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本記事は、season13の最終話で明かされる、甲斐享の正体に関する考察記事になります。
ストーリーは急展開でしたが、最終話で判明した事実や、父である甲斐峯秋の証言を一つずつ整理すると、甲斐享の想いが少しずつ見えてきます。
甲斐享っていつからそうだったの?
甲斐享の正体
甲斐享は、杉下右京の相棒でありながら、その一方で、悪人に重傷を負わせて世間を騒がせる連続傷害事件の犯人「ダークナイト」としての裏の顔を持っていました。
「ダークナイト」としての犯行は2013年8月から
ダークナイトによる犯行日は、ストーリー中で詳細に明かされています。
まとめると、以下の5件になります。
| 発生日 | 被害者 | 職業 | 被害程度 |
|---|---|---|---|
| 2013年8月26日(月) | カトウミノル | 危険ドラッグを繁華街の店舗に卸していた元暴力団員 | 不明(鼻血が出ている) |
| 2013年12月1日(日) | オカダハルヒト | 闇金業者のボス | 不明(鼻血が出ている) |
| 2014年5月12日(月) | ヤグチリキヤ | 家出少女に売春をさせていた暴力団員 | 肋骨3本骨折、前歯2本欠損 |
| 2014年10月24日(金) | モトムラマサヨシ | 暴力団のフロント企業の社長 | 不明(鼻血が出ている) |
| 2015年3月4日(水) | 深山育洋 | 暴走族ホワイトタイガーの元メンバー | 鼻骨骨折 |
ダークナイトとしての活動開始は特命係に配属された「後」
甲斐享が特命係に配属されたのは、2012年9~10月頃です。
このことから、甲斐享がダークナイトとして活動を始めた時期は特命係に配属された後であることがわかります。
先ほどの犯行一覧表を『相棒』のseasonと重ねると、甲斐享が相棒となったseason11の間にダークナイトとしての活動はありません。season12が始まる前、劇場版Ⅲの約2か月後から活動が始まっています。

一応、甲斐享が特命係に配属された時期も確認しておこう!
甲斐享が特命係に配属された時期については、season11の初回で、中根警察署の刑事課に配属された時期が2012年9月であることがストーリー中で明らかになっていることや、このことを知人に報告に行った先の香港で杉下右京と出会い、その後まもなく特命係に異動になったこととから推測できます。
ちなみに香港から帰国した杉下右京と甲斐享は、2012年9月10日夜に日本の捜査関係者のマンションで偶然再会しています。したがって、甲斐享が特命係に配属されたのはこの日よりも後となりますが、近い時期といえるでしょう。

それなら甲斐享は、杉下右京に会ってからダークナイトに目覚めたわけ?

ううん、ダークナイトに目覚めるきっかけは、もっと前にあるよ!
「初犯」は杉下右京に出会う前だった
しかし、実は上記の5件の前に、甲斐享がダークナイトを始めるきっかけとなった事件がありました。
その事件とは、薬物中毒者の浜中忠弥(はまなか・ちゅうや)が発狂し、甲斐享の親友・梶祐一郎の妹を無差別に殺害した痛ましい事件です。
しかし、脱法ドラッグによる心神喪失状態にあったとし、逮捕後すぐに釈放され、法で裁かれることはありませんでした。
怒りに震える嘆く親友に何もしてやれない甲斐享は、その約1か月後、浜中を襲い怪我を負わせます。
これが甲斐享が初めて私的制裁を加えた事件となりました。
時期について作中では明らかにされていませんが、梶の妹の3回忌の時期などから逆算すると2012年4月頃であることがわかります。

この「初犯」だけは杉下右京に出会うより「前」の犯行になるんだ

なるほど。じゃあ、特命係に入って「再開」したわけだ!
season13の最終話で、甲斐享は梶景子の3回忌に出席し、その足で、笛吹悦子の病室に見舞いに行きます。
そして、見舞いに来た杉下右京と3人で「5か月ぶりにダークナイト出現」の掲示板のスレッドを見ます。
このことから、梶景子の3回忌が行われた日は、深山育洋が亡くなった後から偽ダークナイトが現れるまでの、2015年3月6日~3月8日の間であると言えます。
3月8日の夜、ダークナイトの模倣犯・種村によって辻堂議員が殺害されます。この日を境にダークナイトの評判も変わるため、先ほどのスレッドはこれ以前のものになると考えられます。
このことから梶祐一郎の妹・梶景子が亡くなった時期はおおむね2012年3月頃であると推測できます。
この「初犯」の時期については作中で明らかになっていないため、時期を特定した根拠も補足します。
ストーリー中で明らかになっているのは、浜中忠弥は犯行後にすぐに検挙されたものの、脱法ドラッグによる心神喪失の状態でした。そのため、釈放されてから1か月後に甲斐享が私的に制裁を加えたとされています。
また、被害者が眠る霊安室のシーンにおいて、すでに浜中忠弥が釈放されることが梶祐一郎に伝えられていることもわかります。したがって、浜中の釈放時期は景子が亡くなった時期とあまり変わらないことが推察できます。
梶祐一郎は、浜中忠弥が釈放されることを担当刑事から聞いたと甲斐享に話しています。おそらく犯行後、浜中はすぐに逮捕されたのでしょうが、その受け答えなどから起訴前の精神鑑定が行われ、早々に心神喪失と鑑定されて起訴を見送られたという流れであったと考えられます。
このことから、甲斐享による最初の事件(浜中忠弥への傷害事件)は2012年4月頃であると推察できます。
甲斐享の犯行歴のまとめ
ここまでの話をまとめて、上記の「初犯」と甲斐享の状況を重ねると以下のようになります。
| 発生日 | 甲斐享の状況 | 甲斐享の行動 |
|---|---|---|
| 2012年4月頃 | 中根警察署 (交番勤務) | 浜中忠弥を襲撃 額や鼻から血が流れる程度には痛めつけている |
| 2012年9月 ~10月頃 | 【season11】 | 香港で杉下右京と甲斐享が出会い、甲斐享は特命係へ |
| 2013年6月17日頃 | 【劇場版Ⅲ】 | 杉下右京とともに民兵が活動する島へ捜査に赴く |
| 2013年8月26日 | ドラマのオフシーズン | ダークナイトを再開 カトウミノルを襲撃 |
| 2013年12月1日 | 【season12】 | オカダハルヒトを襲撃 |
| 2014年5月12日 | ドラマのオフシーズン | ヤグチリキヤを襲撃 |
| 2014年10月24日 | 【season13】 | モトムラマサヨシを襲撃(第3話「許されざる者」の捜査中) |
| 2015年3月4日 | 【season13】 | 深山育洋を襲撃 |
罪状には上記に、種村和真への逃走幇助が加わります。
甲斐享はなぜそうなったのか
甲斐享は「初犯」については親友に代わって復讐することで、怒りに任せた報復がどれほど愚かな行為であるかを親友に教えたかったといいます。
しかし、そこからダークナイトとして犯行を再び行うようになった理由については、甲斐享のなかでも整理がついていないようです。
ここでは、作中で触れられている動機も含め、なぜ甲斐享がダークナイトとなってしまったのかを考察します。
成功体験があった
特命係に入る前、法で裁けない浜中忠弥を暴力で制裁することに成功した経験が、最大の転機といえるでしょう。
捜査活動をよく知る自分であれば警察にバレずにやれること、そして何より、被害者の無念を晴らせたこと(親友に喜んでもらえたこと)が、甲斐享の中に成功体験として刻まれたはずです。
同じ手口で犯行を再開していることからも、この事件がなければダークナイトがそもそも誕生することはなかったはずです。
強すぎる正義感と優しさ
甲斐享は、杉下右京がただ一人自らスカウトした相棒です。
理由は、未熟な部分はありつつも人間性として警察官として大切なものを甲斐享が持ち合わせているからでした。
このことは、甲斐峯秋(石坂浩二)が甲斐享を否定するたびに、杉下右京が何度も口にしていることです。(S11-6、11-最終など)甲斐享の正義感と弱者に対する優しさのことを指しているのだと思います。
法で裁けない浜中を親友のために制裁したことは、まさしく甲斐享の良いところが悪い方向に出てしまった結果といえるでしょう。
世間の反応が嬉しかった
個人的な正義感でやったことがネットの世界でヒーローとして話題となり、それが快感でやめられなくなった可能性もゼロではないようです。大河内監察官(神保悟志)からそう尋ねられた時、甲斐享はこれを否定せず、「ダークナイトとしての世間からの反応は心地がよかった」「でもよくわからない」と正直な胸の内を明かします。
笛吹悦子の病室で3人で掲示板を見た時、杉下右京は「おおむね7割がダークナイトに賛同している」と話しています。
これがすべてではないものの、ここまでエスカレートしたのには、少なからず世間の好意的な反応も影響したと考えられます。
杉下右京によりコンプレックスが刺激された
大河内監察官による取り調べのなかで、甲斐享は「時々、自分がダークナイトだと叫びたい衝動を感じることがあった」とも話します。
父・甲斐峯秋が推測する甲斐享の犯行動機としては、意訳すると絶対に敵わない相手である杉下右京を裏で出し抜くことで、心のバランスを保っていたのではないかというものです。
甲斐享の「初犯」は杉下右京と知り合う前ですが、2回目以降、犯行を再開した時期は特命係に入った後になります。
犯行の再開時期と、甲斐享のコンプレックスだらけのこれまでの言動を考えれば、こちらも納得のいく理由です。
ただしそうすると、甲斐峯秋にも問題がありそうです。「東大をでなければ人間ではない」と言い、優秀な兄ばかり気にかけていた(少なくとも甲斐享はそう思っていた)ことが、少なからず甲斐享を歪めているはずだからです。
甲斐享の動機のまとめ
甲斐享の犯行には、はっきり「コレだ」という1つの理由があったわけではありません。
・法で裁けない相手を、暴力で制裁した成功体験があったこと
・杉下右京(しかも東大卒)との力の差に打ちのめされたこと
・再開したら世間から称賛を浴び、嬉しい気持ちがあったこと
こうした要素が少しずつ作用して、今回の結末に至ったのだと考えられます。
甲斐享の正体を知ってから見直すと切ないシーン
「民兵」に否定的な甲斐享
ダークナイト再開の約2か月前となる2013年6月、杉下右京と甲斐享は自衛隊OBで組織された「民兵」の島での捜査活動を命じられます(劇場版Ⅲ)。
この時の甲斐享は、もう自衛隊ではないのに自らの理念で国を守ろうとする神室司(伊原剛志)たち民兵のことが理解できず、高野志摩子(釈由美子)にその胸の内を明かしています。

カイト君は理解できるやろって感じだよなあ
自らの理念で犯罪者を制裁してるんだから…

そしてこの2か月後にダークナイトを再開してるんだよね
理解できないって本当に思ったのなら、その気持ちを大切にしてほしかったね
「右京さんの友達」にワトソンと呼ばれるが…
2014年1月、ダークナイトを再開した後のseason12第13話「右京さんの友達」では、毒島幸一(尾美としのり)により、甲斐享はシャーロック・ホームズ(杉下右京)の助手であるワトソンに例えられます。
ただし、ワトソンはただの助手ではなく頼れる相棒であり、ワトソンがいなければシャーロック・ホームズは立ち行かないとも毒島は説明します。
それを聞いた甲斐享の反応は「…へえ」のみで非常に微妙。表情の変化は読み取れません。
実は心の中で喜んでいる可能性もありますし、単に毒島の言葉に何と返していいのかわからなかったようにも見えます。
しかしダークナイトを再開していると知ってからこのシーンを見直すと、毒島の言葉を素直に喜べていないようにも見えます。

このひと月前に3件目の犯行をやってるからね…

杉下右京の相棒に自分はふさわしくないと思っているようにも見えるよね
ダークナイトの設定がこの時決まっていたかどうかはわからないけど……

ワトソンと呼ばれてもダークナイトを辞めるチャンスにはならなかったんだなあ…
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