【相棒】こんな悪い奴おる?絶対に許せない犯人まとめ

テレビドラマ相棒に登場してきた犯人には、さまざまなタイプがいます。

偶発的に犯人になってしまった者もいれば、強い信念のもとで犯人になった者もいます。

犯行そのものを楽しむシリアルキラー的な人物もいました。

その中でも印象深いのは、自分より力のない者を権力や物理的な力により痛めつける、卑劣で残酷な胸糞わるい犯人たちです。

今回は、相棒に登場した歴代の犯人の中から、絶対に許せない卑劣な人物を紹介します。

この記事は、以下の話の犯人のネタバレを含みます。

・season1第12話・season4第1話

・season13第14話

・season14第4話

・season16第10話

北条晴臣(ほうじょう・はるおみ)

北条晴臣/演 長門裕之

傲慢で狡猾な、元外務省の高官です。

退官後も自身を「閣下」と呼ばせ、そう呼ばない相手とは会話はおろか目も合わせようとしません。

殺害した人数は相棒シリーズの権力者の中でもトップクラスで、その中には自ら手を下したものもあります。

登場回

・相棒season1第12話「特命係、最後の事件」(2002年12月25日)

・相棒season4第1話「閣下の城」(2005年10月12日)

脚本 輿水泰弘

北条閣下は、昭和3年(1928年)9月13日生まれ。

season1は74歳、season4は77歳となります。

北条晴臣の悪行

拳銃で2名を殺害する

season1の15年前、北条晴臣が住む外務省高官邸宅において人質籠城事件が発生し、北条晴臣を含む外務省高官5名と料理人1名が人質となり、救助のため突入した警察の部隊員3名と人質の1名である柳田が、犯人と警察の銃撃戦の中で亡くなりました。

杉下右京が特命係に左遷されるきっかけとなった事件です。

しかし、柳田と隊員1名の計2名を撃った犯人は北条でした。

突入作戦中、北条は偶然拳銃を手にし、自分の公金横領を告発しようとしていた柳田とそれを目撃した警察官をどさくさに紛れて射殺したのです。

北条の犯行は他の人質が目撃していますが、北条と共に横領で甘い汁を吸っていた連中であるため誰も真実を語らず、柳田と隊員は、銃撃戦の末に亡くなったものとして扱われました。

殺人教唆でさらに3名を殺害する

事件から15年後、差出人を柳田とする不審な手紙が届いたことで疑心暗鬼となった北条は、柳田の殺害現場に居合わせた元部下3名の殺害を、腹心の鈴原(当時の料理人)に命じて実行させます。

おそらくいずれ鈴原も手にかけていたはずですが、それは真犯人によって為されました。

柳田の娘を犬よばわりする

柳田の娘である川端蘭子(かわばた・らんこ/池脇千鶴)は、父の死の真相を探るために法条に取り入り、生活費や学費のすべての面倒を見てもらいながら、法条の屋敷に住みます。

蘭子にも問題がまったくないとは言えませんが、普通の女子大生が元外務省高官を相手に正攻法で挑んで勝てるはずがありませんし、そもそも蘭子に苦難の人生を歩ませたのは北条であるため自業自得です。

それにもかかわらず、蘭子に騙されていたことを知った北条は激怒し、蘭子を「頭のおかしい女」や「犬っころ」と呼んで侮辱した上、蘭子が持っていた証拠品を奪い取ります。

保釈金で自由を手に入れるもまた1名殺害する

柳田らの殺害を認めた北条は、保釈を条件に刑事被告人として法廷に立つことを受け入れます。

ところが、5億円の保釈金を早々に支払い自由を手に入れた北条は、法廷では事件のことはよく覚えていないと話します。

豪華な別荘で悠々自適に暮らしながら「推定無罪」のままで天寿をまっとうしようとしていました。

しかし、若い秘書の郷内繭子(さとうち・まゆこ/高橋かおり)に魅せられ、彼女を慕う従兄弟の郷内嵩人(さとうち・たかひと/高杉瑞穂)を殺害する計画を立てます。

計画は、最初はわざと特命係に繭子を捕まえさせ、後から北条が真犯人として名乗り出ることで、特命係に一泡吹かせるというものでした。

結果、特命係に殺人の証拠が見つかってしまい、北条の計画は失敗となります。

一泡吹かせることができなかった上、北条の保釈は取り消され、悠々自適な生活から拘置所に戻されます。生きている間にそこを出ることはもう叶いません。

新宮蔵人・孝子(しんぐうくろうど・たかこ)

新宮蔵人/演 鈴木綜馬

新宮孝子/演 栗田よう子

「新宮ヴァイオリン工房」の社長と社長夫人です。

2人の名前は思い出せなくても、何をやったかを聞けば記憶に残っている人は多いと思います。

本編はこの新宮夫妻への復讐劇となりますが、復讐の原因となった過去の事件があまりにひどいので、犯人として紹介します。

登場回

・season13第14話「アザミ」(2015年2月4日)

脚本 太田愛

新宮夫妻の悪行

両親のヴァイオリン工房を奪う

双子の姉妹である奏(かなで/松本来夢)と響(ひびき/松本来夢)の両親は、奏と響が10歳の時に事故で亡くなり、父の弟夫婦である新宮蔵人と孝子が2人を引き取ります。

しかし、新宮夫妻のねらいは、兄夫婦が経営していた伝統あるヴァイオリン工房の経営を奪うことにありました。

そのため、姉妹をを別荘にカギをかけて閉じ込め、両親の葬儀にも出席させませんでした。すべては、自分たちこそが工房の後継者であることを関係者に印象づけるための行動です。

演奏会で恥をかかされた逆恨みで奏(かなで)を殺害する

ある日、世界的ヴァイオリニストのクラウス・ローゼ(マンフレッド・ヴォーダルツ)が来日し、リサイタルの後、新宮家の別荘にて、奏と響の両親を追悼するための独奏を招待客の前で披露します。

クラウス・ローゼの演奏を聴き終えた新宮夫妻は、「リサイタルの時と寸分違わぬ見事な音」とクラウスを褒め讃えます。

しかし、奏がクラウスの元に駆けよると、「リサイタルで使用したヴァイオリンとは異なる」と異を唱えます。

クラウス・ローゼは奏の言葉に感心し、彼の助手に手違いがあって予備のヴァイオリンで演奏したことを告白し、「新宮工房にはこんなに立派な後継者がいるので安心だ」と聴衆の前で奏を褒めます。

この時、音の違いに気がついたのは実は響でしたが、それを知らない新宮夫妻は、関係者の前で恥をかかせた奏を激しく憎むと同時に、成長すればヴァイオリン工房の後継者になりかねない天才的な耳の良さも気に入りませんでした。

そのような身勝手な理由で、新宮夫妻はカップにスズメバチを仕込んだティーセットを奏の部屋に運び、部屋に閉じ込めた彼女を襲わせるという極めて残酷な方法で、10歳の少女の命を奪います。

「開けて」と泣き叫ぶ声が聴こえなくなるまでドアの外で待つ新宮夫妻の胸糞シーンが印象的です。

しかもその前日には、スズメバチが好む甘い香りの香水を、奏と響の亡くなった母の形見だと偽って渡しており、無垢な子どもを騙しています。

身代わりになった響(ひびき)を侮辱する

スズメバチによって亡くなったのは、奏の身の危険を察知して身代わりになった響でした。

生き残った奏は、自分が奏であると名乗り出れば始末されると思い、響として静かに生きていくことにします。

しかし、新宮工房の伝統ある音色を守ろうせず、新宮のブランドを金儲けの道具として雑に扱う新宮夫妻の経営手法に、工房の職人の不満が溜まっていました。

そのような時、亡くなった響(新宮夫妻は奏と思っている)に向けた新宮孝子の「出しゃばった真似をしたら神様の罰がくだる」という発言により、ついに我慢の限界に達した奏は、孝子の殺害計画を立てます。

譜久村聖太郎(ふくむら・せいたろう)

譜久村聖太郎/演 織本順吉

譜久村聖太郎は、戦後70年間にわたり日本の黒幕と呼ばれてきた男です。

政財界から裏社会まで広い繋がりを持ち、フィクサーと呼ばれていました。

90歳となる現在も、譜久村の権力は健在です。

20年前、捜査二課にいた杉下右京もまた、当時の証券取引法違反による摘発を狙いましたが、譜久村を摘発するための証人として追っていた証券マンの柳本は自殺し、真実は闇に葬られてしまいます。

柳本には当時12歳の娘がおり、成長した彼女が事件の発端となります。

登場回

・season14第4話「ファンタスマゴリ」(2015年11月4日)

脚本 真野勝成

譜久村聖太郎の悪行

譜久村聖太郎が捕まらない理由

違法な手段で勢力を拡大し続ける譜久村に対し、警察も検察も手出しができなかった理由は、譜久村の真実を知る者が自殺などでいなくなってしまうからです。

譜久村は現在もなお、各界に絶大な影響力を持つため、接触しただけで上から圧力がかかります。

柳本愛とは

杉下右京が捜査二課時代に譜久村を追っていた際に亡くなった証券マンの柳本には、当時12歳になる娘・愛がいました。

父の死後、身寄りのなくなった柳本愛に譜久村は経済的援助を行っており、現在の就職先も譜久村が名誉顧問を務める財団法人になります。

ある日、柳本愛(伊藤久美子)と一週間前から連絡がつかなくなったことを、杉下右京はかつて共に譜久村を追っていた元刑事の片野坂(岩松了)から聞かされます。

譜久村聖太郎と柳本愛の関係

柳本愛が姿を消した状況を調べるうちに、杉下右京は譜久村が関与している疑いを強めます。

しかし、譜久村を直接調べることは容易ではありません。そこで杉下右京は、彼女の旧友から話を聞くとともに彼女の最近の行動を調べます。

その結果、彼女が高校2年生の夏休みに譜久村の別荘に滞在し、その頃から様子がおかしくなったことと、最近、堕胎手術を受けたことが判明します。

その結果から浮かび上がった事実は、現在90歳の譜久村と32歳の柳本愛の、16年にわたる支配の関係でした。

柳本愛が見つかる

片野坂が譜久村に仕掛けた罠により、脱税の罪で譜久村邸の捜索令状が発行されます。

検察庁と警視庁で捜索が行われる中、柳本愛の匂いを嗅がせた警察犬が庭のバラ園で吠え始めます。

バラ園の土中から見つかったのは、柳本愛の遺体でした。

譜久村聖太郎の言い分

庭から柳本愛が発見され、譜久村は柳本愛を殺害した理由を話し始めます。

20年前、捜査二課に危うく捕捉されそうになった譜久村は、自分の生命力に衰えを感じ始めていました。

しかしそのおよそ4年後、16歳に成長した柳本愛を別荘で見た時の気持ちを、譜久村は「恋におちた」「自分の生命力が蘇るのを感じた」と表現します。

杉下右京は、獣以下の醜い執念で彼女を支配し続けた上に命まで奪ったのだと責めますが、譜久村は、原因は柳本愛が譜久村との子を独断で堕胎したからだと言います。

柳本愛が殺害された当日、彼女が堕胎手術を受けた情報をどこからか入手した譜久村は、彼女を拉致させ、譜久村邸で子どもの父親について尋ねます。

譜久村はおそらく高齢の自分に子どもを作ることは適わないと考えており、最初は彼女が他の男性と関係をもったことを疑っていました。

しかし柳本愛は譜久村と関係を持ってから人を愛する人生など諦めており、父を死に追いやった譜久村のことを恨みながら、逃れられない支配に耐えてきました。

柳本愛は譜久村に、子どもの父親は譜久村であると伝えます。

そして堕胎した理由は、譜久村の血をこの世に残したくなかったからだと伝えます。

その言葉に激昂した譜久村は、刀を抜き、彼女を一突きにします。

ようやく譜久村に手が届いたのに・・・

殺人の罪で逮捕された譜久村は、これから悪行の数々を暴かれ、屈辱的な後悔の日々を送るはずでした。

ところが取り調べの直前に譜久村は体調を崩し、病院でそのまま息を引き取ります。

せっかく手が届いたのに償わせることができないという、無念な結末となりました。

有馬武人(ありま・たけと)と安田英治(やすだ・えいじ)

有馬武人/演 鶴見辰吾

安田英治/演 梶原善

内閣情報調査室のナンバー2、内閣審議官の有馬武人と、有馬のために行動する内閣情報調査室のケースオフィサーの安田英治です。

登場回

・season16第10話「サクラ」(2018年1月1日)

脚本 太田愛

有馬武人と安田英治の悪行

男子高校生3名を脅迫し軟禁する

2017年バグハンターコンテストで優勝した上条喬樹(かみじょうたかき/伊藤健太郎)、椎名智弘(しいなともひろ/小原唯和)、富樫航太(とがしこうた/山下真人)の3人は、ある日、好奇心で警視庁のサーバーに侵入し、そのことで内閣情報調査室の安田に人材として目をつけられます。

それぞれの少年の前に現れた安田は、「君たちが見たものは特定秘密にあたる」「10年以下および1,000万円以下の罰金刑にあたる」「君たちの代わりに家族が借金を負うことになる」と話して1人ずつ脅した後、「1年間働けば罪をチャラにする」と言って彼らを唆し、家出をさせてアジトで軟禁します。

安田は、彼らに「ある仕事」に従事させるため、脅して言いなりにし、家族から引き離したのです。

政治家や官僚の秘密を探らせる

安田から3人に与えられた仕事は、政治家や官僚といった要人のPCやスマホをハッキングするというものです。

その目的は、要人のスキャンダラスな情報を入手しそれをネタに脅して、思いどおりに操ることにありました。

3人は食事と寝る時間以外、安田の部下に見張られながらハッキングをさせられます。

半年が経過したころ、ついにハッキングした対象者の一人が自殺し、椎名智弘の精神が限界に達します。

智弘を守るため、上条喬樹は自殺した警察官から奪った拳銃で安田を撃ち、その間に富樫航太は智弘を連れてアジトを脱出しました。

黒幕は有馬武人

安田を使い、政治家や官僚を操ろうとする黒幕は、内閣情報調査室ナンバー2の有馬武人審議官でした。

有馬の目的は、国防の強化です。

国民に相互監視を義務づけ、情報収集体制を強化した国づくりを目指しています。

有馬や有馬の考えを支持する安田たちは、そのために邪魔な人材や思い通りに動かしたい人材の弱みを握って操り、有馬の考えに同調する人材を重要なポストにつけてきたのです。

有馬はこの大義を達成するためなら、少年から自由を奪いハッキングを強要することも「些末なこと」と考えています。

上条喬樹を悪人として抹殺しようとする

有馬は自分を狙っている上条喬樹を合法的に抹殺するため、上条喬樹が凶悪犯である事実をねつ造します。

まず、警視庁の衣笠副総監に連絡を取り、まだ捜査線に上がっていない上条喬樹の情報を提供することで、「拳銃を奪って一般市民を撃った凶悪犯」として警視庁に捜索させるよう仕向けます。ちなみに一般市民とは、安田のことです。

また、世間に対して素行不良者であると印象操作するため、広報課長の社美彌子を脅し、上条喬樹に関わる嘘の報道発表をさせようとします。

そして、上条喬樹が自身への復讐のために年末の御用納めの会場にやって来ると考えた有馬は、上条を警視庁に合法的に射殺させるため、上条喬樹による内閣情報調査室トップへの犯行予告をねつ造し、会場に厳重な警備体制を敷かせます。

上条喬樹を煽る有馬

会場に現れた上条喬樹は有馬に拳銃を向けますが、杉下右京の説得に耳を傾け、ついに拳銃を下ろします。

しかしそれでは困る有馬は、上条喬樹に自ら近づき「腰抜け」と煽ります。

自身に発砲させれば、上条喬樹は会場を警護している警察官に射殺してもらうことができますし、仮にこの場で死亡しなくても殺人未遂罪で逮捕してもらうことで社会から抹殺できます。

有馬自身は防弾衣を事前に着込んでいるため、撃たれても致命傷にならないと踏んでの行動でした。

上条喬樹が捕まる

有馬の態度に抑えていた怒りを止められなくなった上条喬樹は、再び有馬に拳銃を向けてしまいますが、間一髪のところで冠城亘が制止します。

しかし、上条喬樹は警視庁に逮捕されます。

有馬に銃を向けたこと以外にも、アジトから逃げるために、窃盗、銃刀法違反、傷害など多くの罪を犯してきたからです。

この話の数少ない救いは、上条喬樹が死ななかったことと、彼の家族や仲間の2人が上条喬樹を待っていることです。

また、有馬武人のその後は描かれていませんが、有馬に脅されていた政治家の一人が捜査に協力したことから、おそらく有馬や安田は失脚したものと考えられます。

相棒の中の内閣情報調査室は、この事件の後も何度か登場しますが、そこに有馬武人らの姿はありません。