【相棒season13】第1話「ファントム・アサシン」のあらすじと見どころを解説

テレビドラマ「相棒season13」の第1話を解説します。

ファントム・アサシンとは、幻(phantom)の暗殺者(assassin)という意味です。この事件の犯人を表しています。

第1話「ファントム・アサシン」の概要

放送日

2014年10月15日

主な出演者

仲間由紀恵 羽場裕一 松尾貴史 高杉亘 五代高之 大石継太 和田聰宏 ユーリー・B・ブラーフ

相棒のレギュラー

幸子 笛吹悦子 伊丹 芹沢 角田課長 米沢 内村部長 中園参事官 甲斐峯秋

脚本

輿水泰弘

監督

和泉聖治

第1話「ファントム・アサシン」のあらすじ

帰国命令を受けたヤロポロク・アレンスキーが、追手を振り切って米国大使館に逃げ込み亡命を図ります。彼の正体は対日工作員、つまりスパイであり、帰国命令を受けたものの何かを察知して、亡命に踏み切ったのでした。

ある日、帰宅途中の杉下右京に、懐かしい男が声を掛けます。

彼はホームレスの吉田一郎(松尾貴史)といい、過去に行方不明事案の捜査で特命係と顔見知りになった男性でした。

突然、杉下右京に「晩飯、俺にごちそうする気ある?」と言い出す一郎君。珍しい誘いに対し、杉下右京は「喜んで」と花の里を案内します。

食事をしながら一郎君が差し出したのは、銀色の1枚の紙でした。

新宿の歩道橋下のゴミ箱にちぎって捨ててあったものを、一郎君が集めてジグソーパズルのように復元したものだといいます。

銀色の紙には、先日、近くの歩道橋の階段から転落死した小倉健二(松崎謙二)の氏名、顔写真などの個人情報や、最近の行動などが記載されていました。

しかもこの紙は、米沢さんによると「シークレットペーパー」という複写を防止できる特殊な紙であり、このような紙に一般人の個人情報を印字することは、通常では考えにくいことです。

さらに銀色の紙からは、ある警察関係者の指紋が見つかります。

その人物とは、社美彌子(やしろ・みやこ:演 仲間由紀恵)です。内閣情報調査室(通称、内調)に出向中の、警察庁のキャリア官僚になります。

さっそく社美彌子を訪問し、一郎君が復元した紙を見せたところ、彼女は驚いた顔をします。

その紙は、社美彌子が米CIAから極秘裏に受け取った、日本人7名のリストに基づいて作成した資料だったからです。

この日本人7名とは、冒頭のシーンでアメリカに亡命したヤロポロクが、日本に滞在している間に情報を得ていた協力者でした。

つまり、小倉を含む7名は、外国のスパイに日本の情報を金で売り渡していた、俗にいう「国賊」だったのです。

特命係からシークレットペーパーを見せられた社美彌子は、資料の保管場所を確認しますが、その資料はファイルごと消えていました。

社美彌子の上司である、内閣情報調査室室長の天野是清(羽場裕一)は、こうした日本人を裁くための法制度が十分でないことを嘆き、「いつまで経っても日本はスパイ大国だよ」と話します。

すでに小倉を含む3名が死亡しており、杉下右京は、何者かが内調からファイルを持ち出して連続殺人を行っていると推理します。

残りの生存者は、参議院議員の下山秀和(五代高之)、会社員の伊勢光(和田聰宏)、自衛官の矢部邦仁(高杉亘)、都職員の佐々木宏(大石継太)です。

警視庁はこの4名が次のターゲットになると考え、捜査を開始します。

第1話「ファントム・アサシン」の見どころ

ヤロポロク・アレンスキーとは

ヤロポロク・アレンスキーとは、日本に住む対日工作員です。

帰国命令を受けますが、それを無視して亡命に踏み切ります。

ヤロポロクが亡命した理由

ヤロポロクが亡命した理由は、本国の直属の上司が武器の輸出に関する大規模な汚職で捕まり、その極東地区での担当者として責任を追及されそうになったからというものです。

本国に帰れば処罰され、日本に残っても身の安全は確保されないことから、亡命に踏み切ったと考えられています。

なお、ヤロポロク本人は身に憶えのない濡れ衣であると主張しているようです。

社美彌子(やしろ・みやこ)が初登場

社美彌子(仲間由紀恵)の初登場回です。

警察庁のキャリアであり、現在、内閣情報調査室の総務部門主幹として出向しています。

米CIAから送られてきたリストから、ヤロポロクの協力者の資料を作成した人物になります。

米国から情報提供があった理由について、社美彌子によれば、内閣情報調査室が外国政府の情報機関の公式なカウンターパートであるためと説明しています。

室長・天野是清も初登場

天野是清(羽場裕一)は、内閣情報調査室室長であり、社美彌子の直属の上司です。

警視庁公安部長や警察大学校校長など警察の要職を歴任した、元・警察庁のキャリアになります。

他国に情報を売り渡す行為を憎むとともに、そうした行為を規制するための法制度の甘さに疑問を持っています。

社美彌子とは異なり、内閣情報調査室には出向ではなく転籍という形で正式に移籍しています。

インテリジェンスとは

インテリジェンスとは一般的に「知性」の意味ですが、今回、相棒で使用されているインテリジェンスという言葉は「情報」や「情報を収集する組織」の意味で使われます。

情報通の米沢さんは、日本の公的な情報機関の状況を「我が国はインテリジェンスも縦割り」と説明し、情報機関同士の連携が上手くいっていないことを指摘しています。

相棒では、社美彌子が属する政府の「内閣情報調査室」と、法務局の外局「公安調査庁」という2つの情報機関がよくストーリーに絡んできます。

タイトル「ファントム・アサシン」

伊丹・芹沢チームが生存者の一人・矢部邦仁(高杉亘)のアパートを見張っていましたが、矢部は犯人から襲われ腕を20針も縫う大怪我を負ってしまいます。

しかし、伊丹さんが玄関ドアから入るも犯人はすでに室内にはおらず、ベランダ側は芹沢さんが外からずっと見張っていましたが、誰も出て来ませんでした。

まるで幽霊のように姿を消す「幻の犯人」が、今回の事件の犯人となります。

右京さんが真相に辿り着くことのできなかった回

特命係は、事件の真犯人を暴きます。

しかし、4人目の被害者となった下山議員の殺害動機のみ、犯人から聞き出すことは叶いませんでした。

視聴者には、犯人の真の動機がわかるようになっています

この話は、season15第最終話「悪魔の証明」で決着します。

ストーリー以外の見どころ

吉田一郎が再登場

ホームレスの一郎君が再登場します。今回は、これまでのような卑屈さはなく爽やかに登場します。

もともと知的で元気なキャラでしたからね

亀山君を手土産のことで論破したのは傑作でしたね

吉田一郎については、こちらで解説しています。

甲斐峯秋と笛吹悦子が初対面

笛吹悦子(真飛聖)はカイト君に内緒で、レストランでの食事の席に甲斐峯秋(石坂浩二)を招待し、親子仲の修復を図ります。

しかし、甲斐峯秋と話すうちにカイト君は怒り出し、2人をレストランに残して花の里に行ってしまいます。

悦子はカイト君に、父親と仲直りをしないなら結婚を白紙に戻すと言い出します。

甲斐峯秋は悦子のことを「聡明で美人」と褒めており、気に入ったようです。

社美彌子のヤロポロク問題は持ち越し

ヤロポロクは亡命する前、社美彌子に電話し、愛を伝えます。

さらには、社美彌子を「ママ」と呼ぶ、外国人風の幼い女の子も登場します。

社美彌子とヤロポロクの問題は、後のストーリー展開があります。

関係についてはこちらの記事でまとめています。

社美彌子が警視庁広報課へ

今回の騒動を受けても、社美彌子は順調にキャリアとして出世を果たし、次は警視庁に、警務部広報課長として出向します。

その際、甲斐峯秋に(堅物などと息子の前で悪口を言っていたにも関わらず)ちゃっかりと連絡をし、出世のための支援を惜しまないことを約束してもらいます。

この約束は、後のヤロポロク問題で果たされることになります。