テレビドラマ「相棒season14」の第15話を解説します。
「警察嫌い」の概要
放送日
2016年2月10日
主な出演者
浅利陽介、上杉祥三、中山峻、下山葵、大澤あけみ
相棒のレギュラー
伊丹、芹沢、角田課長、米沢、内村部長、中園参事官、幸子、日下部事務次官
脚本
輿水泰弘
監督
橋本一
「警察嫌い」のあらすじ
マンションの一室で、女子大生の色川真子(澄音)が殺害される事件が発生します。
彼女は、暴力団組長・伊縫剛(上杉祥三)とその愛人の間に生まれた娘でした。
暇を持て余していた冠城亘(反町隆史)はその話を角田課長(山西惇)から聞き、「組長の真摯な願いを一刻も早く叶えてあげるため」と言って、杉下右京(水谷豊)を捜査に誘います。
二人で被害現場の室内をしていると、向かいのマンションからこちらを見つめる男がいました。
その男は、青木年男(浅利陽介)。
青木は特命係に事件の一部始終や犯人の顔を目撃したと話す一方で、捜査に協力する義務はないと言って協力を拒みます。
その頃、捜査一課は、被害者の人間関係から容疑者3名を取り調べていました。しかし、それぞれの担当捜査員が厳しい取り調べをしてしまい、全員が犯行を認めてしまいます。
伊丹(川原和久)と芹沢(山中崇史)は青木に容疑者の面通し(顔の確認)を依頼するため、特命係とともに青木の職場を訪問して頭を下げます。しかし、青木は協力を頑なに拒みます。
その様子を見た冠城は「犯人の顔を当てる自信がないのでは」と煽ります。すると青木は、犯行を目撃しただけではなく、何と犯行状況のビデオ撮影もしていると言い出します。
この話を聞いて、捜査一課の二人は、盗撮の疑いで捜索差押許可状を請求し、青木からビデオを押収しようと考えます。
ところが翌日、なぜか、容疑者3名が全員が犯行を自供していることがスクープされてしまい、裁判官も令状の発行を許可しません。
一体、誰が何のためにこのようなリークをしたのか、そして、警察嫌いの青木年男をどうすれば協力させられるのかが、今回の事件を解決するカギとなります。
警察嫌いの青木年男
青木年男が初登場
青木年男が初登場します。
この時の職業は役所で働く公務員です。
向かいのマンションの現場を確認していた特命係を見つけ、わざと不自然な動きをし、特命係が訪ねてくるよう誘導します。
警察に非協力的
特命係と初めて対面した時の青木は、協力的な素振りで二人を部屋に招き入れます。
しかし、協力的だったのは最初だけであり、犯行を目撃したからと言って警察に通報する義務はないと言い出します。
角田課長は、青木の話を聞いて「理由もなく国家権力を敵視してて反体制を気取っている輩」と分析しますが、青木の場合はどうやら警察を困らせて楽しんでいるようです。
ついに杉下右京も、青木年男について「意地でも一泡吹かせたい」と話します。
警察嫌いの理由は父親?
青木の父・青木綱一郎は警察官ですが、そのことを尋ねると、青木年男は機嫌が悪くなります。
杉下右京が父親について青木に尋ねると(もともと怒っていたのですが)「他人のプライベートにずかずか踏み込んでくるんじゃねえよ、このクズ野郎が」と激怒させてしまい、警察嫌いの理由はわかりませんでした。
盗撮犯の言葉とは思えませんね…
冠城亘が杉下右京を苛立たせる
この回は、冠城亘が調子にのっておかしな行動を取り、杉下右京を何度も苛立たせています。
遊び感覚で捜査をしたがる冠城亘
暇を持て余し、捜査がしたくてたまらない様子の冠城亘ですが、杉下右京は「そのような浮ついた気持ちで事件捜査に取り組むと、いつか手痛いしっぺ返しをくらうことになる」と注意します。
冠城亘が幸子を食事に誘って微妙な空気にする
杉下右京と冠城亘が花の里で食事中、冠城が月本幸子(鈴木杏樹)をややしつこく食事に誘い、微妙な空気にします。
杉下右京の捜査が見たかった
青木に対する令状発行が行われなかった原因は、冠城亘が裁判官に直談判をして阻止したからでした。
冠城からこのことを聞かされた杉下右京は、「正気ですか?」と尋ね返します。
冠城がこのような暴挙に出た理由は、捜査一課が証拠のビデオを押収するために青木宅を令状で捜索しようとしていることが気に入らなかったことと、杉下右京なら王道の推理で事件を解決してくれると考えたことにありました。
青木年男を「一泡吹かせたい」と話す杉下右京が、どのようにして彼を協力させるのかが見たくて、捜査一課の動きを止めたのです。
ストーリー中で説明はされていませんが、状況からして捜査情報を報道機関にリークしたのも冠城亘です。裁判官に対する直談判の材料とするため、違法な取り調べが行われている印象を世間に与えるために行ったものと考えられます。
青木は何の罪もない一般市民なの?
青木年男ののぞき行為は軽犯罪法違反にあたる可能性があります。しかも盗撮が今回だけとは限りませんから、青木は青木としてきちんと調べたほうがいいと私は思います。
ここでもし、青木のカメラやPCを押収して何らかの犯罪が発覚していたら、青木はここで退場だったのか…
役所も退職しなければならなくなっていたかも知れないよね
青木君は、悪いことをしても大して咎められない「運」があるんですよね
ついに杉下右京を怒らせる
どうしても杉下右京に捜査してほしい冠城亘は「証拠ビデオ押収のチャンスを潰した以上、その埋め合わせをしなければなりませんよね」と、自分のやった行為の責任を杉下右京に負わせるような発言をします。
しかし、杉下右京は「自分で蒔いた種は自分でケリをつけたらいかがですか」と冷たく突き放します。
ついでに角田課長も怒らせる
杉下右京に突き放された冠城亘がとった行動は、被害者の父である伊縫組長に青木年男の情報を流し、組長を青木に接触させて青木をビビらせようとするものでした。
しかし、それでも青木年男の意思は固く、協力は得られません。
その後、伊縫から角田課長にこの情報が入ってしまい、角田課長は特命係の部屋で冠城亘に激怒します。
組織犯罪対策課の角田課長は、伊縫のようなヤクザと馴れ合わぬよう毅然とした態度を取ってきました。しかし、そこに冠城亘が割り込んできて、警察が伊縫に借りを作る行動を勝手に行ったことからブチ切れているのです。
打っても響かない冠城亘に怒りが収まらない角田課長は、杉下右京に対しても、早く事件を解決するよう怒鳴りつけます。
角田課長が特命係の部屋を出ていった後、右京さんが唇を噛んで冠城君を睨みつけています
杉下右京が本気出す
角田課長を怒らせたこの件で、杉下右京がついに青木年男を本気で落としにいきます。
この項目では、この事件の核心についてのネタバレを含みます
青木の勘違いを誘発する
杉下右京は、まず「ワラにもすがる想い」と青木に連絡を取り、青木をレストランに誘いだします。
そうやってお願いすれば、警察を困らせて気分を良くした青木が、また期待させて落とすために話に乗ってくるであろうことを逆手にとったんだね
次に、青木に犯人の顔写真を確認させるために、テーブルに3人の写真を並べます。
青木が見ようとしないため、「全員、被害者の女性と肉体関係をもっています」と嘘をついて青木の興味をひきます。
女子大生に関心があってのぞいていたんだから、これは引っかかるね
案の定、杉下右京の言葉につられて、青木は写真を見てしまいます。
写真は、小松、大木、角田課長のものでした。
警察がまだ犯人にすらたどり着いていないと知り、満面の笑みでレストランを出ていく青木ですが、既に杉下右京の罠にはまっていました。
青木、激怒する
意気揚々とレストランのテラス席を抜けて帰る青木ですが、テラスの客は、実はすべて私服警官でした。
そして、連携プレーにより3名の容疑者が青木の視界に順番に入るようにし、屋外における「面通し」を実現させたのです。
案の定、青木が真犯人に反応してしまい、事件は解決。ここから、青木へのネタばらしが始まります。
テッテレ~♪
警察に騙されたことを知った青木は激怒しますが、杉下右京はまったく気にしません。
しかも青木に対し、この先、青木が犯罪に出くわさないことが被害者のためだと皮肉たっぷりに言い、杉下右京に完敗した青木は言葉を失います。
最後は、証拠の映像を素直(?)に提出し、事件は無事に解決します。
警察を困らせたいがために、証拠隠滅にあたる行為しようとしていましたね
それが罪になるって知らなかったみたいだね
捜査協力に義務がないことを勉強するのは良いと思うけど、法律ってそれだけじゃないもんな
生兵法で警察に挑むのはあぶない
その他の動き
日下部「楽しそうだな…」
特命係や幸子の話をする冠城亘に対し、日下部事務次官が「楽しそうだな。よほど充実した日々を過ごしているみたいだな」と声をかけますが、その目は笑っていません。
法務省に戻って来いという日下部の命令をきかず好き勝手にやっている冠城亘に、思うところがあるようです。
大木と小松がしゃべる
今回は、角田課長に接触してきた伊縫について、特命係に説明してくれます。
大木:伊縫組組長、伊縫剛。広域暴力団「銀龍会」の若頭ですよ
小松:伊縫組っていうのは直系の中でも、武闘派集団として名を馳せてます