【相棒season15】第1話「守護神」のあらすじと見どころを解説

テレビドラマ「相棒season15」の第1話を解説します。

「守護神」とは人や村などの危険などから守る神のことです。ストーリーに登場する、ある女性の「守り神」を指しています。

「守護神」の概要

放送日

2016年10月12日

主な出演者

山本陽子 小野ゆり子 辻本祐樹 鈴木正幸 田窪一世 蔵原健 ピエレット・キャサリン 仲間由紀恵 榎木孝明 大杉漣 

相棒のレギュラー

伊丹・芹沢・角田課長・青木・益子・内村刑事部長・中園参事官・衣笠副総監・社美彌子・甲斐峯秋・幸子・日下部事務次官

脚本

輿水泰弘

監督

橋本一

「守護神」のあらすじ

「人を呪い殺した」と話す若い女性が、警視庁にやって来ます。

彼女の名前は、来栖初恵(くるす・はつえ:演 小野ゆり子)

伊丹刑事は「仮に呪い殺したとしても、現行法上、われわれは捕まえることは出来ない」と説明し、迎えに来た梶原脩斗(かじわら・しゅうと:演 辻本祐樹)に引き渡します。

それを見ていた青木は、オカルト好きであり最近は暇を持て余している右京さんと、広報課に配属されて不満を抱いている冠城君にこのことを伝えます。

さっそく来栖初恵に話を聞きに行く右京さん。

彼女は自身の呪いの力によって、計3件の殺人を行ったと話します。

1件目は13年前、高校生だった来栖初恵に嫌がらせをしていた同級生を、2件目は4年前、悪質な繁殖を行っていた犬のブリーダーを、3件目は6日前、来栖初恵に暴行したスポーツジムのインストラクターを、それぞれ殺害したというのです。

警視庁に戻ると、初恵の幼なじみであり同居人である梶原から右京さんに連絡が入ります。

驚いたことに、彼もまた初恵の呪いの力は本物であると信じていました。

なぜそのような力を信じているのかと右京さんが尋ねると、梶原は、初恵が来栖トヨ(演 山本陽子)の孫だからと話します。どうやら初恵の祖母にも呪いの力があるようです。

さっそくトヨに会うため、冠城君と2人で青森に向かう右京さん。

トヨは、自身が数えきれないほどの人を呪い殺していることや、初恵には自身と同様の力があることを話します。

また、トヨによれば、来栖初恵梶原脩斗は幼いころから一緒に過ごした姉弟同然であるそうで、今では梶原は、気の弱い初恵を守る、初恵にとっての「守り神」であるとも話します。

初恵の呪いによる事件に突破口があるとすれば、発生から間もない3件目です。

右京さん・冠城君・伊丹・芹沢の4人は、事故として処理されていた、この3件目の再捜査を開始します。

「守護神」の見どころ

現実の警視庁とリンク

衣笠副総監(大杉漣)が、警視庁に2016年4月に発足されたサイバーセキュリティ対策本部について解説する動画の再生シーンがあります。

現実の警視庁でも、同月にサイバーセキュリティ対策本部が発足しています。

冠城君が広報課に配属

正式に警視庁に採用された冠城君。

警察学校を卒業し、現在は警視庁の総務部広報課に所属しています。

なぜ広報課なのかというと、冠城君を非捜査部門に配属させるために総務部と警務部の両部長がコイントスをして、総務部長が負けたためです。

つまり、警視庁にやってきた冠城君は、これ見よがしにお荷物扱いをされています。

そんな人事に冠城君は不満を抱きます。

どのくらい不満かというと、甲斐峯秋に対して、自分を捜査部門に異動させるべきだという意見を直筆で綴った「異動願」を送付しているほどです。

甲斐峯秋は冠城君を「元キャリア官僚であり優秀さも抜きん出ている」と評し、今回の人事を「警視庁のつまらん嫌がらせ」と断じています。

しかし、右京さんが「助けてあげたらどうですか」と提案するも、「採用の人事にまで口を挟めない」と弱気な姿勢を見せます。

season11第1話では息子の甲斐享を特命係に異動させる人事を見事に実現させた甲斐峯秋ですが、今はもうそのような力を振るう気力が本人には無いようです。

突然、TRICKがはじまる

人を呪い殺したこと自首してきた女性が訛(なま)っているなど、突然、TRICKとしか思えない展開が始まります。

TRICKのオマージュと思われる箇所をまとめましたので、気になる方はチェックしてください。

社美彌子、内村部長を言い負かす

来栖初恵の祖母・来栖トヨに会うため、右京さんと青森まで捜査に行った冠城君。

翌日、そんな冠城君を、内村部長と中園参事官が呼びつけ、右京さんと一体何を調べているのかと問い質します。

ここで冠城君は「課長命令」であるとし、社美彌子を参戦させます。

内村部長から問われた社美彌子は、冠城の行動は自分が私用で命じたことだと説明し、「冠城を私用で使ったことで私を糾弾したいのなら、刑事部で引き取って欲しい「不用品を押し付けられて使い道まで指図されるのは心外だ」と、肝の据わった返答で内村部長をやり込めます。

電話を切った後、内村部長が悔しそうに「くそ生意気な女だ!」と吐き捨てます。

青木の復讐がはじまる?

青木年男は、サイバーセキュリティー対策本部の特別捜査官として警視庁に採用されました。

現在、特命係では右京さんのチェスの相手として善戦しながら、冠城君とはプライベートで飲みにいく間柄になっています。

青木は2人に対して「過去のことは水に流してほしい」と謙虚に振る舞いますが、言葉の端々では2人への憎しみが隠しきれずに漏れています。

そして、自宅に帰ると様子が一変。

部屋の壁に、右京さんと冠城君の顔写真を貼り付け、画鋲で刺すという呪い(?)をかけています。

しかし、冠城君から飲みの約束をキャンセルされた時、短い間ですが、本当にショックを受けた人の顔をするなど、冠城君のことは純粋に友人として欲している部分が見受けられます。(一体どういう精神状態なんだ…)

つまり青木年男とは、好意的に振る舞いながら復讐の機会をうかがっているという、敵にも味方にもなる複雑なキャラクターになっています

益子さん初登場

伊丹さんの同期である、鑑識課の益子桑栄(ましこ・そうえい)が初登場します。

階級は巡査部長。警視庁刑事部鑑識課の警察官です。

鑑識作業にこだわりがあるようで、依頼した伊丹と芹沢に「お前ら邪魔だからでていけ」と現場の部屋から出るように言います。伊丹が「ベランダでいいか」と言うと「俺の視界から消えてくれりゃいい」と答えます。

米沢さんと同様、鑑識に対する熱量は高い益子さんですが、特命係には基本的に塩対応です。

しかし、後に「猫が好き」という弱点を、人心掌握の天才・冠城亘に突かれて少しずつ協力的になります。

本日の冠城君の嗅覚

嗅覚がとても鋭い冠城君。

今日は、青木のギョーザ弁当の匂いを嗅いでクラクラしています。

右京さん大失態のラスト

TRICKのオマージュもあって、おそらく呪いのふりをした人間の仕業であることは何となく察しがつくところです。

しかし、真実はその予測を上回り、そして衝撃のラストを迎えます。

残念ながら特命係にとって、大失態と言える回になりました。

もしかすると「本物」だったのでは…

初めて視聴した時は、右京さんが例の「暗示」をトヨさんに解かせた結果による大失態だと思いました。

しかし、考えてみると、それでは不自然なところがあります。

まず、右京さんが本当にトヨさんに「暗示」を解かせていれば、医師の診察を受けさせて入院させるか、留置施設で対面監視を行うことを検討したはずです。

あの右京さんと、刑事施設の主管である法務省出身の冠城君ですから、トヨさんの話を聞いてこの結果を2人とも予見できなかったとは思えません。

もちろん、2人が失念し、何のケアもしなかった可能性もゼロではないでしょう。

しかし、留置施設にも最低限の事故を防ぐための体制があるはずです。

今回の悲劇は、食後にフォークを回収しなかったこと、そして、それなりの長時間にわたって監視をしていなかったことの両方が重なったと考えられます。

通常ならそう起こらないであろうことが重なっているのです。

そうすると、考えられる説があります。

トヨさんの能力が「本物」であり、トヨさんが警察の力の及ばないところでこの結果を引き起こしたという説です。

おそらく、トヨさんに暗示を解かせるのはこれからというタイミングで、トヨさんがみずから、監視が強化される前に暗示を解くなど何かしらの力を使ったのではないでしょうか。

目的はもちろん、対象者のためです。

刑事裁判はおろか警察の取り調べでさえ耐えられないであろう対象者が、これから長く苦しむ前に、自分の手で決着をつけてやりたかったのではないでしょうか。

そうすると最後のトヨさんの無表情が、どこか安らぎを得たような、肩の荷が降りたというような表情にも見えてきます。

社美彌子を取り巻く動き

社美彌子にヤロポロクからの手紙が届く

社美彌子に、ヤロポロクの名が書かれた手紙が届きます。

内容は「親愛なる美彌子 すっかりご無沙汰してしてしまい申し訳ない 君も娘も元気そうだね 安心してくれ 僕はいつも君のそばにいる」というもの。

ヤロポロクとは外国のスパイであり、日本にとっては脅威そのものです。

ところが社美彌子には、このヤロポロクと恋愛関係にあるという疑惑がありました。

この疑惑は、ある人物の犠牲により公にならずに済んだため、真実は明らかになっていません。

手紙を読み終え、複雑な表情を浮かべる社美彌子ですが…

日下部が社美彌子を調べ始める

事件解決後、冠城君は元上司である日下部事務次官から、社美彌子について調べて報告するよう命じられます。

そこで社美彌子の自宅を見張った結果、社美彌子の娘を見て、日下部が何を探ろうとしているのかに気がつきます。

しかし、いくら日下部の頼みとはいえ、社美彌子を簡単に裏切れない冠城君。

そこで冠城君は社美彌子に、「俺を特命係に移してもらえませんか」と願い出ます。

社美彌子の下に就きながら日下部の命令を遂行しないことは不可能であるため、社美彌子から離れることを選択したのです。

最初は事情がわからず承諾しようとしない社美彌子ですが、冠城君からスマートフォンで娘のマリア(ピエレット・キャサリン)の姿を見せられると、社美彌子の表情が悲痛なものに変わります。

冠城君はすぐに削除すると言いますが「削除しても復元できる」と、写真に対して尋常ではない警戒心を見せます。

物を食べながら見張っていた男、埋まる

冠城君と社美彌子の食事のシーンを見つめていた謎の男。

エンドロールで「坊谷一樹(ぼうや・かずき)」(演:蔵原健)であることがわかります。

坊谷一樹は、日下部事務次官の執務室にも出入りしており、どうやら冠城君より先に日下部の何らかの命を受け、社美彌子の調査を行っていたようです。

かなり強敵感のある演出により、「きっと今後、特命係と戦うんだろうな」と思いきや、ラストシーンでは、どしゃぶりの山の中で、黒い雨具により全身を隠した人物からスコップで土をかけられ埋められてしまいます。

一体何だったのか…この真相がわかるのは次のseason16になります。

リアルポンキッキと説明すれば、どのようなシーンだったのか想像しやすい人もいるかもしれません

冠城君が正式に特命係へ

甲斐峯秋の男気で冠城君が特命係へ

冠城君の意図を理解し、その申し出を受けて、特命係に異動させることにした社美彌子。

しかし、いくらキャリア官僚とはいえ、冠城君の人事は部長クラスで決めた警視庁の決定事項ですから、広報課長の社美彌子ではどうすることもできません。

そこで、社美彌子は甲斐峯秋に連絡をします。

社美彌子が警視庁に赴任した時、甲斐峯秋が何か困ったことがあれば頼るようにと、男気を見せていたからです。

「あの時と今では立場が違う」と弱気になる甲斐峯秋ですが、すぐに「いや、わかった。ようし、やってみよう」と自分を奮い立たせます。

甲斐峯秋は冠城君から捜査活動に参加できる部署に入りたいと直訴を受けており、不遇な冠城君を気にかけていました。そこに社美彌子との約束という理由が加わったことで、ようやく重い腰を上げたのです。

そして甲斐峯秋は、宿敵といえる衣笠副総監に頭を下げ、社美彌子たちの希望を叶えます。