【相棒season6】第11話「ついている女」を解説

テレビドラマ「相棒season6」の第11話を解説します。

後に花の里の2代目女将となる、月本幸子が服役中の回の前編です。

「ついている女」の概要

放送日

2008年1月16日

主な出演者

鈴木杏樹 MEGUMI 潮哲也 池田政典 工藤俊作 正城慎太郎 久世星佳 児玉貴志

相棒のレギュラー

杉下右京・亀山薫・伊丹憲一・三浦信輔・芹沢慶二・角田六郎・米沢守・中園参事官・大木・小松

脚本

古沢良太

監督

和泉聖治

「ついている女」のあらすじ

約2年前、殺人未遂の罪で杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)に逮捕された「ツイてない女」こと月本幸子(鈴木杏樹)。幸子が事件を起こすきっかけとなった悪質な金融業者は、彼女の協力によって一斉検挙となり、事実上壊滅に至りました。幸子はこの功績により、比較的短い懲役3年の判決を受け、穏やかな刑期を過ごしていました。

ある日、刑期が残り1年半となった幸子から、特命係に手紙が届きます。

手紙には、出所後の人生に希望を抱きはじめていることや、再起のきっかけをくれた特命係に感謝していることが綴られていました。

「これからは“ツイてない女”改め“ツイている女”」――そうなるはずでした。

ある日、幸子は刑務所内での健康診断での血液検査に異常が見つかり、囚人の吉井春麗(よしいしゅんれい・演:MEGUMI)とともに、医療刑務所に移送されることが決まります。

ところが移送の途中に、春麗の仲間らしき男たちから移送車を乗っ取られ、幸子は護送員の女性刑務官・戸崎美佐(久世星佳)と共に、春麗の逃亡計画に巻き込まれます。

幸子は「自分はあと1年半で出られる」と、自身を刑務所に戻すよう訴えますが、それを聞いた春麗は「自分はあと5年7カ月。青春が台無しになる」と幸子に対して露骨に嫌悪感を示し、彼女を無理やり自分の逃亡につき合わせることにします。

その頃、警視庁の捜査本部では、逃亡の4日前、吉井春麗に届いた手紙に注目が集まっていました。

手紙の差出人は春麗の父で外国マフィアのボスである周文健(しゅうぶんけん)。

手紙には今回の逃亡計画に関する記述があったため、捜査本部はさっそく、来日中の周文健を捜索します。

その一方で、杉下右京は、手紙の黒塗りがずさん過ぎることや、消印の地が周文健の出入国記録と合わないことから、春麗の父を今回の事件の首謀者とするには、おかしな点があると進言します。

さらに、乗り捨てられた刑務所の移送車に幸子の血液が残されていたため、杉下右京が米沢守に依頼して再検査を行ったところ、幸子の血液に何の異常もないことが判明します。

このことから杉下右京は、今回の事件は、吉井春麗の脱走劇に幸子が巻き込まれたのではなく、真の狙いは最初から幸子なのではないかと推理します。

「ついている女」の見どころ

月本幸子(つきもと・さちこ)とは

season4で殺人未遂罪で捕まり服役中の月本幸子が再登場します。

夫を亡くし、借金と病気で生活ができず、やむなく城代金融(実質、暴力団)の向島茂の愛人として生きていましたが、その向島こそが夫を殺害した張本人であることを知り、復讐を決行します。

その結果、殺人未遂の罪で特命係に逮捕され、服役していました。

月本幸子のツイてない話

月本幸子のツイてないエピソードをまとめています。

ツイてないエピソード内容
おみくじ運・おみくじは大吉を引いたことがない
・大抵は「凶」、よくて「小吉」
中学時代・楽しみだった修学旅行の前日に盲腸で入院
高校時代・初デートで海にいったら波にさらわれ死にかける
大学受験・受験当日、家が火事になっていた
新婚・新婚旅行から帰ってきたら空き巣に入られていた
結婚生活・夫が自殺し、未亡人となる
未亡人時代・借金を抱えた上、病気になる(向島いわく、当時の幸子は「幽霊みたいな顔をしていた」とのこと)
愛人時代・生活のために向島茂の情婦となるが、その向島こそが夫を死なせた人物だった
復讐
(season4)
・向島を銃撃してしまう
逃亡開始
(season4)
・空港に向かう途中、車が故障する
・特命係に出会い、罪を暴かれ逮捕される(幸子は感謝している)
服役中
(season6)
・刑期も残り半分というところで、春麗の逃亡計画に巻き込まれる←今ココ

月本幸子は特命係に逮捕されたことを感謝しています。その理由は以下のとおりです。

幸子がひどい目に遭わされる

月本幸子がとにかくひどい目に遭わされます。

あと一年半なのに脱走に巻き込まれる

脱走犯の春麗(しゅんれい)を演じているのはMEGUMIさん。(当時26歳)

春麗の性格は短期で粗暴であり、幸子を自分の共犯に仕立てることで、これまで刑期を真面目に過ごしてきた幸子の努力を踏みにじろうとします。

顔面にグーパンチ

逃亡中の車内で春麗に自首を促す幸子ですが、春麗から突然、顔面を一発殴打されて口内を切ってしまいます。

また、脱走計画のずさんさを指摘すると、腹を立てた春麗に髪を掴まれて引っ張られます。

真犯人から銃を突きつけられる

終盤で現れた真犯人に髪をわしづかみにされ、額に銃を突きつけられます。幸子は涙をいっぱい流しながら、うーうーと泣いて怯えています。

幸子に前科マウントを取る春麗

幸子に脱走計画のずさんさを指摘された春麗は、幸子の前科を横領や脱税であると決めつけ、自身はその上位(?)の強盗致死であるとしてマウントを取ろうとします。

しかし、本人の狙いとは裏腹に、このあたりから春麗に小物臭が漂い始めます。

幸子さんは暴力団幹部の銃殺(未遂)だからな

次話で明かされますが、春麗は、彼氏に誘われて彼氏が店員を脅したところ、その店員が持病により心臓発作を起こして亡くなり、その共犯として強盗致死の罪を負いました。

内通者は誰か

この項目は、season6第11話「ついている女」の重要な部分のネタバレを含みます。

捜査本部が入手した春麗の父の手紙は、本人が読む前に刑務所内で検閲されており、脱走を手助けようとしている部分には黒い線が引かれていました

しかし、その線が異様に細いため文字がほとんど隠れておらず、春麗の父からの手紙はすらすら読める状態でした。

そして、幸子の血液検査の結果が何者かに改ざんされていた事実から、杉下右京は、月本幸子と吉井春麗が収監されていた青梅女子刑務所内に真犯人の内通者がいると推理します。

内通者の正体は、女性刑務官の戸崎美佐(久世星佳)でした。

戸崎は脱走事件の当日、幸子たちの護送員として車に同乗していました。

予定では車両強奪犯に抵抗するフリをして車を降りるはずでしたが、そこまでの事情を共有していない春麗に殴られて気を失い、人質の代わりに途中まで車に同乗させられます。

その後、月本幸子が隙を見て戸崎を車から逃がしたことで保護され、怪我の治療のため入院することに。

一時は犯人に勇敢に立ち向かったとして賞賛されますが、病室に事情聴取に来た杉下右京に、真犯人が内通者を消しに来るとカマを掛けられたため、自分の身を守るために正体を白状します。

逃亡事件の首謀者はまさかの…

この項目は、season6第11話「ついている女」の犯人のネタバレを含みます。

幸子と春麗は、春麗の父が待つアジトに連れられるも、待っていたのは春麗の父ではなく、かつて幸子が撃った向島茂でした。

城代金融は壊滅したものの、向島をはじめとする幹部の何名かは逮捕を逃れており、向島は車椅子での生活となりながらも幸子に復讐するため、移送車を奪う計画に乗ったのでした。

次話の取り調べにおいて向島は、本心では幸子への復讐などどうでもよく「派手に祭がやりたかった」と話します。組織が壊滅して仲間が離れていく中、自棄になって事件を起こしたのでした。

続きはseason6第12話「狙われた女」

事件の真相は、season6第12話「狙われた女」です。

向島茂に資金を提供して唆した、真犯人の狙いが明らかになります。