【劇場版 相棒】全作品の紹介と本編との時系列・関連エピソードを完全解説

劇場版『相棒』は、もうご覧になりましたか。
劇場版はテレビよりも踏み込んだテーマや警察組織の闇が描かれており、ドラマ版が好きな方なら間違いなくどの作品も楽しめる内容といえるでしょう。
しかし、いざ劇場版を観ようとすると気になるのが、ドラマとのつながりです。
相棒の劇場版は、それぞれ独立した作品であるため、単体でも十分に楽しめるものの、登場人物の関係性や過去の出来事はドラマ本編と地続きで描かれています。
そのため、劇場版と関係のある本編のストーリーを視聴していると、登場人物同士の会話が一段とおもしろく感じられたり、意味深な発言の背景が見えてきたりして、相棒をもっと深く楽しめるようになります！

本記事では、相棒の劇場版の各作品をより楽しめるよう、あらすじやキャスト、関連する本編ドラマのエピソードや豆知識、そして劇場版『相棒』をお得に観る方法を紹介します。

相棒の劇場版は全部で6作品

相棒の劇場版は、これまで6つの作品が公開されています。

もっとも古いのは2008年公開の「相棒 -劇場版- 絶体絶命！42.195km 東京ビッグシティマラソン」（以下、劇場版〈無印〉）であり、もっとも新しいのは2017年公開の「相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人！ 特命係 最後の決断」となります。

この「劇場版〈無印〉」から「劇場版Ⅳ」までの4作品は、杉下右京と歴代の4人の相棒がそれぞれ登場するナンバリング作品になっています。

さらにその間にスピンオフ映画が2本あり、これらを合わせて全6作品となります。

作品名一覧

それでは、全6作品の各タイトルと公開順を見ていきましょう。公開日とは、文字どおり映画の公開日です。

劇場版で扱われるテーマ

相棒の劇場版では、テレビドラマよりもさらに重厚なテーマや、警察組織に関する内容が扱われています。

後半の「6作品のストーリー紹介」で解説します。

相棒の劇場版と本編の時系列

劇場版『相棒』の魅力の一つは、テレビドラマで作り込まれた世界と劇場版がしっかりつながっていることです。

登場人物同士の関係はテレビドラマのままなので、本編ドラマファンならより深く楽しめるストーリーになっています。

しかも、劇場版で起きた出来事は、その後のドラマにも反映されるんだよね

そうですね

劇場版で登場した人物とドラマで再会することもありますし、劇場版で亡くなった人はドラマでも故人となっています

そこで知っておきたいのが、劇場版と本編の時系列です。

そこで、劇場版と本編の時系列を、作中の日付けで整理すると、次のようになります。

劇場版にもっとも多く登場する相棒

劇場版のナンバリングタイトル（無印～Ⅳ）は、それぞれ歴代相棒の作品になります。

ただし、神戸尊（及川光博）だけは、劇場版6作品のうち4作品に登場しています。

神戸尊以外の歴代相棒は警察を辞めていますからね

杉下右京の下について一度も警察を辞めていないのは、神戸尊と陣川公平くらいなんですね

相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン

初の劇場版作品です。2008年、亀山薫が卒業するseason7の前に公開されました。

ビジュアル広告のオールスター感がいい…！

あらすじ

登場人物

作品の時系列

作中の「東京ビッグシティマラソン」の開催日が「2008年5月11日」とされているため、時系列はseason6と7の間となります。

この作品のみ、劇場公開日と作中の時期がぴったり合っているんだね

2000年から杉下右京の相棒を務めた亀山薫。劇場版の年の12月（season7第9話）に相棒を（一旦）卒業します。

作品に関する豆知識

邦人人質事件とは

治安情勢の不安定な海外の国で、現地の日本人が武装集団などに拉致され人質となる事件を指します。身代金の要求や、その国に派遣された部隊の撤退を目的とする場合などがあります。

2004年にイラクで起きた事件が印象に残っている人が多いんじゃないかな…当時は毎日のように報道されてた記憶があるよ

当時、この事件をモチーフにした「バッシング」（2005年）という映画もありました

関係するドラマのエピソード

season3第1～3話「双頭の悪魔」、season6第16話「悪女の証明」

衆議院議員・片山雛子（木村佳乃）の過去の登場回となる上記のエピソードを観ておくと、劇場版をより楽しめます。

片山雛子はこれらのエピソードにおいて、いかにも「強かな女」「悪女」と呼べる振る舞いで特命係に関わってきました。

そんな彼女の人物像を知っていると、本作で彼女が取った「ある行動」に衝撃を受けるでしょう。

片山雛子は最近ではseason21まで登場しており、相棒の世界で長く活躍する準レギュラーです

片山雛子の初登場となったseason3第1～3話、それに続くseason6第16話を視聴しておくことで、彼女の波乱万丈な人生を特命係と一緒に見守ることができます

片山雛子の活躍は、こちらの記事で詳しく解説しています。彼女に興味のある方はこちらの記事もぜひご覧ください。

season10第5話「消えた女」

劇場版から約3年後、本作で登場したゲストヒロイン・守村やよい（本仮屋ユイカ）が再登場します。

ジャーナリストを目指す彼女が、身の回りで起きた不可解な出来事を相談するために、杉下右京を訪ねて警視庁にやってきます。なお、劇場版とは無関係の事件です。

悲しい結末の劇場版を視聴して、もし晴れない気持ちがあるのなら、彼女が元気に頑張っているこのエピソードを観るとちょっと気持ちが和らぐかもしれません

相棒シリーズ　鑑識・米沢の事件簿

本作は、特命係・杉下右京を敬愛する優秀な鑑識課員・米沢守を主人公としたスピンオフ作品です。小説「幻の女房」を映画化したものとなります。

小説が原作なんだね

原作と違う部分もあるらしいよ！そこらへんも詳しく知りたいね！

あらすじ

登場人物

作品の時系列

本作は、劇場版〈無印〉での「東京ビッグシティマラソン」の日に起こります。したがって本作もまたseason6～7の間の、2008年5月の事件となります。

米沢さんはpre seasonから登場している、相棒のレギュラーです

作品に関する豆知識

警察の外郭団体とは

警察組織の支援を行う外部組織のことです。

防犯協会や交通安全協会などがあり、幹部の天下り先として批判されることもあります。劇場版では知子の職場として「青少年防犯協会（せいぼうきょう）」が登場します。

原作小説との違い

原作小説『鑑識・米沢の事件簿～幻の女房～』もまた、東京ビッグシティマラソンで元妻に瓜二つの女性を見つけ、相原とともに彼女の死の真相に迫るストーリーです。このように大筋は原作に準拠している劇場版ですが、細かい部分に違いがあります。

犯人が違うのかよ！

米沢守のスピンオフ小説は全2作品となります。

関連するドラマのエピソード

season10第15話「アンテナ」

事件から約3年後となる、season10第15話「アンテナ」にて、米沢守の相棒・相原誠（萩原聖人）が再登場します。

捜査連続通り魔事件の証拠品を所轄から勝手に持ち出し、米沢に鑑識を依頼しに来たところで特命係と出会います。

劇場版は元妻の事件だから冷静じゃなかった…わけではなく、もともとそういう人物であることが判明します

Season13第11話「米沢守、最後の挨拶」

本作と直接関係はありませんが、劇場版にて相原の元妻・知子の血液型を米沢と一緒に鑑定した鑑識課の早乙女美穂（奥田恵梨華）が再登場します。

相棒 -劇場版II- 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜

ナンバリング2作目となる劇場版の相棒は「神戸尊（かんべたける）」。警察庁警備局の警視であったエリート警察官でしたが、密命を受けて特命係に警部補として異動した人物です。

個人的に、劇場版の中でもっとも悲しい事件だわ…

余談ですが、神戸尊はこれ以降の劇場版作品にすべて出演しています。

あらすじ

登場人物

作品の時系列

籠城事件の発生は2010年7月であり、時系列はseason8から9の間になります。

神戸尊の密命は、season8の最終話で杉下右京の知るところとなりましたので、本作は、二人の間に隠し事が無くなった、本当の「相棒」として挑む事件になります。

作品に関する豆知識

警視庁公安部

過激な団体やテロリストなどによる事件を抑止・解決する部署です。もとは警備部のライン上にあった部署ですが、治安情勢からその重要性が増して組織が大きくなり、現在は警視庁のみ公安部として独立しています。（他の県警などでは今も警備部に公安課として内包されています）

警察庁と警視庁の関係

劇場版Ⅱでは、事件のサイドストーリーとして、警察庁長官・金子（宇津井健）と警視総監・田丸（品川徹）の対立が描かれます。

警察庁とは長官官房・生活安全局・刑事局・交通局・警備局・サイバー警察局から成る国の機関です。トップである警察庁長官は、警察全体の企画立案など都道府県警察を指揮監督する立場となります。

警視庁とは都警察の本部の名称。「都道府県警察の一つ」という位置づけになりますが、そのトップの警視総監は、長としての役職名であると同時に、警察法に定められた警察官（長官を除く）の最上位の階級名にもあたり（警察法第62条）、他の道府県警察本部長とは一線を画しています。

とはいえ、一般的には、警察官のナンバーワンは警察庁長官であり、それに次ぐ地位が警視総監とされています。

関連するドラマのエピソード

season9第9話「予兆」

2010年12月に放送されたエピソードですが、冒頭に「2010年夏」とテロップが入り、劇場版Ⅱの少し前の事件として描かれています。

ストーリーは、警察庁長官官房室に勤務する女性の遺体が発見され、彼女が警視庁のエリート警察官と親しくしていた事実が判明するというもの。当初、不倫関係にあるかと思われた二人ですが、その背後には警察庁長官・金子（宇津井健）と警視総監・田丸（品川徹）の対立がありました。

「警視庁を管理したい警察庁」と、「首都を守る最高の警察として独自性を強めたい警視庁」という対立構造になっています。

season1第11話「右京撃たれる　特命係15年目の真実」

劇場版Ⅱとともに視聴しておきたいのが、杉下右京と小野田公顕の因縁となったseason1の人質籠城事件です。簡単な内容はseason9第9話「予兆」でも、大河内監察官（神保悟志）から神戸尊に説明する形で紹介されています。

ただ、杉下右京側の立場での説明となっているため、小野田の人物像まではわかりにくいです

今の特命係が誕生するきっかけとなったこの事件の詳細は、season1第11話「右京撃たれる　特命係15年目の真実」で明らかとなります。、また、次の第12話「特命係、最期の事件」では、この事件のどさくさに紛れて殺人を行った人物がいることを特命係が突き止め、解決となります。そしてそれだけでは終わらず、season4第1話「閣下の城」では、その犯人がなぜか特命係と小野田公顕、瀬戸内米蔵をパーティに招待するという、異質なストーリーもあります。

この時期の作品は、確かに音や映像は古さを感じさせますが、ストーリーがかなり面白いので途中で気にならなくなると思います！

season4第1話はともかく、season1の11話と12話を観れば、杉下右京と小野田公顕の「正義」の違いがどこにあるのか、なぜ二人が対立してしまうのかがよくわかるね

season9第18話（最終話）「亡霊」

劇場版Ⅱにおいて亡くなったある人物が、生前に策定した死刑囚を釈放する極秘計画を、片山雛子（木村佳乃）らが実行するストーリーです。

片山雛子は「遺言」として計画を尊重しつつも、自分に火の粉が降りかからないよう、計画の一部を自分の都合のよいように改変することも忘れません。

片山雛子の活躍はこちらの記事にまとめています。

劇場版Ⅱにおいて亡くなったある人物の影響は、この後も続きます。生前に行った取り組みのせいで事件が起きたり（season12第19話「プロテクト」）、遺骨が盗まれたり（season21第20・21話「13」）します。

season10第19話（最終話）「罪と罰」

劇場版を機に警察庁長官官房付きとなった長谷川宗男（國村隼）と神戸尊が再会します。

長谷川は、内閣総理大臣補佐官・片山雛子（木村佳乃）とともに、ある事案への協力を神戸尊に依頼します。

相棒シリーズ X DAY

本作は、熱血刑事・伊丹憲一とサイバー捜査官・岩月彬が「相棒」となるスピンオフです。作中では「角田＆大河内」も相棒風で行動しています。

金融や投資に興味のある人は絶対面白いはず！

これを視聴した当時、「これ現実に起こるんかな…」って不安になったのを覚えています

画面をしっかり観とけばX DAYの日付け、見えちゃうからね…

あらすじ

登場人物

伊丹憲一は、特命係がドラマシリーズ化する前の単発ドラマだった、いわゆる「pre season」の第1回目から最新seasonまで切れ目なく登場してるんだよね

相棒の登場歴は杉下右京と同じなんだな

作品の時系列

2012年6月の事件であり、時系列はseason10～11の間です。

神戸尊が特命係を卒業して警察庁長官官房付となってから、杉下右京が甲斐享と出会うまでの、相棒不在の時期となります。

ちなみにこの時、杉下右京はロンドンに滞在中です。

作品に関する豆知識

金融封鎖

銀行預金の引き出しや送金を一時的に制限する措置です。政府が経済・財政対策として行う場合や、民間の金融機関への信用不安から取り付け騒ぎとなった時に行う預金の支払い停止を指します。

関係するドラマのエピソード

season11第17話「ビリー」

劇場版の後、結婚詐欺師が殺害された事件にて、特命係と捜査一課が被害に遭った可能性のある女性に聞き込み中の現場に、岩月が現れます。

また、遺留品の現金入りの封筒が、劇場版の舞台となった架空の銀行「明和銀行」のものであるなど、細かいつながりもあります。

岩月の活躍を再び観れる貴重な回です。

season11第19話（最終話）「酒壺の蛇」

角田課長の同期である、組対二課の課長が亡くなります。その後、この事件を捜査中の甲斐享のスマートフォンにウイルスが送られ、盗撮盗聴が行われていたことが判明し、その捜査を岩月が担当します。

相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ

ナンバリング3作目となる劇場版の相棒は、甲斐享（かいとおる）。警察庁次長・甲斐峯秋の息子であり、杉下右京よりもかなり若い相棒ですが、その正義感や真っ直ぐな性格を杉下右京は高く評価しています。

ラストの特命係と神室の対話は、多くの人が普段あまり考えないようにしていたことじゃないかな…

ちなみに、劇場版での甲斐享の設定年齢を計算すると29歳です

他の相棒の劇場版での設定年齢は40代だから、かなり若い！

あらすじ

登場人物

作品の時系列

本作はseason11と12の間となる2013年6月の事件となります。

甲斐享が特命係にやってきたのはseason11初回ですので、二人が相棒となって9か月ほど経ったころの事件となります。

作品に関する豆知識

民兵

民間人によって自発的に組織された武装集団です。本作の場合は「国を守る」という共通の理念により組織されています。日本で民兵を直接禁止する法はありませんが、武器や兵器の所有は当然ながら規制されます。

即応予備自衛官

非常勤の自衛官として、災害派遣や有事の際に即座に招集される人員です。普段は民間企業などで勤務しながら、年間30日の訓練に参加して任務に備えています。

関連するエピソード

相棒-劇場版III-序章

劇場版Ⅲの約一年前を描く「序章」が特別に制作されています。地上波のテレビドラマではなく、NTTドコモが運営する「dビデオ」とのコラボレーションで、配信向けに制作された作品です。

脚本：戸田山雅司　監督：近藤俊明

2013年初夏、劇場版Ⅲの事件の後、特命係の部屋で杉下右京と甲斐享が、一年前（2012年6月下旬）に亡くなった自衛官と新聞記者の事件記録を読む形で進行するストーリーです。二人は、埠頭の貨物船の中で発見されました。

事件捜査にあたったのは、捜査一課の伊丹・三浦・芹沢のいつメン。劇場版Ⅲの前触れとなる事件になります。

内容は非常に重苦しく悲しい事件であり、劇場版Ⅲとは関係なく単体で見応えがあります。

「劇場版のプロモーションかー」と軽い気持ちで視聴したら、すごく重いストーリーでした…

ちなみに前作「X DAY」の事件の、約2週間後の事件となります。

配信は、dビデオかテレ朝動画で観ることができます。

相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断

4代目相棒・冠城亘が登場する劇場版です。法務省官僚から警視庁の巡査に転身し、特命係は二年目、警察官としては一年目となります。

あらすじ

登場人物

作品の時系列

本作は、2016年9月の事件であり、時系列はseason15第1話と第2話の間となります。

冠城亘は、season14では法務省からの出向者として特命係で杉下右京と事件を解決し、最終話で警視庁への転職を決意します。そしてseason15第1話で、広報課から特命係に異動します。

劇場版のストーリーは特命係に異動した後の事件ですので、第1話より後となります。また、第2話で劇場版で開催されたはずの日本選手団の凱旋パレードがすでに終わっていることから、本作はseason15第1話と第2話の間となります。

作品に関する豆知識

戦時死亡宣告（特別措置法）

戦争中や戦後に外国から帰還しないまま消息不明となった未帰還者について、7年以上生存が確認できない場合に、法律上「死亡したもの」とみなす制度です。1959年に制定された特別措置法に基づき施行されました。

関連するドラマのエピソード

season15第13話、第14話 「声なき者」

2016年2月の事件を回想する形のストーリーで、冠城亘がまだ法務省からの出向者だった時に起きた人質籠城事件です。

劇場版Ⅳに登場する神戸尊が杉下右京と再会を果たし、冠城亘とも接点を持ちます。

この回では、警察庁警備局長（当時は警察庁長官官房総務課長）の山崎哲雄（菅原大吉）と特命係の因縁が生まれます。また、テレビで国際犯罪組織バーズに関するニュースが流れているなど、本作との細かいつながりもあります。

劇場版『相棒』全6作品をお得に観る方法

相棒の劇場版について、あらすじや関連するエピソードなどを紹介しました。

これでもっと相棒の劇場版を楽しめるはずです！

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