刑事ドラマによくでてくる機動隊・SAT・SITの違いを解説

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ヘルメットや防弾衣を着用し、盾を持って現場に現れる警察の部隊といえば「機動隊」です。

刑事ドラマの中では、立てこもり事件や爆発物の解除が必要な場面などで登場します。

しかし、ドラマによっては彼らを機動隊とよんだり、SATやSITと呼んだりする違いが気になったことはないでしょうか。

本記事では、機動隊・SAT・SITとの違いをわかりやすく解説します。

機動隊とは

機動隊とは、さまざまな任務をチームで遂行する、警察の精鋭部隊です。

全国の都道府県警察本部の警備部に設置されています。

機動隊の2つの任務

機動隊の任務は、機能的な性質から大きく2つに分けることができます。

1つは集団での警備力を活かした任務、もう1つは専門的な技能を活かした任務です。

集団での警備力を活かした任務

機動隊は、個ではなく集団での警備力を活かして、テロやゲリラに対する治安警備、地震などの災害警備、警衛・警護のための警備などで活躍します。
こうした警備部門の業務以外にも、数の力が欠かせない活動には雑踏警備、暴力団対策、暴走族の一斉取り締まりといったものがあり、機動隊はこれらも支援しています。

専門的な技能を活かした任務

銃器対策、NBCテロ対応、爆発物処理、水難救助、レスキューなどの危険な任務は、専門的な技能や専用の装備・資機材を活用しなければ遂行できません。

こうした高難度の事案にも対応できるよう、機動隊は日々訓練を重ねています。

体制は都道府県ごとに異なり、たとえばNBCテロ(核や生物兵器などのテロ)では、9つの都道府県警察(北海道、宮城、警視庁、千葉、神奈川、愛知、大阪、広島、福岡)において、専従部隊も設置されています。

機動隊の種類

刑事ドラマで現場に駆けつけてくるのは、各都道府県警察に常設されている機動隊です。

機動隊にはこの常設部隊に加えて、非常設タイプの第二機動隊や広域運用が可能な管区機動隊が存在します。

機動隊(常設)とは

都道府県警察ごとの本部の警備部に属する常設の部隊です。一般的に「機動隊」といえば、この部隊を指します。

機動隊は1952年(昭和27年)、まず20都道府県に設置され、1962年(昭和37年)までに全国に広がりました。1948年(昭和23年)に創設された警視庁予備隊が先駆けとなりました。

(参考)警視庁|警視庁機動隊の歴史

(参考)警察庁|警備情勢を顧みて

隊員になれる資格は都道府県ごとの運用によって決まりますが、これらの共通指針となる警察庁の通達によれば、隊員(幹部ではない隊員)の選抜基準は次のように示されています。

・30歳未満で身体強健な者

・1年以上の実務経験を有する者

・術科に優れている者、または通信、自動車の運転等に関する技能を有する者

(参考資料)警察庁|通知・通達

任務の性質からも想像がつきますが、機動隊は武術や身体能力に優れている人材が望ましい部署です。

そのため隊員には「特練(トクレン)」に該当する、身体能力の高い警察官などが選ばれています。

特練とは「術科特別訓練員」の略称で、柔道、剣道、逮捕術、けん銃射撃の4つの訓練を日課とすることが認められる、特に優れた警察官のことです。

元警察官
元警察官

柔道や剣道の特練は武道での採用で警察官となった人たち、逮捕術やけん銃は採用後に適正があると判断された人に声がかかるイメージになるよ

そういう人たちってずっと機動隊なの?

元警察官
元警察官

ううん、警察庁の通達によると隊員の任期はおおむね2年以内とされているよ

昇任試験に合格して途中で異動したり、本人の希望や怪我で除隊するパターンもあると思う

除隊した後ってどうなるの?

元警察官
元警察官

現場に出て活躍しつづける人もいれば、警務部門で指導役にまわったり、昇任して幹部として隊に戻ったり…いろいろあるよ

なるほど

厳しい訓練を乗り越えてきた人たちだから、どんな部署でも活躍できそうだね

管区機動隊とは

管区機動隊とは、常設の機動隊に準じた訓練を定期的に行いながら、平時は警察署等で勤務して任務に備えている部隊です。

また、大規模な警備が必要なときは、他の都道府県に派遣されることもあります。

1969年(昭和44年)、都道府県警察の相互援助体制を確立するために発足した部隊です。
訓練では、管区内の大隊や連隊で集まる全体訓練もあります。

(参考)管区機動隊の編成等に関する規則

「管区」とは全国の府県警察(北海道・東京都を除く)を7つの管区に分けた単位です。東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州のそれぞれの警察局が、府県の境を超える広域での警察活動の調整を行っています。

常設の機動隊との違い

・平時は警察署などで、地域、刑事、交通といった業務に従事している(直轄警察隊に所属する場合もある)

・大規模な警備が必要となった際には他の都道府県に派遣されることがある(例: サミットの警備、大規模災害など)

隊員については、30歳未満で1年以上の実務経験を有する者から指定するよう、警察庁が通達しています。

(参考資料)警察庁|通知・通達

元警察官
元警察官

所感になるけど、警察学校を卒業後、2、3年くらいの勤務を経た若い警察官が選ばれるイメージがあるよ

任期は2年くらいで、それを終えたら署内で希望する係に配属されやすい流れもあったと思う

第二機動隊とは

第二機動隊とは、普段は警察署などで勤務をし、必要な時に招集されて機動隊の活動を補完する部隊です。

常設の機動隊との違い

・普段は警察署などで通常の業務に従事している


隊員の選抜基準は、警察庁から次のように通達されています。

・原則、警察署に所属している者
・35歳未満で身体強健な者
・1年以上の実務経験を有する者
・機動隊員であった者や、機動隊員に選抜しようとする者がいれば優先して指定

(参考資料)警察庁|通知・通達

ちなみに警視庁や大阪府警など機動隊の常設部隊を複数もっている警察では、各隊の名称を第◯機動隊(例:第一機動隊、第二機動隊…)としています。

この場合の「第二機動隊」であれば、予備ではなく常設の機動隊(本隊)となるため、その違いに注意が必要です。

SAT(Special Assault Team)とは

SAT(サット)とは「特殊部隊(Special Assault Team)」のことです。

8つの都道府県警察(北海道、警視庁、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄)の機動隊に編成されています。

自動小銃、ライフル、閃光弾など特殊な装備・資機材を活用し、ハイジャックや立てこもり、テロ事件などの現場に出動し、人質などの安全を守りながら犯人を制圧・検挙することを目的としています。

1995年(平成7年)、国内航空機におけるハイジャック事件が16年ぶりに発生したことを受けて、翌年4月に発足された部隊となります。

(参考)警察庁|平成8年警察白書

当初は7つの都道府県で200名体制、現在は8つで300名体制に増強されているよ

SIT(Special Investigation Team)とは

SIT(シット、エス・アイ・ティー)とは、刑事部捜査一課の特殊犯捜査に従事する部隊の通称名です。

特殊犯とは、誘拐、人質立てこもり、ハイジャック、爆破予告事件といった、捜査一課が対応する事件のなかでも現在進行型の事件になります。

1963年(昭和38年)に都内で発生した身代金誘拐事件にて、人質と身代金を守れなかった事が設立のきっかけと言われています。同年に策定された「刑事警察強化対策要項」に続き、1970年(昭和45年)に策定された「刑事警察刷新強化対策要項」にて、特殊事件捜査係が機動捜査隊とともに設置されました。

(参考)警察庁|平成20年警察白書

機動隊・SAT・SITの違い

それでは、機動隊・SAT・SITの違いをまとめていくよ!

組織上の編成が違う

SATは機動隊に編成された部隊であり、機動隊とSATは警備部になります。

これに対してSITは刑事部の部隊となります。

任務の範囲が違う

SATとSITは、いずれも事件が発生した際に対応する部隊です。犯人を捜索しながら人質救出を行う誘拐捜査はSITの任務となります。

これに対して機動隊は、事件発生時のみでなく、雑踏警備や災害警備、レスキュー、水難救助活動なども広く担当します。

規模が違う

SATは全国で8つの都道府県にしか設置されておらず、その総数は約300名とされています。

これに対して機動隊は、平成26年(2014年)の警察の刊行物「警備情勢を顧みて」によると、全国の都道府県警察にて約8,000名体制、管区機動隊員は約4,000名体制とされています。

SATは機動隊のなかでも限られた任務を遂行するからね

公称と通称の違い

機動隊や特殊部隊(SAT)の名称は警察の刊行物でも用いられており、公称として扱われています。

これに対してSITは、公称とまではいかないようです。

そもそも、すべての都道府県でSITと呼ばれているわけじゃないんだ

TBSドラマの公式ホームページでは、大阪府警ではSITではなくMAAT、千葉県警ではARTのように地域によって名称が異なるという豆知識が紹介されています。

SITはそもそもの語源もちょっとゆるいみたい…

SITの由来は「捜査一課特殊班」のローマ字の頭文字を取ってSIT(Sousa Ikka Tokusyuhan)であるとする豆知識も紹介されています。

いわゆるDAI語だったのか…

「シット」とか「エスアイティー」とかドラマによって呼び名が安定しないのも、そのせいかも知れないね

(参考)TBS|日曜劇場「S最後の警官」

(参考)TBS|月曜ミステリーシアター「確証 警視庁捜査3課」

似ているその他の部隊名

ほかにも機動◯◯隊、◯◯機動隊、アルファベット表記の部隊名を集めてみました。

今後も追記していきます。

機動◯◯隊、◯◯機動隊

機動捜査隊

刑事部捜査一課に編成されている部隊です。捜査車両(覆面パトカー)で管内を巡回し、発生した刑事事件の初動対応を行います。通称キソウ。

活躍する警察ドラマ:「MIU404」、「警視庁機動捜査隊216」

機動鑑識隊(班)

重要な事件の発生時に、刑事部鑑識課から現場臨場して鑑識活動を行う部隊です。ドラマ「相棒」の米沢守や益子桑栄のような活動になります。通称キカン。

交通機動隊

交通部パトカーや白バイで編成される部隊です。運転技術の高い警察官が配属されます。通称コウキタイ。

交通違反の取り締まりを行うイメージのある部隊ですが、白バイ隊は、大型二輪車という機動力を活かし、状況に応じて交通事故の現場に先行して初動対応を行ったり、手配車両を追跡したり、マラソン大会の先導を行ったりと、多くの場面で活躍しています。

公安機動捜査隊

爆発物関連のテロやNBC事案など、公安警察事件の捜査を担当する部隊です。

活躍する警察ドラマ:「CRISIS公安機動捜査隊特捜班」

機動通信隊

情報通信部に設けられている、警察の通信網を確保するための専門部隊です。災害、警衛や警護、重要事件の現場など現地に対策本部を置かなければならない事案で活躍します。

アルファベットの部隊名

SRT

SRT:特殊救助隊(Special Rescue Team)

2012年9月に警視庁に設置された部隊です。重機の操作などを要する救助救出の活動を担っています。

P-REX

P-REX:特別救助班(Police Team of Rescue Experts)

極めて高度な救助救出を行うため、複数の都道府県警察の広域緊急援助隊に設置されています。