テレビドラマ「相棒season15」の第16話を解説します。
第16話「ギフト」の概要
放送日
2017年2月22日
主な出演者
野間口徹 松尾諭 橋本淳 片山萌美
相棒レギュラー
伊丹・芹沢・中園参事官(てるお)・青木・幸子
脚本
真野勝成
監督
内片輝
第16話「ギフト」のあらすじ
連続殺人事件の被告人であり、末期がん患者である北一幸(野間口徹)が、勾留中の病院から逃亡しました。
北一幸は、かつて6人の女性を殺害してその顔を切り刻んだ快楽殺人犯であり、捜査一課と特命係にとっては因縁のある相手です。
看護師や見張りの刑事が常駐する院内からの逃亡など、通常は不可能なはずでした。しかし北一幸が逃亡した夜、何者かにより電源システムがダウンし、病院内は約11分の間、真っ暗の状態に。
見張りをしていた刑事2人ついては制圧されおり、そのうち潮崎(しおざき)巡査(橋本淳)は殺害されて顔を切り刻まれた状態で発見されます。この潮崎巡査に対する犯行は、明らかに北一幸の手口でした。
その後、北一幸の弁護士・連城建彦(松尾諭)の法律事務所において、伊丹刑事は北一幸からの電話を受けます。
電話口で北一幸は伊丹に「神が夢の続きを見る時間をくれた」と、犯行の再開をほのめかします。
捜査会議では、北一幸が逮捕前にリストアップしていた女性の安否確認が急務とされますが、その会議中、伊丹宛てに大型冷蔵庫が届きます。
嫌な予感しかしない冷蔵庫を開けると、中から、顔を切り刻まれた女性の遺体が発見されます。
その女性は、北一幸がリストアップしていた女性の一人、有村みなみ(片山萌美)でした。
第16話「ギフト」の見どころ
北一幸が再登場
season14第12話「陣川という名の犬」で逮捕された連続殺人犯・北一幸が再登場します。
女性の顔面を殴って殺害し、その顔を切り刻む手口に特徴があります。
しかしその残忍な手口とは対照的に、北一幸という人物は、言葉づかいは丁寧で物腰も柔らかく、とてもそのようなことをした殺人犯には見えません。
前回、北一幸は伊丹刑事に、他人のために罪を犯したことを「忘れがたき思い出」と語っており、喜びを見いだしていた様子があります。
北一幸は生身が一番怖い
犯行手口の印象があまりに強いため、「北一幸は刃物を使って犯罪を行う」という印象があると思います。
しかし、北一幸の本当の怖さは、相手に気づかれずに背後に近づく能力と、突然繰り出される強力な殴打です。
つまり、生きている人にとって本当の脅威となるのは、刃物でどうこうではなく、このスニーキングとパンチのコンボになります。
生身でこれだけ強かったことを考えると、もっと厳重に警戒されて良さそうなものですが、やはり療養中であることが油断を招いたのでしょう。
連城弁護士が初登場
弁護士・連城建彦(れんじょう・たけひこ)が初登場します。
北一幸は外部と連絡を取ることが禁じられていますが、連城弁護士を介すことでそれが可能な状態でした。
冠城君は守秘義務を貫く連城に対し、令状請求をしてでも北一幸と外部のやり取りを開示してもらうと伝えます。
ところが連城は「今から事務所をひっくり返してもいいですよ」と余裕の態度を見せます。
連城弁護士の特殊能力
連城弁護士には、会話の内容を98%記憶できるという、とんでもない記憶力がありました。
本人が言うには、作家のトルーマン・カポーティを上回るとのことです。
この能力の凄いところは、98%の内容を覚えて自分の言葉で伝えるのではなく、98%を丸暗記して一字一句再現できるところです。
この能力があれば、連城弁護士自身がボイスレコーダー代わりとなって、被告人と外部の人間とのやり取りを、手紙や音声といった物証を残さずに実現することができます。
単なる指示や連絡に対してはそれほど価値がありませんが、発信者の「気持ち」が重要となる指示や連絡をしたい場合、特に信頼・信仰されている人物からの指示や連絡の場合は、この方法が役に立つと考えられます。
ただし、再生時は当然ながら連城弁護士の声になります
右京さんに対しては何かを感じ取ったのか、「頭がいい人間には独特の匂いがある」と言い、どこか嬉しそうな様子で自分の能力を明かします。
しかし、やはり北一幸と外部の人間との会話内容は一切教えてくれません。
冠城君がまた右京さんの悪口言ってる…
連城弁護士の部屋から出た後、冠城君が「あいつ検察の天敵なんですよ」と連城弁護士のことを右京さんに伝えます。
なぜ先に教えてくれなかったのかと問う右京さんに対し、「性格の悪い人間同士のファーストコンタクトに興味がありまして…」と答えます。
真面目に仕事をしているように見えましたが、そんなことを観察していたのですね。
でも面白かったので、冠城君、グッジョブです。
心無いイジメのシーン
事件の背景として、心無いイジメのシーンが描かれています。
冠城君の言うように、まさに「心を殺された」といえるでしょう。
北一幸のしたことは許されませんが、このイジメの犯人も到底許されません。
右京さんによる精神攻撃が強い
北一幸の犯行動機は「人のため」ではあるものの、その中身は、孤独な若者を勝手に「こちら側」として手に掛けたという許されないものでした。
事件解決後、右京さんは北一幸の犯行動機を言い当て、彼を喜ばせてしまいます。
しかし、その後に続く右京さんの言葉で、北一幸は徐々に表情を失い、トドメの一言によって、冷たい殺人犯の目に変わります。
短いシーンですが、北の顔から温かみが消えて「あっ変わった!」となります。
しかし、イジメのシーンがひどすぎるため、そんなに悪いことをした印象が持てない不思議な回です。
陣川君、ロンドン市警で研修中
出演はしていませんが、ラストシーンで陣川君が特命係に宛てた手紙が、右京さんによって読み上げられます。
そこには次のようなことが書かれていました。
・ロンドン市警で研修中であること
・研修先では「ハンドリングワーニング」というニックネームがついていること
・早く日本に帰って良いといわれていること
・本人はその理由を、自分が優秀すぎて研修する必要がないからだと思っていること
ハンドリングワーニング(handling warning)は取扱注意の意味であることから、冠城君は陣川君なりの英国風ブラックジョークではないかと推測します。
冠城君の推測はたぶん違うと思うのですが、陣川君が元気そうで何よりです。