テレビドラマ「相棒season6」の第12話を解説します。
後に花の里の2代目女将となる、月本幸子が服役中の回の後編です。
「狙われた女」の概要
放送日
2008年1月23日
主な出演者
鈴木杏樹 MEGUMI 潮哲也 池田政典 久世星佳 工藤俊作 正城慎太郎 児玉貴志 谷本一
相棒のレギュラー
杉下右京・亀山薫・美和子・たまき・伊丹憲一・三浦信輔・芹沢慶二・角田六郎・米沢守・大河内春樹・大木・小松・内村部長・中園参事官
脚本
古沢良太
監督
和泉聖治
「狙われた女」のあらすじ
前回の「ついている女」で発生した護送車襲撃事件の狙いは、吉井春麗(MEGUMI)を逃亡させることではなく、同じ車両で移送されていた月本幸子(鈴木杏樹)にあることがわかりました。幸子を狙ったのは、城代金融の向島茂(正城慎太郎)であり、その目的は、かつて自身を撃った幸子への復讐でした。車椅子に乗った向島に幸子はすっかり怯え、向島の言いなりになってしまいます。一方、春麗は騙されたことに苛立ち、向島の部下・田村(児玉貴志)から拳銃を奪って幸子の救出を試みます。
しかし、田村の言葉に油断させられた春麗は拳銃を奪われそうに。拳銃の扱いに慣れていない春麗は、「安全装置を外さないと使えない」と田村に言われ、つい銃を確認しまったのでした。すかさず田村が拳銃を奪い取ろうとし、2人は揉み合いになります。
その時、月本幸子が覚醒し、揉み合いの中から拳銃を奪い取り、田村、そして向島に向けて鮮やかに構えます。
幸子の行動を見て、向島も諦めた様子で「幸子の好きにさせてやれ」と言い、幸子と春麗は脱出に成功します。
そのころ、杉下右京は刑務所内の内通者が戸崎(久世星佳)であることを突き止め、彼女の証言から、城代金融に月本幸子への復讐の機会を与えたのは「GOD」と名乗る人物であることを聞き出します。
そこから、杉下右京は、GODの真のねらいは一周回って春麗であると推理し、再度彼女の身辺を詳しく調べます。
すると、かつて春麗の女友達とその交際相手であるIT企業の経営陣の男が亡くなっていることがわかります。女性は薬物中毒、男性は謎の転落死でした。
杉下右京は、この企業が前に薬物使用で捜査対象になっていたことを覚えており、2人は口封じで消され、春麗もまた何らかの事情を知ってしまい狙われていると推理します。現在、この薬物事件の捜査は角田課長の組織犯罪対策課ではなく、監察課が引き継いでいました。その理由は、GODの正体が、現職の警察官である可能性があったからです。
まさに今、幸子と春麗を捜索している警察官の中にGODがいるかもしれない――。
その頃、幸子と春麗の前に、飯島刑事(池田政典)と岡刑事(工藤俊作)が現れます。
春麗は2人の顔に見覚えがあり逃げ出そうとしますが、幸子と共に捕まり連れ去られてしまいます。
月本幸子(つきもと・さちこ)とは
season4で殺人未遂罪で捕まり服役中の月本幸子が再登場します。
夫を亡くし、借金と病気で生活ができず、やむなく城代金融(実質、暴力団)の向島茂の愛人として生きていましたが、その向島こそが夫を殺害した張本人であることを知り、復讐を決行します。
その結果、殺人未遂の罪で特命係に逮捕され、服役していました。
前編「ついている女」
今回は、服役中の月本幸子が脱走事件に巻き込まれる2話完結のストーリーです。
前編は第11話の「ついている女」になります。
城代金融のメンバーにも事情が・・・
ここからは本話の重大なネタバレを含みます。
GODによる月本幸子への復讐計画に乗った城代金融の残党でしたが、向島茂の本心は、復讐にはなかったようです。
警察の取り調べで向島茂は、「玄関に5,000万円の現金が置かれており、電話で月本幸子への復讐を唆された」と話します。
本心では幸子への復讐などもうどうでもよかった向島ですが、組織が壊滅し、仲間が次々に離れていく中、その大金で久々に派手な事件を起こしたかったのでした。
飯島刑事(池田政典)と岡刑事(工藤俊作)に捕まった幸子と春麗は、廃墟ビルに連れ込まれます。
飯島は、警察に疑われずに幸子と春麗を始末するための作り話として、「拳銃を持った春麗が幸子を人質にビルに立てこもったため、やむなく春麗を撃ったところ、春麗が死に際に幸子を撃ったことにする」と岡に提案します。
そこに城代金融の田村秀明(児玉貴志)が現れます。
月本幸子から別れ際に「誰だってやり直せる」と言われた田村は、幸子と春麗の後をつけていたのでした。
飯島のシナリオを聞いていた田村は「あくまで刑事であるこの2人は、丸腰で逃亡犯でもない相手を簡単に撃てない」と考えたのですが、飯島と岡は田村に拳銃を向けます。
「(俺を撃つ)理由はなんだ?よく考えろよ?」という田村の言葉に、飯島は「後で考える」と短く答え、田村の腹部を躊躇なく拳銃で撃ちます。
岡はまだ迷っている様子が見て取れますが、飯島は、もう人としての一線を完全に越えています
田村に気を取られている飯島の背後に幸子が体当たりをし、幸子と春麗は走って逃げ出すことに成功します。(田村を置いて)
これにより、幸子は春麗の携帯電話から特命係に救助を求めることに成功。
最終的には田村を含む3人が助かりました。
春麗がGODに狙われた理由
かつて春麗は、女友達からの紹介でIT企業の社長とホテルで会うのですが、部屋で社長が売人から大量の薬物を購入する現場を目撃します。
その時の売人が、飯島と岡でした。
春麗が密売現場にいることに驚いた2人でしたが、社長は危機感のない様子で「あの子は大丈夫」と言います。
そんなことを言われて安心できるはずもなく、飯島と岡は、その日から春麗を始末する計画を練っていたのでした。
救出された幸子と春麗のその後
春麗は自分が誰からも必要とされていないと感じており、逃亡中に自棄になることもありましたが、幸子の励ましを受けながら、少しずつ穏やかな自分を取り戻していきました。
ラストでは、春麗の父親が実は裏社会から足を洗い、日本の中華料理店で働きながら娘が出所する日を待っていることを杉下右京から聞かされ、涙を浮かべます。
幸子については残念ながら、今回の事件で刑期が延びてしまいます。
月本幸子の次の登場回は、出所後(リアルでは4年後)のseason10第12話「つきすぎている女」になります。