テレビドラマ「相棒season1」の第11話を解説します。
第11話「右京撃たれる 特命係15年目の真実」の概要
放送日
2002年12月18日
主な出演者
森本レオ・石橋祐・金井茂
相棒レギュラー
小野田官房長・たまき・美和子・伊丹・三浦・角田課長・米沢・内村刑事部長・中園参事官(てるお)
脚本
輿水泰弘
音楽・音楽監督
池頼広・義野裕明
「右京撃たれる 特命係15年目の真実」のあらすじ
突然、特命係が今週いっぱいで廃止されることに。
原因は、警察庁官房室長・小野田公顕(岸部一徳)が、右京さんを警察庁へ復帰させるために警視庁に手を回したからです。
小野田官房長がそのような強行な手段を取った理由は、15年前に発生した、外務省高官の公邸における人質籠城事件に遡ります。
小野田官房長と右京さんが共に対応した事件であり、右京さんが現在の特命係に左遷される原因になった、右京さんにとって忘れられない事件です。
この籠城事件では、人質1名が亡くなったものの、当の外務省高官を含む5名は無事に救出されていました。
ところが、生存者である5名のうち3名が、この一年の間に相次いで謎の死を遂げたことが判明します。
小野田官房長は、この3名の死が15年前の事件に関わっていると考え、再び右京さんの力を必要としたのでした。
右京さんに、対象の3名の写真を差し出す小野田官房長。
その時、小野田官房長の頭を、ライフルで静かに狙う男の姿がありました。
ひと筋の風が吹いた次の瞬間、ライフルの発砲音がオフィス街に響き渡ります。
その弾が貫いたのは、小野田官房長ではなく、右京さんでした。
「右京撃たれる 特命係15年目の真実」の見どころ
犯人はプロフェッショナル
犯人が逃げた後、狙撃に使われたビルの外階段において、捜査一課・伊丹さんが「薬莢(やっきょう)まできちっと拾って逃走してやがる」とぼやくシーンがあります。
どうやらライフルは、弾を撃つと、空になった薬莢が弾倉から自動で外に排出(排莢・はいきょう)されるらしく、「排出されたはずの空の薬莢をきちんと回収していっているな、犯人のヤロウは」という意味のようです。
おそらく空の薬莢が現場に落ちていれば、犯人の遺留品として重要な手がかりになったのでしょう。
犯人がライフルの扱いに慣れたプロであることを裏付けるシーンになっています。
小野田官房長がやっぱり面白い
今回、右京さんが撃たれた原因は、小野田官房長にあると言えます。
また、そもそも主人公を日の当たらない場所に追いやる原因を作ったのも小野田官房長であり、普通なら悪役として扱われてもおかしくない存在です。
しかし、単純にそうならないのが相棒であり、小野田官房長には、どうしても憎めない魅力があります。
・引き出しから音の鳴るクラッカーを取り出して、右京さんを迎える
・右京さんと話をしている最中にかかってきた卓上電話に出て、留守電音声のマネをする(本人曰く「(電話には)出なきゃ失礼でしょ」とのこと)
・相手が誰であってもまったく偉そうにしない(小野田官房長の階級は「警視監」。右京さんの「警部」の4つも上であり、内村刑事部長の「警視長」よりもさらに1つ上!)
・右京さんが撃たれたことも特命係を廃止することも、自分が原因であると隠さずに説明する
・狙撃犯の位置関係などから、真の狙いと犯人像を的確に推理する
亀山君が小野田官房長と初めて出会う
右京さんが治療を受ける病院で、小野田官房長と亀山君が初めて出会います。
後日、亀山君は改めて小野田官房長を訪ね、特命係が廃止される理由を知らないかと尋ねます。
小野田官房長は、取り繕う様子もなく「右京さんを警察庁に呼び戻し自分の手元に置くため」と説明します。
亀山君は怒りをあらわにしますが、小野田官房長は意に介しません。
そんな亀山君に小野田官房長は、異動先について希望があれば便宜を図ると言いますが、亀山君は「そういうのは生理的に受け付けない」と、やや迷いながらも誘惑を跳ねのけます。
やせ我慢であり、いつも後になって後悔すると話す亀山君ですが、その様子を見た小野田官房長は、亀山君と右京さんがうまくいっている理由が何となくわかったようです。
間違っていると思うことがあれば、たとえ不利になったとしても自分の信条を貫くところが、右京さんポイントの高いところなのでしょうね。
次回、さっそく後悔して信条を曲げてしまう亀山君を見ることができます…
15年前の事件が語られる
小野田官房長は亀山君に、15年前の事件について語ります。
15年前の事件とは、外務省条約局長であった北条の公邸において外務省の高官がホームパーティーを行っていたところ、犯人グループに占拠され、北条と4人の部下、公邸料理人の計6人を人質に立てこもった事件です。
当時、警視庁公安部参事官であった小野田公顕の下に「緊急対策特命係」が結成され、その作戦参謀に右京さんが抜擢されます。
右京さんは犯人と粘り強く交渉にあたります。ホームパーティーが行われていたこともあり、当初、人質の数はもっと多かったのですが、右京さんの交渉により上記の6人まで減らすことができました。
ところが、その最中にアメリカ国務長官の来日が決定してしまい、事件解決を急いだ小野田公顕は右京さんに、交渉を中止して突入作戦に切り替えるよう指示します。
しかし、人質を1人でも先に解放できれば隊員の突入も成功しやすくなり、それによって残された人質、そして命懸けの作戦に身を投じる隊員の安全度が増します。また、交渉にも手応えを感じていたことから、右京さんは小野田公顕の指示に猛反発します。
しかし、それによって右京さんは交渉役の任を解かれ、突入作戦は断行されました。
解任を告げられた後の右京さん、無念さのあまり泣いています。切ない…
その結果、人質1名と隊員3名の犠牲者を出してしまいます。
特に人質から犠牲者を出したことは重く、右京さんは責任を負わされ「特命係」に押しやられることとなりました。
今回は途中から15年前の捜査どころではなくなったのですが、次回はいよいよ15年前の事件の真相が明らかになります。
車列を見送るシーンの意味
犠牲となった隊員の車列を、制服を着た警察官が見送るシーンがあります。
何のシーンなのか一瞬わかりづらいのですが、ショパンの「葬送行進曲」が流れていることと、背景に映っている旗が「半旗」になっていることから、犠牲者を見送るシーンであることがわかります。