【相棒season4】第19話「ついてない女」を解説

テレビドラマ「相棒season4」の第19話を解説します。

後に花の里の2代目女将となる、月本幸子の初登場回です

「ついてない女」の概要

放送日

2006年3月1日

主な出演者

鈴木杏樹、正城慎太郎、黒田眞澄、児玉貴志

相棒のレギュラー

杉下右京・亀山薫・宮部たまき・伊丹憲一・三浦信輔・芹沢慶二・角田六郎・米沢守

脚本

古沢良太

監督

和泉聖治

「ついてない女」のあらすじ

病気がちだった月本幸子(鈴木杏樹)は、夫の死後に借金を抱え、生きるために城代金融の向島茂(正城慎太郎)の愛人となりました。

しかしある時、その向島こそが、幸子の夫を死に追いやった張本人であることを知ってしまいます。

幸子はこれまで、人生の大事な場面では常にツキに見放されており、自分が「ついてない女」であることに嫌気が差していました。そこで、夫の命日に向島に復讐し、海外に逃亡してすべてやり直すことを計画します。

そしてついに、向島を拳銃で撃った幸子。

車で空港に向かいますが、道中で車が故障してしまいます。

そこへ通りかかった特命係に声を掛けられ、車で空港まで送ってもらうことに。

最初は「ツイてる」と喜んで車に乗った幸子ですが、特命係の二人が警察官であることを知り、さらには杉下右京にあれこれと尋ねられ居心地が悪くなって、「やっぱり新宿から成田空港行きのリムジンバスに乗る」と、早々に特命係の車を降りてしまいます。

ところが、幸子を追って同じリムジンバスに乗り込んで来た杉下右京は、鋭い観察眼で、幸子が出掛ける直前にコートが血液で汚れる不測の事態が発生したことや、その現場が男性宅であることを見抜き、男性の正体を幸子から聞き出そうとします。

果たして幸子は杉下右京の追及を逃れ、無事に日本を発つことができるのでしょうか。

何かあらすじがおかしい…

月本幸子を応援したくなる回だからね

「ついてない女」の見どころ

月本幸子(つきもと・さちこ)とは

「ついてない女」こと月本幸子(鈴木杏樹)の初登場回です。月本幸子が、城代金融の向島茂を拳銃で撃つという衝撃的なシーンで幕を開けます。

「城代金融」とは、表向きは普通の金融業者でありながら、その母体は暴力団組織であることで知られています。角田課長によれば、向島茂は「城代金融の大物」だそうです。

夫を亡くし、病気と借金を抱えて生活苦に陥った幸子でしたが、その時に声を掛けてきたのが向島でした。

生きるには向島に頼るしかなかった幸子ですが、その後、幸子の夫を殺したのは向島であると、城代金融の構成員が話しているのを聴いてしまいます。

それを機に人生をやり直す覚悟を決めた幸子は、夫の命日に、向島を拳銃で撃ったのでした。

月本幸子はseason6で再登場し、そしてseason10で二代目・花の里の女将となり、その後はseason17まで女将を務めます。

特命係との出会い

海外へ高飛びするため、車で空港に向かう幸子でしたが、エンジントラブルに見舞われ、偶然通りかかった特命係に助けられます。

しかし、キレイめな洋服にサッカーのベンチコートを羽織った幸子の不自然な服装や、パンツの裾に付いたわずかな血痕を杉下右京が見逃すはずもなく、マークされてしまいます。

月本幸子のツイてない話

月本幸子のツイてないエピソードです。

おみくじ運・おみくじは大吉を引いたことがない
・大抵は「凶」、よくて「小吉」
中学時代・楽しみだった修学旅行の前日に盲腸で入院
高校時代・初デートで海にいったら波にさらわれ死にかける
大学受験・受験当日、家が火事になっていた
新婚・新婚旅行から帰ってきたら空き巣に入られていた
結婚生活・夫が自殺し、未亡人となる
未亡人時代・借金を抱えた上、病気になる(向島いわく、当時の幸子は「幽霊みたいな顔をしていた」とのこと)
愛人時代・生活のために向島茂の情婦となるが、その向島こそが夫を死なせた人物だった
逃亡スタート・向島を銃撃して逃亡を開始
・空港に向かう途中、車が故障する
・杉下右京に目をつけられる←今ココ

月本幸子の夫とは

月本幸子の夫は、城代金融と繋がり、公文書偽造に手を染めた司法書士です。

幸子の話から、偽造身分証の手配のようなことを行っていたと考えられます。

警察の捜査が及びそうになった矢先、月本幸子の夫は切り捨てられ、自ら死を選んでしまいます。

これにより事件の証拠は失われ、城代金融を一網打尽にするはずだった警察の計画は白紙に戻ってしまったのです。

亀山薫によれば「トカゲの尻尾切り」。月本幸子の夫は組織に利用され、切り捨てられたようです。

月本幸子の夫の仕事について、捜査一課の芹沢は「司法書士」と説明しており、後に幸子は「会計士」と説明しています。(S16-16)

もうどっちでもいいか

亀山薫、不審電話をかけまくる

亀山薫は、鑑識の米沢に協力を依頼し、月本幸子が着ていた不似合いなベンチコートが、草サッカーチームのメンバー67名に配られたことを突き止めます。

メンバーリストの中にコートの持ち主、つまり被害者がいるはずです。

本来であれば、一人ずつ訪問し、本人との安否確認とコートの現物確認をして潰していくことがセオリーだと考えられますが、そんな時間はありません。

電話で確認するしかありませんが、亀山一人では、事情を説明するだけでもそれなりに時間がかかります。リムジンバスが成田空港に到着するまでには間に合いません。

そこで亀山薫は、相手が電話に出たらすぐに安否確認をして即候補から外すという超速な安否確認の方法を確立します。

つまり、こういうことです。

(プルルル・・・)

はいもしもし

あっ◯◯さん(名簿の名前)のお宅ですか?

そうです

ご本人ですか?

ええそうですよ

元気で何より!(ガチャ)

(ツーツー…)えぇ…

という、不審な電話を掛けまくります

緊急事態ですから仕方ありません

これにより候補者を、電話に出なかった者に絞ります。

MVPは芹沢慶二

特命係の動きが気になる捜査一課の3名は、鑑識の米沢に探りを入れに行きます。

すると、鑑識課で月本幸子の車の車検証を見た芹沢が、月本という苗字とその住所から、幸子の夫が亡くなった事件を思い出し、月本幸子と城代金融が繋がります

これにより、亀山薫が絞ったベンチコート所有者の候補者と、角田課長が持つ城代金融の構成員名簿を照合した結果、向島茂の名が一致します。

月本幸子の夫の死の原因

月本幸子の夫が亡くなったのは、自殺とされています。

捜一・伊丹によれば不審な点もあったそうですが、後に向島茂が再登場しており服役していないことが判明したため、少なくとも殺人罪で有罪にはならなかったようです。(S6-11)

現在、関係者が幸子の過去の事件を説明するときは「ご主人を殺害されたことに対する復讐」(S16-16:杉下右京)として説明されてされています。

実はツイている?特命係に出会って良かったこと

最初は特命係に出会ったことで、自分をツイていないと考えていた月本幸子ですが、実はものすごく幸運な出会いだったことに気がつきます。

特命係に出会って良かったこと

殺人罪が未遂になった

 →亀山のおかげで向島は一命を取り留め、罪状が「殺人未遂」になる

いずれにせよ高飛びは失敗していた

 →月本幸子の高飛びの協力者が、幸子の知らない間に現地で捕まっており、特命係が邪魔をしなくても逃亡は実現しなかった(しかもその場合、海外の警察に拘束されていた)

刑期が短くなった

 →城代金融を摘発するために警察に協力した功績が評価され、3年間という比較的短い刑期になった

月本幸子はseason6第11話「ついてる女」で、特命係の2人に刑務所から感謝の手紙を送っています。

城代金融のその後

season6第11話「ついてる女」では、その後の月本幸子の協力によって、城代金融に対する再捜査が進み、組織は事実上の壊滅状態であることがわかります。

この功績が評価され、月本幸子は懲役3年という、拳銃使用の殺人未遂罪としてはそれほど重くない判決を受けるに至っています。

しかし、城代金融の幹部の数名は逮捕を逃れており、再び月本幸子に関わろうとしてきます。