。ミナたちはプルトニウムの入った箱を片山雛子に持たせ、難民ボランティア団体への寄付を要求する。

片山は、テロとは交渉しないと断り、平和を願うだけでは国は守れないことを、第一次世界大戦のチャーチルの言葉を用いて説明した。交渉を諦めたミナの仲間は、せめて見本市の開催を阻止するため、会場でプルトニウムの箱を開けると言い始める。しかし、現れた岩田(船越英一郎)がミナを連れ去り、すべて失敗に終わり、片山や特命係は無事だった。

その後、国際会議と見本市は無事に開催された。

season20第19話・第20話 冠城亘最後の事件

尼僧姿のポスターで、衆院選に無所属で出馬する片山雛子。

その当選を阻むため、当選9回の与党議員であり国家公安委員長でもある鑓鞍兵衛(やりくら・ひょうえ/柄本明)が、片山の選挙区から出馬する。かつて片山が所属していた自生党(S14までは自友党)は、6年前に片山が音越を担ぎ上げ、若い議員を率いて党執行部に弓を引いたことを許していなかった。そんな「跳ねっ返りのコスプレ女史」を討つため、鑓鞍兵衛が刺客候補として国替えしたのだ。

そのような中、8年前に鑓鞍兵衛を襲撃した京匡平(かなどめ・きょうへい/本宮泰風)が満期出所する。京は服役中、「出所したら再び鑓鞍を襲う」と話していたとする情報があった。鑓鞍がSPに守られながら滞在するホテルを訪ねた片山は、「人をつけ狙っている場合ではない」と皮肉る。

京を警戒し、警視庁は捜査一課を送り込むが、京はその対処を逆手に取り、SNSに告発めいた動画をアップした。内容は、8年前、恩師の息子を自死に追いやった鑓鞍を恨み襲撃したことや、そのことで刑期を終えた今も警察に目をつけられ、平穏な生活が奪われていることを語るものだった。さらには恩師の息子について、「実は鑓鞍に殺害されたと思っている」と口にする。

憶測やデマを混じえた話ではあったが、何も知らない民衆に鑓鞍への不信感を抱かせるには十分であった。

選挙の結果は、開票と同時に片山が当確。片山の「圧勝」だった。鑓鞍兵衛への批判が高まり、その批判票が片山雛子へと流れたためである。片山は大差をつけて勝利し、議員に返り咲く。

片山雛子は鑓鞍兵衛に「先生が老害を演じてくださったおかげ」と言っており、あの独特のトーンから放たれる毒舌は健在でした

season21第1話・第2話 ペルソナ・ノン・グラータ

南アジアのサルウィンにて反政府運動が巻き起こり、民衆が勝利した。

片山雛子にとってサルウィンは、師である瀬戸内米蔵が横領に手を染めてまで救おうとした国であり、民が自らの手で勝利したことは感慨深かった

新しい国王の来日を前に、改革のリーダー・アイシャ(サヘル・ローズ)が親善目的で来日する。片山と鑓鞍も「日サ友好協会」の会員(鑓鞍は顧問)として、迎賓楼でのパーティーに招かれた。片山と鑓鞍には、先の衆院選での「鑓鞍・刺客候補→片山・返り討ち」の一件があったが、片山は鑓鞍に友好的に接しており、二人の関係は表向きには良好であった。


会場で片山と鑓鞍の前に、サルウィン外交の第一人者である外務省幹部の厩谷(勝村政信)が現れる。鑓鞍が「新しい国王は人格者らしい」と水を向けると、厩谷は「腐った政府のほうが外交はやりやすかった」と口にする。

片山は、亀山薫に劇場版Ⅰ(2008年)ぶりに再会するが、その時の亀山は、「アイシャを殺害しなければ美和子(鈴木砂羽)らが搭乗している飛行機を墜落させる」との脅迫メールを受け取っており、会話どころではなかった。その後、アイシャやサルウィン親善使節団メンバーのクリス(トラウデン都仁)が亡くなる。

杉下右京は、国内の捜査を亀山に任せ、美和子と共にサルウィンへ発つ。片山雛子の口利きで、現地の日サ友好協会事務局にて、日本とサルウィンの交流の記録を閲覧し、厩谷が外交官として何度もサルウィンを訪れていた事実を確認した。

杉下右京により事件の真相は明らかとなるが、犯人である厩谷はすでにサルウィンの功労者として国王への謁見が予定されていた。アイシャの親友でクリスの姉でもあるミウ(宮澤エマ)の手配により、厩谷は特命係の追及から逃れた。

そんな厩谷に、片山は電話を掛けて帰国を勧めるが、厩谷はまだサルウィンを甘く見ているのか耳を貸さない。そして厩谷が片山からの電話を受けた部屋の外には、厩谷を事故に見せかけて葬り去るため、ミウが手引きした武装集団が待ち構えていた。

外務省といえば、片山雛子にとって色々と思い入れのある場所。馴れ合いの外交に慣れきって鈍化した厩谷よりも、片山雛子のほうが新生サルウィンの変化に敏感だったのでしょう。